隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

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1年生:2学期編

第47話 中間テストの結果

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朝の教室は、どこか落ち着きがなかった。
いつもなら聞こえてくるはずの大きな笑い声はなく、話していても声のトーンは低い。
冗談を言っている生徒もいるが、どこか無理をしているように見えた。

中間テスト返却日――
その言葉だけで、生徒たちの神経は自然と張りつめる。

晴は席に座り、机の上に置いた筆箱を何度も指で弄んでいた。
カチリ、と小さな音を立てて蓋を開けては閉じる。
無意識の動作だった。

窓から入る秋の風は本来なら心地いいはずなのに、今日は妙に背中が落ち着かない。
風が当たるたびに、胸の奥がざわついた。

「……今日、全部テスト返ってくるよね」

ぽつりと呟くと、隣の美羽が小さく頷く。

「うん。国語からって言ってた」

その声は、いつも通り落ち着いている。
テスト前も、テスト期間中も、美羽は一度も取り乱さなかった。

「美羽は余裕そうだな」
「余裕じゃないよ。ただ……やるだけはやったってだけ」

そう言って、軽く微笑む。
その表情に、晴は少しだけ救われた気がした。

前の席では、紗耶が珍しく黙り込んでいた。
ノートを開いては閉じ、また開いては閉じる。
内容を見ているというより、手持ち無沙汰で触っているだけに見える。

「……理科、ほんとに自信ない」

振り返って言うその声は、いつもより弱々しい。

「大丈夫だって」
晴はそう言いながらも、自分自身の胸にも同じ不安があった。

(自分は……どうなんだろうな)

チャイムが鳴り、担任が教室に入ってくる。

「じゃあ、中間テスト返却するぞ。静かにしろー」

その一言で、教室の空気が一気に変わった。
紙の擦れる音、椅子のきしむ音さえ、やけに大きく聞こえる。

国語

「晴、78点」

名前を呼ばれ、前に出て答案を受け取る。
反射的に点数を見る。

(……思ったより悪くない)

記述問題には赤で丸やコメントがあり、部分点が入っていた。

「美羽、92点」

「……お」

周囲から小さなどよめきが起こる。
美羽は少し照れたように受け取り、そっと席に戻った。

「紗耶、75点」

「よし……」

紗耶は胸を撫で下ろし、小さく安堵の息を吐く。

英語

「晴、65点」

答案を見た瞬間、喉の奥が詰まる。

「うわ……」

長文読解で時間が足りなかった記憶が、はっきりと蘇る。
赤で引かれた線が、やけに目についた。

「美羽、88点」

「リスニング、落としたな……」

悔しそうに呟くが、それでも十分すぎる点数だ。

「紗耶、70点」

「単語、もっと詰めればよかった」

そう言いながらも、極端に落ち込んだ様子はない。

社会

「晴、72点」

「暗記、なんとか耐えたな……」

ギリギリ踏みとどまった感覚だった。

「美羽、90点」

「世界史が助けてくれた」

「紗耶、68点」

「……ギリギリ」

答案を抱え、三人とも苦笑する。

午前が終わり、昼休みを挟んで午後。
疲れと緊張が、じわじわと積もっていく。

数学

「晴、74点」

答案を見ると、途中式に赤丸がいくつもついていた。

「……計算ミス多いな」

分かっていたはずのところで落としているのが、余計に悔しい。

「美羽、95点」

「すご……」

思わず声が漏れる。

「たまたまだよ」
美羽はそう言うが、誰が見ても立派な結果だった。

「紗耶、60点」

「……やっちゃった」

紗耶は額を机に軽く当て、しばらく動かなかった。

理科

教室の緊張は、ここでピークに達していた。

「晴、70点」

「……よし」

思わず小さく拳を握る。

「美羽、85点」

「まあ、予想通り」

冷静な声。

「紗耶、58点」

「……」

言葉が出ず、ただ答案を見つめる。
紗耶の肩が、ほんの少しだけ落ちた。

すべての返却が終わり、担任が教壇から言う。

「結果は結果だ。二学期はまだ長い。切り替えていけ」

その言葉に、教室全体が少しだけ緩んだ。

休み時間。
三人は自然と集まる。

「平均的には……まあまあだな」
晴が言うと、美羽が頷く。

「赤点ないし、悪くはないよ」

紗耶は少し俯きながら、無理に笑った。

「私、次はほんとに頑張る……」

「じゃあ、また勉強会だな」
晴が言うと、

「うん。今度は計画ちゃんと立てよ」
美羽が即答する。

紗耶は少し驚いたように二人を見てから、ゆっくり頷いた。

「……ありがとう。正直、心強い」

テストの点数は残酷だ。
努力を数字で突きつけ、否応なく差を見せつける。

でも、それ以上に――
人との距離や、支え合いをはっきりさせるものでもある。

晴は答案用紙をファイルにしまいながら思った。

(テストは終わった。でも、二学期はまだ始まったばかりだ)

結果を受け止め、それぞれが次へ進む準備を始める。
この中間テストは、ただの区切りにすぎない。

教室の窓から見える秋空は、どこまでも高く澄んでいた。
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