追放、ざまぁ、外れスキル!それがデスゲームへの参加チケットだった。~僕が一番外れスキルをうまく使えるんだ!

猫出R

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第三章 私の外れスキルは『せんい』 ~アリエス共和国のヘレの場合

第06話 悪役令嬢は聖女がお好き

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 屋敷を出てから一週間ほど経った。ゴレクサの操作も馴れてきてかなりの速さで移動できる様になった。ただ普通のゴーレム使いと違い、私の場合は自動で動かせる訳ではないので私が眠たくなったらどこかで一緒に休憩しなければならない。

「ふぁあ」 

 あらいやだわ、思わず欠伸が出てしまいましたわ。昨日は丁度、町や村が無かったので川辺に野宿をした。この旅で数回したのでもう慣れたものよ。魔道具の『簡易テント』や『魔物除けの結界石』、『人払いの結界石』を使っておけば安心して眠れる。まあ念の為にいつでもゴレクサを動かせる準備はしていたけど。

 それに逆に町や村だと女性の一人旅は目立つので、魔力の糸で作った人型の大きさのぬいぐるみ(中身は一人で立って要られるようにたまたま見つけた人っぽい形をした木)を作り、これまた魔力の糸で作ったフードや服で着せてそれを操作して、まるで二人旅の様に見せかけなければならないのでそちらの方が面倒だった。

 今日の朝食は……お魚にしましょう。私は川に近づき泳いでいるお魚を見つける。そこに『ソーイング戦意』。魔力で出来た糸と針を出しお魚めがけて針を飛ばす。お魚が刺さった針の糸を引き上げる。こんなに簡単に朝食ゲット出来たわ。

 お魚さんなら何とかさばけるから、だって最初はゴレクサを見て驚いて気絶してしまったウサギさんや鳥さんなどの小動物を簡単に捕まえられたのはいいのだけれど……ごめんなさい、さばけませんでした。

 枝を集め『火打石』で火を付け早速お魚を焼きましょう。

「ふぅ、美味しかったわ。屋敷に居た頃に頂いたお魚より美味しいわ、新鮮だからかしら? それとも自分で捕まえたお魚だからかしらアリア――」

 ――そうだったわ、アリアは居ないのよね……アリアの匂いがしたから思わず呼んでしまったわ、きっと私の服にアリアの匂いが付いていたのね。

 顔も洗ったし、朝食も食べたし、そろそろ出発しましょう。私は簡易テントなどをマジックバックの中に片付けてゴレクサの肩に乗り移動を開始した。

 ゴレクサに命令を出そうとした時ふと私は思った。あれ? もしかしてゴレクサの各部位に針を刺して命令するより、コアに直接針を刺してコアから各部位に命令して貰えればもっと簡単に動かせるんじゃない?

 多分これなら私をマスターだと設定していなくても行けるはず。ちょっと試してみよう。

「『マリオネット戦意』ですわ」

 ゴレクサの体深く、コアまで針を刺した。物質の硬度に関係なく針は刺せる様ね。特にコアには反応が無いがその後いつもの様に糸に魔力を通しで命令をだそうとした時、コアが光った。あっ!? コアに魔力を流したから反応したのかしら? これならいけるかも! 魔力に命令を乗せそれを糸に流し込みながら私は叫んだ!

「ゴレクサ、歩け」、「ゴレクサ、右手を上げて」、「ゴレクサ、ジャンプよ」

 ゴレクサは私の指示通りに動いてくれた。うん、思った以上にうまくいったわ。コアを介する事によってコアの中に組み込まれている人工知能に直接命令できるのね。だからちゃんと私がさせようとしている動作を理解している。よし、これでもっとスムーズに命令できるわ。

 しばらく進むと村が見えてきた。遠目でまだはっきりとは見えないがどうやら人間族っぽい人が見えた。と言う事はまだアリエス共和国の領土かしら?

 村の近くの森の中でゴレクサをマジックバックの中に仕舞い、村に近づいていくと広場に人が集まっていた。あれ? 獣人族が居る……フリフリしているあの真っ白いふわふわの尻尾は間違いない――アリアだわ!

「――アリア!!」 私は嬉しさのあまり大声で叫んでしまった。

「はい? なっ!? ヘレお嬢様! どうしてここへ?」

「それは私のセリフよ」

「聖女様、お知り合いのお方ですか?」

 村人の一人の女性がアリアにそう言った。

「聖女様? アリアが?」

「ヘレお嬢様、違うのですよ、実は……」

 アリアの話をまとめるとこうなる。

 この村、シュラタン村に昨日アリアが到着した時、村の子供達が全員苦しんでいて、話を聞くとその前日に旅の途中でこの村に立ち寄った女商人が、余った商品のお菓子を子供達に無料で配ったらしいのだが、それを食べた子供達が次の日に突然苦しみだし、胸を観てみたら黒いアザが浮かんでおり、時間が経つごとに少しずつ大きくなっていき、それと比例して子供達の苦しみも大きくなっていったという。

 そしてその女商人はいつの間にか消えていて、そこにアリアが到着し、闇魔法の一つで体に付けた黒いアザが生命力を徐々に吸い取っていく『ダークサック』と言う呪いの様な魔法に似ていたのでもしや? と思い、私が作った聖属性のぬいぐるみをマジックポーチの中から取り出し一人の子供に抱かせみたら、その子だけ黒いアザの進行が止まったとの事。

「どうりでどこを探しても白い聖属性のぬいぐるみが見つからなかった訳ね」

「申し訳ございません、あまりにも可愛くて思い出にこのぬいぐるみだけ拝借してしまいました。後ヘレお嬢様から頂いたマジックポーチも大切に使っております」

「いいのよ別に、色も真っ白いアリアと同じだものね、それよりも黒いアザは闇魔法で聖魔法なら打ち消せるって事かしら?」

「確約はできませんが、その可能性は高いかと……」

 アリアがジッと私を見つめて来た。

「……もしかして、私に聖属性の『ソーイング戦意』を使って治せと?」

「はい、ヘレお嬢様の聖属性の繊維はこの闇魔法より能力が上かと」

「でも、前にも言ったけどいくら魔力で出来た針と糸でも人を刺すなんてことは」

「では子供達を見殺しにすると? 今は聖属性のぬいぐるみを順番に抱かせて進行は少しだけ抑えていますが、治った訳ではございませんのでこのままでは……」

「せ、聖女様、もしかしてこちらの方も聖女様なのですか?」

 先程の村の女性がアリアに聞いて来た。どうやら被害を受けた子供の母親らしい。

「何度も言うように私は聖女ではございません、あの聖なるぬいぐるみはこちらにいらっしゃるヘレお嬢様がお作りになった物です、なので聖女と言うならばヘレお嬢様の方です、私はこの方にお仕えしていただけです」

「な、なんと貴方様が聖女様でございましたか、申し訳ございません」

 村中の人達が私の所へ駆け寄って来た。

「聖女様、どうか、どうか子供達をお救い下さい、村にお金になる物は殆どございませんが私達に出来ることなら何でもいたしますので、どうか」

「……でもうまくいく確証が無いし、下手をしたら治療する前に死ぬかも……」

「ヘレお嬢様、私でお試しください」

「なっ? ダメよ」

「しかしそれでは」

「聖女様! 良く分かりませんが私共で役に立つなら何でもいたします」

 村人達までもが実験台へ名乗り出て来た。

「……わかったわ、『ソーイング戦意』!」

 そう言い私は魔力で出来た針を――自分の左腕に刺し糸で縫った。

「なっ!? ヘレお嬢様!!」

「聖女様!?」

「大丈夫よ、ほら見て! 小動物とかに刺した時、痛がっている様子が無かったからもしかしたら実は大丈夫じゃないかと思っていたのよ」

 心配そうにしているアリア達に腕を見せた。

「じゃあ次は実際に子供達に針を刺して聖属性の繊維で呪いを縫ってみるわ、うまくいかなくても恨まないで頂戴ね」

「勿論です、私の子供からお願いします」

 先程の村の女性がまた名乗り出て来た。

「最初だけど、いいのね?」

 彼女はコクリと頷いた。

「『ソーイング戦意』、『聖属性』ですわ!」

 私は小さな男の子の胸に浮かんでいる黒いアザの部分に針を刺す――男の子の顔を見たが痛くなさそうだ、それよりも苦しそうなので私は更に続ける。黒いアザを囲う様にどんどん縫ってく。囲み終え暫くすると、なんと黒いアザが薄くなっていき最後には消えた。

 その後、糸を胸から抜き空中で魔力を拡散させ糸を消した。

「これでどうかしら? うまくいったような気がするけど……どう? 苦しくなくなった?」

 私はその小さな男の子に聞いてみた。

「あれ? もう苦しく無いよ、お母さん! 聖女様ありがとう!」

「ありがとうございます、何とお礼を言えば……」
「聖女様だー! 本当に聖女様だったんだー!」
「聖女様! うちの子もお願いします」
「聖女様! 私の娘もどうか」

 ワーッと村中が沸いた。私は他の子供達も同じように治療をおこなった。
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