人でなしと最強少女のサディスティックなハーレム生活

たかまちゆう

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第2話 彼の「奴隷」

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「おはようございます、御主人様」

 目の前の銀髪の少女は、彼を見ながらそう言いました。

 それは、もはや私の妹ではありません。
 妹の姿をした、完全な別人でした。

「おはよう、ミーシャ。お前は、今日から俺の『奴隷』だ。分かったな?」
「はい、御主人様」

 その少女は……ミーシャと同じ姿形で、そして、ミーシャと同じ声で……。
 本日この町にやって来て、知り合ったばかりの男の……「奴隷」としての振る舞いをしたのです。

 私は、しばらくの間、あらゆる思考を停止してしまいました。

「……ミーシャ?」

 私が名前を呼んでも、ミーシャは、いつもの愛らしい笑顔を浮かべることはありませんでした。
 ただ、つまらないものを見るような目で、私を一瞬だけ見たのです。

 それは……明確に、私が妹を失った瞬間でした。

「おい、女。お前の妹だったミーシャは、今日から俺の『奴隷』として生まれ変わった。というわけで、お前とミーシャは今日から他人だ。だから、俺はこいつを旅に連れて行く。分かったな?」
「待ってください! ミーシャの身体を、お助けいただいて……その身体は、今までどおりに暮らすのではないのですか!?」
「馬鹿かお前は? ミーシャは生まれ変わったんだ。お前の妹として振る舞うはずがないだろう?」
「そんな……! それは、あまりにも非道ではないですか! 私にミーシャを返してください!」
「……いいか、女。よく聞け」

 彼は、私のことを見下すような目をしながら、ミーシャの頭に手を乗せました。
 そんな彼を、ミーシャの姿をした彼の「奴隷」は、嬉しそうな顔をしながら見上げています。

 それは、見ることが耐え難い光景でした。

「俺は、マニに食われた女を、俺の女に作り変えて集めている。今日から、ミーシャは俺のコレクションだ。それを奪い取ろうとする奴は……殺すぞ?」
「そんな……!」
「せっかくだ。いっそのこと、ミーシャに殺されてみるか? 今のミーシャは、俺の女に相応しい力を手に入れている。ナイフの1本でもあれば、お前のことなど、一瞬で切り刻んでみせるはずだ。嘘だと思うなら、その身体で試してみればいい」

 彼は、楽しそうに笑いました。
 まるで、人生最高のアイディアを思い付いた、とでも言わんばかりの態度です。

 この男は……最低最悪の人でなしだ。そう思いました。
 私の心に、生まれて初めて、ドス黒い感情が芽生えました。

 出来ることなら、今すぐに、この極悪非道な男を殺してしまいたい。
 しかし……それが難しいことは理解していました。

 先ほどマニを仕留めた少女達の様子を見れば、彼女達が相当な実力者であることは容易に推測できます。
 そして、彼女達は、この最低な男のことを兄や父として慕っているのです。

 彼は、ミーシャも他の少女と同じような力を手に入れたと言いました。
 この、人の道に外れた男は、少女達に強大な力を与えることができる……ということなのでしょうか?
 そのような魔法は、見たことも聞いたこともありません。

 しかし、口から出任せを言っているようには思えませんでした。

 私には、力尽くで妹を取り戻すことなどできません。
 しかし、私のたった1人の大切な妹を、この極悪非道な男に委ねることなど、できるはずがありませんでした。

「でしたら……私を、妹と共に連れて行ってください!」

 私は、必死に懇願しました。

 もはや、これしか方法がありません。
 こんな男と共に旅をするのは、到底耐えられないことです。

 しかし、とにかく妹と一緒にいることが、何よりも重要だと思いました。

 共に旅をしていれば、男の隙を窺うことも、ミーシャを説得することも可能でしょう。
 何とかして、妹を彼から取り戻す方法を見付けねばなりません。

 しかし、彼は……私の言葉を聞いて、鼻で笑いました。

「馬鹿な奴だ。誰がお前など連れて行くか!」
「お願いします! 私も、ミーシャと一緒に……貴方の奴隷にしてください!」

 私は、最大限の譲歩をしました。

 こんな男の奴隷になったら、どれ程悲惨な目に遭うか……想像するだけでも恐ろしいことです。
 そもそも、この国では、奴隷を使用することは認められておりません。人の道に反しているからです。
 しかし、たとえ惨たらしい仕打ちを受けたとしても、ミーシャと一緒ならば耐えられる。そう思いました。

 ところが、彼は、私のそんな悲壮な覚悟をも嘲笑いました。

「冗談じゃない。俺の『奴隷』はミーシャだけだ。まあ、どうしてもと言うなら……」

 男は、そこまで言ってから、私を下卑た目で眺めました。

「今すぐに、全裸になって跪き、改めてお願いすれば……少しだけ考えてやってもいいぞ?」
「!」

 私は、自分の身体を抱いて、後ずさりしました。
 そんな私を見て、彼は満足そうな顔をしました。

「お前のような女に、そんなことは出来ないだろう? まあ……仮に出来たとしても、俺の気は変わらないだろうがな」

 そう言って、彼はゲラゲラと笑いました。

 この男は……私が、それほどのことをして、必死に頼み込んだとしても……妹を連れ去ってしまうと言っているのです。
 それを聞いた時、私の頭の中で、何かが弾けたような気がしました。
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