鬼神の血脈

花影

文字の大きさ
4 / 20

第肆話

しおりを挟む
 2人に用意された離れはまるで高級旅館のような作りになっていた。二間続きの和室に総檜の広い浴室。建具や欄間、置かれている調度の数々の細やかなところにまで職人の技が込められている。
「はぁ……」
 知里は実篤に勧められ、木の香りで満たされたその広い浴室を1人で堪能していた。湯につかるとその贅沢感に自然とため息が出てしまう。
 本当は先に実篤に入ってもらうつもりだったのだが、酒を飲んでいるから後でと言われ、お言葉に甘えさせてもらったのだ。だが、不意に浴室の引き戸が開き、全裸の実篤が入ってくる。
「さ、さぁくん、後からって……」
「後から来ただろう?」
 不敵な笑みを浮かべている彼に嫌な予感が漂う。その場でさっさと上がってしまえばいいのだが、人の良い知里はそれが大変失礼な行いの様に思えて実行に移せない。
 そうやって妻が固まっている間に実篤は手早く髪と体を洗ってシャワーで流す。その彫像のように均整の取れた体はしなやかな筋肉で覆われている。濡れた髪をかき上げ、滴を払う一つ一つの仕草が美しく、思わず見惚れてしまうほどだ。
「捕まえた」
「あ……」
 しかし、彼の隆々とそそり立つ肉棒が目に入り、知里は思わず目を逸らす。その隙に湯船に入ってきた実篤の腕にあっさりと抱きこまれ、その膝の上に乗せられていた。そして頬に手を添えられてそのまま顔が近づいてくる。
「ん……」
 合わせた唇を割り開いて舌が侵入し、からめとられる。深い口づけは酒の香りがする。知里が実篤の首に腕を回すと、彼は彼女の背中を優しく撫でる。その指の動きが絶妙で、それだけで気持ちが高まってくる。
「あぁ……」
 長い口づけから解放されても今度は敏感な耳や首筋に口づけられて喘がされる。背中を撫でていた左手は徐々に下へと移動していき、尻や太ももに指が這っていく。右手は肩から首筋を優しくたどり、胸のふくらみをやわやわと揉み始めた。それだけで知里は体の奥が熱くなってくる。
「さぁくん……」
 ねだるように夫を呼べば、今度は荒々しく唇が合わされる。強引に向き合うように体勢を変えられ、足は夫の体をまたぐように広げられた。全身を荒々しく撫でられ、胸のふくらみを強く揉まれる。
「知里……」
「ん……」
 夫を見つめ返す知里の目は既に官能に捕われてトロンとしている。逆に実篤は目の前のエモノを狙い欲情の炎を立ち昇らせていた。
 まずは目の前にある濃く色づいた胸の尖り。口に含み舌で転がすと、彼女の体が大きくしなって風呂の湯が大きく波立つ。体が逃げないように片手で妻の背中を支え、残る手は吸い付いていない方の胸の飾りを強く摘まんだ。
「あぁっ」
 実篤の攻めに知里の体がビクビクと反応する。これに気を良くした彼は指で攻めていた方の胸に吸い付き、空いた手は胸から腹を経て秘所へと指を添わせる。チュッチュッと音を立てて胸を吸いながら、秘所に這わせた指を往復させているともっと強い刺激を求めて彼女の腰も揺らいでくる。
「ひゃぁん!」
 その要望に応え、最も敏感な秘芯に触れると大きく腰が跳ねた。跳ねる腰を片手で押さえつけ、今度は秘所に指を挿入する。湯と異なるぬめりのおかげで指は難なく飲み込まれる。
「気持ちいいかい?」
 夫の問いに知里は頷く。ゆっくりと繰り返される挿送の甘い刺激に夢中で実篤にしがみつき、妻の胸に顔をうずめる形となった彼は役得とばかりにその谷間に痕を付けた。入れる指を増やし、徐々に激しさを増していけば、彼女はたちまち上り詰める。
「あぁぁぁぁん!」
 実篤にしがみついたまま知里はガクガクと体を震わせて絶頂に達した。そしてガクンと力が抜けて夫にもたれかかる。
「このままここでするか?」
 実篤はもう限界だった。この休暇を取るために、前倒しで仕事をこなしたおかげでこの1週間は帰宅が深夜になっていた。おまけにその前は知里が生理だったので合わせると半月ほど体を交えていない。もちろんちょっとしたスキンシップは欠かさなかったが、彼の欲望はその程度で満たされるものではない。
 付け加えるならば、膝の上にいる妻の内腿で彼自身は挟まれている状態。先ほどまで彼女が腰を揺らすたびにそのすべすべとした太腿で擦られていたおかげで暴発寸前の状態だった。本当は断りなど入れずにそのまま強引に押し入ってしまいたいのだが、それをしてしまうと妻に嫌われる。かろうじて残っていた理性ですんでのところで踏みとどまったのだ。
「……ま……まって……」
 知里は実篤の甘美な誘いに頷きかけたが、はたと我に返る。このままここでしてしまったら、その後はなし崩し的に寝室へ連れ込まれるのは明白だった。
 洗った髪は乾かしたいし、何よりも入浴後のお肌の手入れをしておきたい。実篤の隣にいるのに少しでもふさわしくあるためには日ごろのお手入れを怠るわけにはいかないのだ。
「……仕方ない」
 知里の熱い要望に実篤は折れた。がっくりと項垂れると、知里を膝から降ろして立ち上がる。
「だが、あまり待てない。早めに上がってきてくれ」
 座り込んだままの知里の額に口づけると、実篤は名残惜し気に浴室から出て行った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


お風呂エッチと浴衣でエッチ……どちらにするか迷った挙句、どっちもやっちゃえと断行したところ長くなったので話を分割。後半はまた近日中に。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

君と出逢って

美珠
恋愛
一流企業を退職し、のんびり充電中の元OL純奈。だけど、二十七歳を過ぎて無職独身彼氏ナシだと、もれなく親から結婚の話題を振られてしまう。男は想像の中だけで十分、現実の恋はお断り。純奈は、一生結婚なんてしないと思っていた。そんな矢先、偶然何度も顔を合わせていたイケメン外交官と、交際期間をすっ飛ばしていきなり結婚することに!? ハグもキスもその先もまったく未経験の純奈は、問答無用で大人のカンケイを求められて――。恋愛初心者の元OLとイケメン過ぎる旦那様との一から始める恋の行方は!?

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

偽姫ー身代わりの嫁入りー

水戸けい
恋愛
フェリスは、王女のメイドだった。敗戦国となってしまい、王女を差し出さねばならなくなった国王は、娘可愛さのあまりフェリスを騙して王女の身代わりとし、戦勝国へ差し出すことを思いつき、フェリスは偽の王女として過ごさなければならなくなった。

メイウッド家の双子の姉妹

柴咲もも
恋愛
シャノンは双子の姉ヴァイオレットと共にこの春社交界にデビューした。美しい姉と違って地味で目立たないシャノンは結婚するつもりなどなかった。それなのに、ある夜、訪れた夜会で見知らぬ男にキスされてしまって…? ※19世紀英国風の世界が舞台のヒストリカル風ロマンス小説(のつもり)です。

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

愛情に気づかない鈍感な私

はなおくら
恋愛
幼少の頃、まだ5歳にも満たない私たちは政略結婚という形で夫婦になった。初めて顔を合わせた時、嬉し恥ずかしながら笑い合い、私たちは友達になった。大きくなるにつれて、夫婦が友人同士というのにも違和感を覚えた私は、成人を迎えるその日離婚をするつもりでいた。だけど、彼は私の考えを聞いた瞬間豹変した。

[完結」(R18)最強の聖女様は全てを手に入れる

青空一夏
恋愛
私はトリスタン王国の王女ナオミ。18歳なのに50過ぎの隣国の老王の嫁がされる。最悪なんだけど、両国の安寧のため仕方がないと諦めた。我慢するわ、でも‥‥これって最高に幸せなのだけど!!その秘密は?ラブコメディー

俺にお前の心をくれ〜若頭はこの純愛を諦められない

ラヴ KAZU
恋愛
西園寺組若頭、西園寺健吾は夕凪由梨に惚れた。 由梨を自分の物にしたいと、いきなり由梨のアパートへおしかけ、プロポーズをする。 初対面のヤクザにプロポーズされ、戸惑う由梨。 由梨は父の残した莫大な借金を返さなければいけない。 そのため、東條ホールディングス社長東條優馬の婚約者になる契約を優馬の父親と交わした。 優馬は女癖が悪く、すべての婚約が解消されてしまう。 困り果てた優馬の父親は由梨に目をつけ、永年勤務を約束する代わりに優馬の婚約者になることになった。 由梨は健吾に惹かれ始めていた。でも健吾のプロポーズを受けるわけにはいかない。 由梨はわざと健吾に嫌われるように、ある提案をした。 「私を欲しいなら、相手になります、その代わりお金頂けますか」 由梨は健吾に囲われた。 愛のないはずの優馬の嫉妬、愛のない素振りをする健吾、健吾への気持ちに気づいた由梨。 三人三様のお互いへの愛。そんな中由梨に病魔が迫っていた。

処理中です...