俺と君の結婚できない理由。

空野らん

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ep.5

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今となっては昔のことだが……っとこれはフィクションなのだと思いたくなる程、私にとって衝撃だった。

姉が連れてきた彼氏の付き添いで訪れた。何方が付き添いなのか分からない王子様に目を輝かせた私にその王子様は戸惑いながら綺麗な声を響かせた。


「俺の顔に何かついてるかな?」

そう王子様が言うと私はたちまちこう言ったのだ。


「キラキラですっ!!!!」

当時の私はキラキラした物を好んでいたらしく、輝くものや、ガラスやらを集めては、宝箱に閉まっていた。だからそんな王子様も、宝箱にしまっていたのだ。大事に、大事に、大人になった今でも大切にしている。


王子様は皆の王子様になった。

そして王子様は一人のお姫様に恋に落ちて、結婚して夫婦になる。

そんな、お姫様は私ではないことは昔から分かっていたつもりだった。
ニュースで流れた報道を見て、すぐさま私は私室にあるポスター、ブロマイド、CD諸々をゴミ袋に投げ込んだ。
『MAHUMI』と書いてあるうちわを眺めて、何回ライブに行ったのか、何回握手会に行ったのか数えたら彼に貢いだ金は何円だろうと思い出すのは正直に怖い。
こんなだから、すぐ彼氏と別れるし、なぜ家に上げてくれないのかと、彼氏に言われたりした。私の歴代彼氏は理想とは程遠く普通の人だったり、世でいうクズ同然だったりした。
だから尚更、現実を逃避したのかもしれない。私の理想の人は、昔から貴方だけだった。

『次朗さん』っと呼ぶと、彼は嫌そうな顔を見せた。自分の名前が嫌いだという次朗さんに、幼い私は『じろちゃん』っと幼ながらにあだ名を付けて呼んでいた。家に訪れる彼にいつも駆け寄って、彼の優しさに触れて、抱いてしまったものは世でいう初恋と言う言葉で片付けたならまだ良かったと今でも思う。
いつから、こんなに拗れてしまったのか私でもわからない。リア子って言葉があるようにそういう類だったのかと問われたら何だか違う気がする。

テレビに映るキラキラ輝く人達を見て、じろちゃんにアイドルになったらどうかと提案してしまったことは後悔はしていない。まだ文字もまともに書けないのに、ファンレターを書いたりして、会えない日も彼が頑張っている様、誰よりもキラキラ輝いている様をみては、じろちゃんは凄いんだと思い知らされる。
そんなじろちゃんは仕事はどんどん忙しくなって、上京しなければいけなくなった。
上京の日にじろちゃんがくれたファンレターの返事の手紙は、今でも宝箱に閉まってある。普通だったら本人から返事なんて貰えないのに、送った分のファンレターに一通一通、返事をくれていた手紙。
だけれど、ファンレターの量に対して、返事の量が一通だけ多く、差出人を見ると『服部 次朗』と書いてあった。コレは、じろちゃんからの手紙だった。
私が驚いていると、じろちゃんは「必ず読んでね」っと言って別れを告げた。

そんな、手紙の内容は今でも鮮明に覚えている。だから、あの現場を目撃されてしまった時の動揺は計り知れないものだった。


『君は俺のものだ。誰一人として、君に触れることは許さない。俺が迎えに来るまで、誰のものにもならないでね。』



そんな手紙の内容がまるで呪いのようだ。私は鵜呑みにすることはなかった。人は心変わりをするし、そんな、じろちゃんの周りには素敵な女性が沢山いるのだ。だから、結婚したとニュースをみたら、やはりそういうことなんだと私を諭すことが出来たというのに、ニュースから一年たったというのに、未だに捨てきれない。推しグッズ達は本人登場なくして、捨てるという判断を下すまでには時間がかからなかった。

だけれど、宝箱は未だに捨てることはできない。あの手紙も一緒に入っている。そして、一緒に入っていた別の輝く代物もまだ大事に宝箱に入っていた。
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