異世界でも油こそ正義!!

雑食ベアー

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準備編

第8話 開店までの道のり

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【マスター、おはようございます】

「レコ、おはよう。そして、ありがとう」
今日で2回目だから女性の声でも慌てたりしない! 

 ミチオはセポマからおにぎりを購入してその場で食べ始めた。
(今日はどのように動くかな~ まず、最初はピートさんの屋台で確定だな..)
おにぎりを食べている間に今後の事を考え始めたミチオだった。

「串焼き1本くださいな~」
宿から出たミチオはその足でピートの屋台に赴き、焼き場を確認してから串焼きを頼んだ。

「おう、あんちゃんか.. 炭の事を教えて貰ったからこの串は奢りだ。もってけ!」

「サンキュー」

「こちらこそ、教えてくれて、ありがとうな~」

 串焼きを受け取り、香りを楽しんでから肉にかぶりつく..
焼かれた際に出る肉汁が炭と混ざることによって化学反応が起こり、この何とも言えない芳しい匂いが口いっぱいに広がる。

「うん、やっぱり香ばしくなって美味しくなったね。」

「炭に変えてから味が前よりも良くなったし、何より焼いている時の煙が段違いに香ばしい匂いだからか、少し客足が良くなったよ」

「そりゃ、何より」
串焼きを喰い終わり、ピートと雑談がてらの情報収集を行って商売道具をどこで買うか、悩むミチオだった。

「そんじゃ、また今度!」

「おう! 今度は不満が無い串焼きに喰わせてやるからな!!」
ミチオは露店市場を抜け、商店街通りに足を向けた。

……


「ここかな、御免ください」
そこは、鍋の絵が描かれた看板が目印の金物屋だ。そこの扉を開けると鈴の音が鳴り響く..

「いらっしゃい!」
ふくよかな女性の店員らしき人が挨拶をする。

「大きめの鍋と金属製のボウルとかあるかい?」

「鍋は右側の棚にありますが、それ以上ですと鍛冶屋での特注となります。
あとボウルとはなんですか?」

「ボウルは取っ手の無い薄い鍋みたいなもので、食材を混ぜ合わせるのに使うんだ」

「それも、鍛冶屋への特注になりますね~」
ミチオは右側にある鍋を確認する。丁度良いサイズが1つあったが鉄の様で違う鍋だったので話を聞いてみる。

「この鍋の金属は鉄でしょうか? 銅でしょうか? それと値段はいくら?」

「これは銅と鉄の合金製ですよ。熱伝導がそこそこ良いです。
値段は9,000Rになります。」

「同じ大きさの鉄鍋を特注した場合はいくら?」

「聞いてみないとなんとも言えないですが、2万ぐらいはするかと..」

「じゃ、何故、この鍋は安いの?」

「修繕する際に合金だと手間がかかるので、通常の鍋よりも人気が無いんですよ~」

「人気が無くて、お荷物になっている鍋はおいくらでしょうか? 7,000R」

「うぐぐぐ.. さすがにそれは 8,800R」

「でも、売れないんですよね。希望価格になれば買いますよ。 7,500R」

「本当ですか? 8,500R」

「商売道具として使っていくから、お荷物が有効活用されるよ。 7,800R」

「う~ん では、8,200Rでどうかね?」

「商売始めるのは数日後だから、預かっていただければ8,200Rの即金で!」

「売ったよ!」

「商談成立!!」
お互いに手を出し握手をした。

「では、代金をお受け取りしましたので、こちらが商品受取書になります。
受け取りの際にカウンターへお願い致します」
ホクホク顔の店員を後にして、雑貨店へ寄り、屋台で必要な細々としたものを購入していった。

購入した麻袋に購入した荷物を入れて歩いているミチオは、一先ず荷物を宿に置くことにすると決めた。

 宿に戻り、自分の部屋へ入ったら既に清掃が終わっていた。
早いなと思いつつ、荷物を下ろしたミチオはHIT CHEFの親子丼をチョイスして昼飯を取る。

(これで屋台に必要なものは手に入れたはず..
燃料の薪は当日購入して、あ! 火種を確認しなければ..
後はセポマから購入すればいいし、フライヤーが切実に欲しいな~ 贅沢品かw)
ランチを終えたミチオは1階のカウンターに赴いた。

……

「モルトさん、裏庭を使ってもいいでしょうか?」

「ん? お前さんかい、では案内してやろう。ついてこい」
歩き出したモルトに付いて行くミチオ、正面玄関の脇から裏庭に抜けた。

「ここら辺で構わないが、火属性はなるべく使わんように、火事になったら承知せんぞ!」

「使えるのは生活魔法だけなので大丈夫です」

「それなら、大丈夫か..」

モルトさんが宿に戻っていったので、
「レコ、魔法の使い方を教えてください」

【かしこまりました。マスター】
それから、『0から始まるレコ先生の魔法講座(実技もあるよ♪)』が開幕した。

 先生のレクチャーでミチオは、
『魔法とは魔力を基にして、術者がイメージした内容を引き起こす現象』と認識した。要約すれば、薪に火をつけるイメージをして魔力を使用すれば、薪が燃えている状態になっている訳だ。しかし、術者の魔法レベルにより引き起こせる現象には差異が出る。生活魔法(LV1)の術者が魔法(LV3)で引き起こせるファイアボールをイメージしても種火にしかならない。

「レコ、他の人も魔法が使えるはずだがSPはどうなっているんだ?」
ミチオは土属性の生活魔法で色々と試していながら質問した。

【SP制はマスター限定です。他の方は使用する度に経験値が取得でき、レベルアップする形式です】

「ん? それだとSPってなんだ?」

【SPについての説明は禁則事項に該当します】

(おうふ、SPは重要な情報なのか.. ん?)

「あ! 魔法のレベル上げるには、クソ高いSPが必要なのか!?」

【YES、2,000,000SPが必要です】

「Nooooo!!」
ミチオの絶叫が辺りに鳴り響く!

「致し方ないが魔法のレベル上げは当分無理だな.. けど、魔法での火つけは上手くいったが土台は上手くいかないな。石が小さすぎる..」
土台をどうするかを考えながら、その場に立ち上がり体を伸ばし、空を見上げると夕暮れ前と言った状態だった。

「今日は外の食事処で喰ってみるか!」
商店街通りを歩いていた時に見つけた店に向かい歩き出した。
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