23 / 23
第2幕~林木の深きにて、、寝迷う老木、火翳して魔女は蒼海の故地へ、待つ人は海口に
あ…そうです、、お父さんがルルヒラさんの剣、鍛えてくれるそうですよ?
しおりを挟む
馬小屋のある宿は、【林のフォリンズ】ではそれほど多くない。
この町に来た当初は多少、値が張ると思ったものの餌やりも、宿主が担当してくれるとの事で、この宿に決めたのだった。
「紅毛ちゃん
今日も走ったわね、、
さあて、、」
二頭の馬面を撫でる。
敷地内の馬小屋に【ニチリア紅毛】二頭を預け、二階の部屋に戻るのはユエリだ。
この宿は二階建てで、下に食堂及び、調理場。
それから、体の汚れを落とす為の、狭く区切られた小間が並び、簡易な給水装置が備え付けられている。
宿泊客は少ないようで、宿の裏手の建物で食品店を営んでいるらしく、経営の足しにしてるとの事だった。
袋に入ったハーブ類の他、〈ハーブ、薬草になる四百の雑草〉の分厚い本が入った荷袋、腰の丸鞘のショテルダガーを外し、降ろす。
この短刀、ショテルダガー…【フォリンズの種火】で買ったものだが、彼女にとっては草刈りの鎌と、そう違わない。
半円状の刀身が、雑草を刈る際に扱い易い。
日常用にも、ぴったりな品だった。
「今日も良く切れてたわねえ、、
さて、と、、」
部屋の隅に荷物と共に放置してあった、ドクロの模型を見やる。
これも【フォリンズの種火】で購入したもので、【魔銀の気手繰りドクロ】とサクイヤは呼んでいた、カガシン作の試作品だ。
ドクロの部分には魔銀が少量混ぜられていて、【外気法】の操気によって、【念動】により浮く。
また、内臓された【火応石】で両目部分の窪みから、火を吹くものだった。
今現在、【念動】切れで操気術の扱えない彼女は、時々このドクロを掴んでは、操気を流し込めないかと集中していた。
「、、上手くいくのかしらね?」
日課となった、士官教習所でも行われる【外気法】の訓練の初歩と同様だ。
まず、ドクロを手に持ち、内臓の【火応石】が光らないか試す。
光れば、【火応石】が反応した証左でもあり、各属気の適性を判断する際にも使われる所法だ。
小さく燈火の色に灯った。
「光りはするのよねえ、、
昨日よりましかしら?」
次いで、【火操術】の属気の感触を肌に感じつつ、ドクロから手を離す。
昨日は手から離した際に燈火の光は、シュン…と萎み失せたのだった。
「上手く、、
灯ってるわね」
確かな手応えを感じた。
手を離したまま、ドクロの灯りは掻き消えずにいる。
そして、【念動】の操気を流し込めば、ドクロは浮き上がるはずだ。
カタカタとドクロが揺れ、嘲笑うような挙動を見せる。
手応えを感じ、更に操気を流し込んだ。
結果は期待通り。
浮き上がるドクロの窪んだ眼差しを睨みつけ、集中したのが功を奏した。
背後に、ガチャリ…と、ドアを開く音が聞こえたのは、そんな時だ。
集中が切れ、ドクロが落下する。
「あー、いや、、
浮いてたな、今、、」
少し、間の悪そうなルルヒラだ。
「早かったわねえ、、
まあ、ようやく調子が出そうなところよ?
もう一回ね、、」
今度は手に持つ事も無く、燈火に灯り、宙に浮かぶドクロだ。
「んー、浮かんでるな、しかし、、」
指を手繰り、ドクロをキャッチする。
「まあねえ
ようやく、暇から抜け出せそうね
明日から、かしら」
荷袋を置き、鎧を外すルルヒラに言った。
「あー、そうだな
居ないと飯が、あまり、な?」
「、、でしょうね
まあ、明日から探索復帰よ
ご飯、期待しとくのねえ、、」
次の日から、いつもの魔女然とした格好で復帰するユエリだった。
先の尖ったツバ付き帽子に黒髪を覗かせる。
背後にドクロを漂わせながら…。
肩剥きのローブドレスの上に、青と深い青の波紋が印象的な外套を纏った姿は久しぶりだった。
「今日は、そうねえ、、
もっと奥まで行こうかと、、
思っててね?」
組合の建物の中、丸テーブルに腰掛けるのは三人だ。
「ですか…それでしたら、、
…依頼の方はどうします?」
今日も受付嬢のサクイヤは、栗色髪を降ろしている。
紙片の束をめくりながら聞いてきた。
「んー、そうだな、、
何かあるのか?
俺にも分かるやつでな、、?」
聞き返すのは、まだ眠気の残ってそうなルルヒラだ。
組合に発注された依頼の中には、ダンジョンの奥まで赴かなければ達成出来ないようなものが、放置されているのが現状だった。
依頼主も当たればいいだろう、ぐらいの気持ちで発注したものがほとんどだ。
《ニチリア、西の深木林》の深層に進む冒険者の数が、少ないのが原因だ。
「そうですね…杉林より奥となりますとですね、、
分かりやすいものなら、この辺りですね…」
紙片を幾つか取り出す。
〈極上の滴る肉を
種類/討伐、及び回収
報酬/ウキワグマ一頭につき、銀貨四枚、銅貨二十五枚、焼肉食べ放題チケット五回分
概要/近頃は仕入れが少ねえ、、
肉食いてえ奴は【ミート・グラベル】…フォリンズの魂を育てる【ミート・グラベル】だっ!
異論は認めねえっ、、!〉
「んー?ここもか、、」
「一度、行ってみたいわね
【ミート・グラベル】、、」
「…お父さんと行きましたね
この前です
あと、三回分残ってるんですよ?チケット…
では…次です」
〈アーティファクトを是非
種類/探索
報酬/アーティファクト一つにつき、最低で銀貨三十枚、他に望みがあれば、応相談
概要/アーティファクトを何かしら一つ〉
「アーティファクトねえ
いざとなったら、、
売れるわね、これ、、」
荷袋から片眼鏡、【望遠レンズ・モノクル】を取り出す。
「んー、売る気はないな
今のところだが、、」
「…ですね
でも、望遠レンズ・モノクルなら、、
もっといい値がつくと思いますよ?
さて…最後ですね」
〈琥珀の採掘、或いは討伐
種類/採集、場合によっては討伐
報酬/琥珀の量次第、最大で銀貨十六枚分
概要/フォーク・ウッドの巣穴からの採掘、或いはフォーク・ウッドの根足からの発掘〉
「フォーク・ウッドねえ、、
どうなのよ?実際、、」
【歩く大木】と、そのままな異名の【フォーク・ウッド】だが、伐採業者の日頃の管理が行き届いている地帯では、見掛ける事は滅多に無い。
つまり、伐採業者の足の及ばない地帯では、この魔物が闊歩していると思ってよい。
「そうですね…個体差の大きい魔物なので…
深部では【ベアハンド・マウンテン】と共生関係を築いてますね
他に【木登り葡萄】…
それから【クルイ殻ムシ】との共生も確認されてます
【フォーク・ウッド】は夜行性のものが多くて、昼間は巣穴に生えて擬態している事が、ほとんどですが、、
これも一概に言えませんね…
あ…そうです
歳経た個体ほど、強力でしたね」
深部で【ベアハンド・マウンテン】と共生しているものが歳経た傾向にあるらしい。
歳経た【フォーク・ウッド】の方が、足か巣穴に琥珀を蓄えている場合が多い、との事だった。
「んー、夜行性か、、
で、どれを受けるか、だな」
「受けるだけなら…タダですよ?
この三つの依頼は、特に期限も無いので…」
「そうねえ、、
アーティファクトのやつは、、
抜いとくべきね」
途中、ルルヒラの顔を伺ったものの、やはり気乗りしないようだった。
ユエリ自身も、愛用してる身としては片眼鏡を手放すつもりは無い。
「では…〈極上の滴る肉を〉と、、
〈琥珀の採掘、或いは討伐〉ですね?」
「あー、そうだな、、
決まりか?」
「決まりね
久しぶりの探索よ」
サクイヤに見送られ、二人は組合を出たのだった。
この町に来た当初は多少、値が張ると思ったものの餌やりも、宿主が担当してくれるとの事で、この宿に決めたのだった。
「紅毛ちゃん
今日も走ったわね、、
さあて、、」
二頭の馬面を撫でる。
敷地内の馬小屋に【ニチリア紅毛】二頭を預け、二階の部屋に戻るのはユエリだ。
この宿は二階建てで、下に食堂及び、調理場。
それから、体の汚れを落とす為の、狭く区切られた小間が並び、簡易な給水装置が備え付けられている。
宿泊客は少ないようで、宿の裏手の建物で食品店を営んでいるらしく、経営の足しにしてるとの事だった。
袋に入ったハーブ類の他、〈ハーブ、薬草になる四百の雑草〉の分厚い本が入った荷袋、腰の丸鞘のショテルダガーを外し、降ろす。
この短刀、ショテルダガー…【フォリンズの種火】で買ったものだが、彼女にとっては草刈りの鎌と、そう違わない。
半円状の刀身が、雑草を刈る際に扱い易い。
日常用にも、ぴったりな品だった。
「今日も良く切れてたわねえ、、
さて、と、、」
部屋の隅に荷物と共に放置してあった、ドクロの模型を見やる。
これも【フォリンズの種火】で購入したもので、【魔銀の気手繰りドクロ】とサクイヤは呼んでいた、カガシン作の試作品だ。
ドクロの部分には魔銀が少量混ぜられていて、【外気法】の操気によって、【念動】により浮く。
また、内臓された【火応石】で両目部分の窪みから、火を吹くものだった。
今現在、【念動】切れで操気術の扱えない彼女は、時々このドクロを掴んでは、操気を流し込めないかと集中していた。
「、、上手くいくのかしらね?」
日課となった、士官教習所でも行われる【外気法】の訓練の初歩と同様だ。
まず、ドクロを手に持ち、内臓の【火応石】が光らないか試す。
光れば、【火応石】が反応した証左でもあり、各属気の適性を判断する際にも使われる所法だ。
小さく燈火の色に灯った。
「光りはするのよねえ、、
昨日よりましかしら?」
次いで、【火操術】の属気の感触を肌に感じつつ、ドクロから手を離す。
昨日は手から離した際に燈火の光は、シュン…と萎み失せたのだった。
「上手く、、
灯ってるわね」
確かな手応えを感じた。
手を離したまま、ドクロの灯りは掻き消えずにいる。
そして、【念動】の操気を流し込めば、ドクロは浮き上がるはずだ。
カタカタとドクロが揺れ、嘲笑うような挙動を見せる。
手応えを感じ、更に操気を流し込んだ。
結果は期待通り。
浮き上がるドクロの窪んだ眼差しを睨みつけ、集中したのが功を奏した。
背後に、ガチャリ…と、ドアを開く音が聞こえたのは、そんな時だ。
集中が切れ、ドクロが落下する。
「あー、いや、、
浮いてたな、今、、」
少し、間の悪そうなルルヒラだ。
「早かったわねえ、、
まあ、ようやく調子が出そうなところよ?
もう一回ね、、」
今度は手に持つ事も無く、燈火に灯り、宙に浮かぶドクロだ。
「んー、浮かんでるな、しかし、、」
指を手繰り、ドクロをキャッチする。
「まあねえ
ようやく、暇から抜け出せそうね
明日から、かしら」
荷袋を置き、鎧を外すルルヒラに言った。
「あー、そうだな
居ないと飯が、あまり、な?」
「、、でしょうね
まあ、明日から探索復帰よ
ご飯、期待しとくのねえ、、」
次の日から、いつもの魔女然とした格好で復帰するユエリだった。
先の尖ったツバ付き帽子に黒髪を覗かせる。
背後にドクロを漂わせながら…。
肩剥きのローブドレスの上に、青と深い青の波紋が印象的な外套を纏った姿は久しぶりだった。
「今日は、そうねえ、、
もっと奥まで行こうかと、、
思っててね?」
組合の建物の中、丸テーブルに腰掛けるのは三人だ。
「ですか…それでしたら、、
…依頼の方はどうします?」
今日も受付嬢のサクイヤは、栗色髪を降ろしている。
紙片の束をめくりながら聞いてきた。
「んー、そうだな、、
何かあるのか?
俺にも分かるやつでな、、?」
聞き返すのは、まだ眠気の残ってそうなルルヒラだ。
組合に発注された依頼の中には、ダンジョンの奥まで赴かなければ達成出来ないようなものが、放置されているのが現状だった。
依頼主も当たればいいだろう、ぐらいの気持ちで発注したものがほとんどだ。
《ニチリア、西の深木林》の深層に進む冒険者の数が、少ないのが原因だ。
「そうですね…杉林より奥となりますとですね、、
分かりやすいものなら、この辺りですね…」
紙片を幾つか取り出す。
〈極上の滴る肉を
種類/討伐、及び回収
報酬/ウキワグマ一頭につき、銀貨四枚、銅貨二十五枚、焼肉食べ放題チケット五回分
概要/近頃は仕入れが少ねえ、、
肉食いてえ奴は【ミート・グラベル】…フォリンズの魂を育てる【ミート・グラベル】だっ!
異論は認めねえっ、、!〉
「んー?ここもか、、」
「一度、行ってみたいわね
【ミート・グラベル】、、」
「…お父さんと行きましたね
この前です
あと、三回分残ってるんですよ?チケット…
では…次です」
〈アーティファクトを是非
種類/探索
報酬/アーティファクト一つにつき、最低で銀貨三十枚、他に望みがあれば、応相談
概要/アーティファクトを何かしら一つ〉
「アーティファクトねえ
いざとなったら、、
売れるわね、これ、、」
荷袋から片眼鏡、【望遠レンズ・モノクル】を取り出す。
「んー、売る気はないな
今のところだが、、」
「…ですね
でも、望遠レンズ・モノクルなら、、
もっといい値がつくと思いますよ?
さて…最後ですね」
〈琥珀の採掘、或いは討伐
種類/採集、場合によっては討伐
報酬/琥珀の量次第、最大で銀貨十六枚分
概要/フォーク・ウッドの巣穴からの採掘、或いはフォーク・ウッドの根足からの発掘〉
「フォーク・ウッドねえ、、
どうなのよ?実際、、」
【歩く大木】と、そのままな異名の【フォーク・ウッド】だが、伐採業者の日頃の管理が行き届いている地帯では、見掛ける事は滅多に無い。
つまり、伐採業者の足の及ばない地帯では、この魔物が闊歩していると思ってよい。
「そうですね…個体差の大きい魔物なので…
深部では【ベアハンド・マウンテン】と共生関係を築いてますね
他に【木登り葡萄】…
それから【クルイ殻ムシ】との共生も確認されてます
【フォーク・ウッド】は夜行性のものが多くて、昼間は巣穴に生えて擬態している事が、ほとんどですが、、
これも一概に言えませんね…
あ…そうです
歳経た個体ほど、強力でしたね」
深部で【ベアハンド・マウンテン】と共生しているものが歳経た傾向にあるらしい。
歳経た【フォーク・ウッド】の方が、足か巣穴に琥珀を蓄えている場合が多い、との事だった。
「んー、夜行性か、、
で、どれを受けるか、だな」
「受けるだけなら…タダですよ?
この三つの依頼は、特に期限も無いので…」
「そうねえ、、
アーティファクトのやつは、、
抜いとくべきね」
途中、ルルヒラの顔を伺ったものの、やはり気乗りしないようだった。
ユエリ自身も、愛用してる身としては片眼鏡を手放すつもりは無い。
「では…〈極上の滴る肉を〉と、、
〈琥珀の採掘、或いは討伐〉ですね?」
「あー、そうだな、、
決まりか?」
「決まりね
久しぶりの探索よ」
サクイヤに見送られ、二人は組合を出たのだった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる