70 / 78
救っておくれ
5.
しおりを挟む
※ ※ ※
上も下もわからない。
真っ暗な闇の中をただ歩いていた。
自分が“歩いている“と気付いた時には、石畳の一本道が現れた。道の両端には石燈籠が立ち並び、闇が少し払われ、代わりに霧が立ち込め始めた。
ぼんやりとした燈籠の灯りを眺めながら思う。
これは夢だな。
はっきりとわかった。
長年の経験でこちとら瞬時に判断できるんだ。
さて、私がみる夢はふたつある。自分の意思が介在するか、しないか。
立ち止まってみる。
手を上げて、手のひらを閉じて開くを繰り返す。
うん、今回の夢は、私の意思があるやつだ。
わかったはいいんだけど、
「問題はどうやって目を覚ますのかだよなあ~…」
膝に手をついて項垂れる。
簡単に目覚められたらいいんだけど、この感じ、一筋縄じゃいかなさそうだぞ。
シャン、シャン…
鈴の音が聞こえて、上体を戻す。
頭の奥に響くような鈴の音が何処からか聞こえてくる。その音に紛れるようにして、囁きあう声が聞こえてきた。何を話しているかはわからない。けれど、私のことを見て囁きあっているのはわかった。
そりゃあ、私は此処では異邦人なわけだし、物珍しいわな。
変に興味を持たれても困る。長居は無用。早いとこ目を覚まそう。
さて、この一本道の参道、後ろは墨を垂らしたような果てない闇が広がるばかり。前に進むしかないか。
ようやく私は前に向け脚を踏み出した。
シャンシャン、うるさい参道を歩き通す。永遠か? と思う程の距離を進み続けると、前方にぼんやり影が見えた。
上も下もわからない。
真っ暗な闇の中をただ歩いていた。
自分が“歩いている“と気付いた時には、石畳の一本道が現れた。道の両端には石燈籠が立ち並び、闇が少し払われ、代わりに霧が立ち込め始めた。
ぼんやりとした燈籠の灯りを眺めながら思う。
これは夢だな。
はっきりとわかった。
長年の経験でこちとら瞬時に判断できるんだ。
さて、私がみる夢はふたつある。自分の意思が介在するか、しないか。
立ち止まってみる。
手を上げて、手のひらを閉じて開くを繰り返す。
うん、今回の夢は、私の意思があるやつだ。
わかったはいいんだけど、
「問題はどうやって目を覚ますのかだよなあ~…」
膝に手をついて項垂れる。
簡単に目覚められたらいいんだけど、この感じ、一筋縄じゃいかなさそうだぞ。
シャン、シャン…
鈴の音が聞こえて、上体を戻す。
頭の奥に響くような鈴の音が何処からか聞こえてくる。その音に紛れるようにして、囁きあう声が聞こえてきた。何を話しているかはわからない。けれど、私のことを見て囁きあっているのはわかった。
そりゃあ、私は此処では異邦人なわけだし、物珍しいわな。
変に興味を持たれても困る。長居は無用。早いとこ目を覚まそう。
さて、この一本道の参道、後ろは墨を垂らしたような果てない闇が広がるばかり。前に進むしかないか。
ようやく私は前に向け脚を踏み出した。
シャンシャン、うるさい参道を歩き通す。永遠か? と思う程の距離を進み続けると、前方にぼんやり影が見えた。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる