群青の空の下で(修正版)

花影

文字の大きさ
上 下
115 / 435
第1章 群青の騎士団と謎の佳人

閑話 アイドルの座は譲れない2

しおりを挟む
★第2ラウンド


んー極楽、極楽♪
こんな寒い日は暖炉の前がいちばん!
アタシ専用の寝床はふわふわのクッションが詰めてあって寝心地最高!
いくらでも……ふぁぁ……寝て…られる……zzz

ペシッ!

にゃ?

グイッ

にゅ?

グイーッ
ドスン

ニャニャニャ?

何かに押されてアタシは寝床から落ちていた。
寝ぼけまなこで見てみると、あの、憎き小竜がアタシの寝床を占領していた。
しかも仰向けで大の字になって!

許せない!
ここはアタシのものよ!

頭に血が上ったアタシはひらりと寝床に飛び乗った。
必殺ネコパーンチ!……はっ、こいつには効かなかったんだ。

すんでのところで思い出し、アタシは前足を引っ込めた。
ちゃんと学習してんのよ。偉いでしょ?
あの小竜とは違うんだからフフフン。

……はっ、えつに浸っている場合じゃなかった。
コイツをどうにかしなきゃ!

ふと、眠りながらもゆらゆら揺れている奴のしっぽが目に入る。
よし、これよ。これなら奴にダメージを与えられる!

アタシは揺れているしっぽに狙いを定め、慎重に間合いを計って飛びついた。

フミャー!

グッ……グギャ?

目を覚ましたヤツはびっくりして寝床から転げ落ちた。
ふふっ、成功、成功。
アタシは悠々と取り返した寝床に丸まる。
これでゆっくり眠れる。

ビシッ! バシッ!
寝付こうとしたところで何かを叩きつけられる。
もう……なんなのよ?痛いじゃない!

目を開けると怒ったらしいヤツがアタシにしっぽを叩きつけていた。
もう、怒った!人の邪魔ばかりして!
ここはアタシの縄張りよ!

フミャァー!
グギャー!

アタシはヤツに爪を立てて飛びかかった。
奴も応戦し、アタシたちはその場で取っ組み合いを始めた。

ドスン!バタン!

アタシたちが立てる物音にいつの間にか人が集まってきていた。
「何事ですか?騒々しい」

フンギャー!
ギュワー!

取っ組み合っていたアタシたちはいつの間にか持ち上げられていた。
顏をしかめた黒っぽい服の男の人がアタシたちの首根っこを捕まえて顔を覗き込んでいる。

「奥様がお休みになっておられます。こんな時間に騒ぎを起こすとはどういった了見でしょうか?」
男の人はアタシたちの首根っこを掴んだまま、その後もクドクドと小難しい言葉で説教を続けた。

う……何でアタシまでおこられなきゃいけないの?
すべてはアタシの縄張りをおびやかしたアイツが悪いんだ!



勝負は結局、両者の痛み分けで決着つかず。
次回に持ち越し?
しおりを挟む

処理中です...