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「沙織さんは私達を余程巻き込みたくなかったのか、すぐにでも出て行くつもりでいた様だ。だが、今までの疲れからか彼女自身も体調を崩して寝込んでしまった。実家のご両親を亡くした事で伝手を失い、追手から逃れるために随分と無理をしていたらしい」
「義総様はサイラムの事はご存知なかったのですか?」
沙耶は非難めいた視線を義総に向ける。義総がこの時からサイラムの事を知っていたら、沙織も不本意ながらも佐々本に協力していたサラも命を落とさずに済み、あの忌まわしい事件ももう少し違った結末を迎えていたかもしれない。そして沙耶自身も後遺症に悩まされずに済んだかもしれないのだ。義総は深く息をはくと、その疑問に答えた。
「沙織さんは頑なに自分の事を話そうとしなかったから、この時はまだガジュが相手だと知らなかった。だが、それでも大きな組織から逃れようとしているのは嫌でも気付いた。私と綾乃は彼女達の事が外部に漏れないよう、細心の注意を払ってこの別荘に迎え入れた。
自分よりも小さな体で、伝手も何も無い中、そんな何かから子供を守っていた事に私は舌を巻いたが、母親は子供を守る為なら強くなれるのだと綾乃に教えられた。
私は取り押さえられていて身動きが出来なかったが、綾乃は産後直ぐだったのに連れて行かれる我が子を最後まで取り戻そうとしていたし、愛乃は生まれたばかりの子をお家騒動から命がけで守った。そんな彼女達の強さに私は改めて畏敬の念を抱いた」
「そうだったんですか……」
義総の説明で沙耶はどうやら納得したらしい。義総はようやく緊張を解いて昔話を再開する。
「数日もすると子供の方は元気になり、昼間は起きていられる様になった。だが、人見知りの激しいその子はまだ回復していない母親の側から離れようとはせず、綾乃は四苦八苦して世話をしていた。私もたまに早く帰宅した日には構おうとしたのだが、怖がって側にもよらせてもらえない。そこで子供の好みそうなものを買い集めて機嫌を取り、距離を縮めていった。そのおかげで子供は次第に懐いてくれるようになり、嬉しくなった私は盛大に可愛がって甘やかした」
過去の自分の姿に沙耶は恥ずかしくて真っ赤になり、義総は苦笑して抱き寄せた彼女の額に口づけた。
「仕事の方は相変わらず厳しい状況だった。だが、沙織さんのその頑張りを目の当たりにしたおかげで、未だに自分がちっぽけな見栄に囚われている事に気付いた。もうなりふりなど構っている場合では無い。取引先に頭を下げて仕事を貰い、社員には根気強く自分の改革を説明し、協力してくれるよう説得した。何人かは見限って辞めてしまったが、その代りを派遣の登録者の中から希望者を社員として採用した。皮肉な事に人員が入れ替わったおかげで私の改革は成功し、会社はどん底の状態から這い上がることが出来た。
幾度も挫折しそうになった。しかし、帰れば癒してくれる存在が出迎えてくれる。そのおかげでどうにか頑張れたようなものだ。沙織さんだけでなく、沙耶、君も私の恩人なんだ」
義総の告白に沙耶は彼を振り仰ぐ。少し照れているのか、耳が赤くなっていた。それをごまかす様に彼は彼女の頬に口づけた。
「その頃には沙織さんの具合もすっかり良くなっていた。彼女はすぐにでも出て行こうとしていたのだが、当てもないのに出て行っては同じ事の繰り返しになる。本当はそのままここに居てもらっても私達は一向にかまわなかったのだが、当時の私の力ではその相手に立ち向かう事など到底不可能なのは肌で感じていた。
そこで私は父に裏工作を頼んでいた。追手の目を欺く為に、あの火事で2人は死んだ事にして、全く別人として生きて行けるように手配してもらった。父が情報収集の為に人員を送り込むときに使う手法を応用すれば難なくできる事だが、久子に気付かれれば何をされるか分からない。あの女に気取られぬように整えるのは思った以上に時間がかかった。
ここに君達親子を迎えた時にはまだ寒かったのだが、いつの間にか夏になって沙耶の3歳の誕生日を皆で祝った。そして翌日にその知らせは届いた」
義総はもう一度アルバムの1ページ目を広げる。そこには何も知らない沙耶が無邪気な笑みを浮かべてクマのぬいぐるみを抱えている。
「この準備が出来たら沙織さんは沙耶を連れて別荘を出て行くことになっていた。正直、とうとうこの日が来てしまったと陰鬱な気持ちになってしまったが、沙織さんととことん話し合って導き出した互いにとっての最良の答えでもある。私は不承不承父の部下に連絡を取った。
その頃の父は、起きている時間よりも眠っている時間の方が長く、美弥子の父親のおかげでどうにか生きながらえている状態だった。以前に会った時よりも格段に痩せ衰えた父は、その姿に不釣り合いなほど目には気魄が籠っていた。
父は会うなり、どんな手段を使っても久子を潰せと私に命じた。毒を盛って命を狙えば、たとえ実の娘でも裏切り者である事に変わりは無い。久子を憎悪した父は、その気魄に負けて私が頷くとようやく約束の物を手渡してくれた。
この時、もう長くないのが自分でも分かっていたのだろう。小さな会社でも立て直した実績を認めた父は改めて私を後継者に指名し、残っていた全ての部下も引き継ぐことになった。
父の部下達には今までも手助けしてもらっていたが、やる気を出す前は父の命令で仕方なくといった感じだった。だが、留学先のアメリカからMBAを取得して帰国し、小さな会社でも結果を出したことで、父の決定は部下達からはそれ程反発されずに受け入れられた」
こうして引き継いだ人材の中に亡くなってしまったが先代の青柳夫妻や今も執事として仕えてくれる塚原がいた。彼等が義総を認めて仕えてくれた事で、その他にも有用な人材を義総は手に入れることが出来たのだ。
「父の第1秘書と軽く打ち合わせを済ませ、夜になってようやくここに帰ると、招かれざる客が来ていた。どこからか君達親子の事を聞きつけた久子だ。
大倉も全て手中に収めたいあの女にとって、私が結婚して大倉の血を引く者を増やすのは好ましい事ではない。私と沙織さんが恋人同士だと勘違いしたあの女は、金を使って彼女を遠ざけようとした。そのあまりにも乱暴な振舞に耐えかねた沙織さんが久子に食ってかかり、私が別荘についた時には綾乃も彼女も久子の部下に抑え込まれ、君は泣きながら母親に縋っている状態だった」
久子の名を聞いていると、どうしても連れまわされた記憶が脳裏によぎるのか、沙耶は体を強張らせる。義総は宥める様に彼女の背中を優しく撫で、大丈夫だと囁いて落ち着かせる。
「すみません……」
「大丈夫か?」
「はい、続けて下さい」
沙耶が頷くと義総は彼女の額に口づけ、昔話を再開する。
「私が間に割って入り、綾乃や沙織さんを解放すると、聞くに堪えない金切り声で喚き散らした。どうやら取るに足らない存在だったはずの弟が、会わなかった数年の間に様変わりしていて驚いたらしい。その間に女性陣を下がらせ、二度と来るなと言ってあの女を追い返した。
不便を嫌うあの女がこんな田舎まで出向いて来るのは予想外だった。あの女を油断させるために本当はもう少し爪を隠しておくつもりだったし、関係のない君達親子を巻き込むつもりは無かった。多少自信を付けていた時期だっただけに、まだまだ力不足なのを改めて痛感させられた」
あの頃にもっと力があれば、沙織や沙耶を危険な目に合わせずに済んだだろう。そして何より、あの事件は起こらず、沙織は今でも健在だったかもしれないのだ。義総は当時の力不足を今でも悔やんでいた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「何だ、このカワイイ生き物は!?」
初めて沙耶を見た義総の第一印象。
彼が今まで接した事がある子供は生意気な明人だけ。
この時、人生で2度めのカルチャーショックを受けた。
「義総様はサイラムの事はご存知なかったのですか?」
沙耶は非難めいた視線を義総に向ける。義総がこの時からサイラムの事を知っていたら、沙織も不本意ながらも佐々本に協力していたサラも命を落とさずに済み、あの忌まわしい事件ももう少し違った結末を迎えていたかもしれない。そして沙耶自身も後遺症に悩まされずに済んだかもしれないのだ。義総は深く息をはくと、その疑問に答えた。
「沙織さんは頑なに自分の事を話そうとしなかったから、この時はまだガジュが相手だと知らなかった。だが、それでも大きな組織から逃れようとしているのは嫌でも気付いた。私と綾乃は彼女達の事が外部に漏れないよう、細心の注意を払ってこの別荘に迎え入れた。
自分よりも小さな体で、伝手も何も無い中、そんな何かから子供を守っていた事に私は舌を巻いたが、母親は子供を守る為なら強くなれるのだと綾乃に教えられた。
私は取り押さえられていて身動きが出来なかったが、綾乃は産後直ぐだったのに連れて行かれる我が子を最後まで取り戻そうとしていたし、愛乃は生まれたばかりの子をお家騒動から命がけで守った。そんな彼女達の強さに私は改めて畏敬の念を抱いた」
「そうだったんですか……」
義総の説明で沙耶はどうやら納得したらしい。義総はようやく緊張を解いて昔話を再開する。
「数日もすると子供の方は元気になり、昼間は起きていられる様になった。だが、人見知りの激しいその子はまだ回復していない母親の側から離れようとはせず、綾乃は四苦八苦して世話をしていた。私もたまに早く帰宅した日には構おうとしたのだが、怖がって側にもよらせてもらえない。そこで子供の好みそうなものを買い集めて機嫌を取り、距離を縮めていった。そのおかげで子供は次第に懐いてくれるようになり、嬉しくなった私は盛大に可愛がって甘やかした」
過去の自分の姿に沙耶は恥ずかしくて真っ赤になり、義総は苦笑して抱き寄せた彼女の額に口づけた。
「仕事の方は相変わらず厳しい状況だった。だが、沙織さんのその頑張りを目の当たりにしたおかげで、未だに自分がちっぽけな見栄に囚われている事に気付いた。もうなりふりなど構っている場合では無い。取引先に頭を下げて仕事を貰い、社員には根気強く自分の改革を説明し、協力してくれるよう説得した。何人かは見限って辞めてしまったが、その代りを派遣の登録者の中から希望者を社員として採用した。皮肉な事に人員が入れ替わったおかげで私の改革は成功し、会社はどん底の状態から這い上がることが出来た。
幾度も挫折しそうになった。しかし、帰れば癒してくれる存在が出迎えてくれる。そのおかげでどうにか頑張れたようなものだ。沙織さんだけでなく、沙耶、君も私の恩人なんだ」
義総の告白に沙耶は彼を振り仰ぐ。少し照れているのか、耳が赤くなっていた。それをごまかす様に彼は彼女の頬に口づけた。
「その頃には沙織さんの具合もすっかり良くなっていた。彼女はすぐにでも出て行こうとしていたのだが、当てもないのに出て行っては同じ事の繰り返しになる。本当はそのままここに居てもらっても私達は一向にかまわなかったのだが、当時の私の力ではその相手に立ち向かう事など到底不可能なのは肌で感じていた。
そこで私は父に裏工作を頼んでいた。追手の目を欺く為に、あの火事で2人は死んだ事にして、全く別人として生きて行けるように手配してもらった。父が情報収集の為に人員を送り込むときに使う手法を応用すれば難なくできる事だが、久子に気付かれれば何をされるか分からない。あの女に気取られぬように整えるのは思った以上に時間がかかった。
ここに君達親子を迎えた時にはまだ寒かったのだが、いつの間にか夏になって沙耶の3歳の誕生日を皆で祝った。そして翌日にその知らせは届いた」
義総はもう一度アルバムの1ページ目を広げる。そこには何も知らない沙耶が無邪気な笑みを浮かべてクマのぬいぐるみを抱えている。
「この準備が出来たら沙織さんは沙耶を連れて別荘を出て行くことになっていた。正直、とうとうこの日が来てしまったと陰鬱な気持ちになってしまったが、沙織さんととことん話し合って導き出した互いにとっての最良の答えでもある。私は不承不承父の部下に連絡を取った。
その頃の父は、起きている時間よりも眠っている時間の方が長く、美弥子の父親のおかげでどうにか生きながらえている状態だった。以前に会った時よりも格段に痩せ衰えた父は、その姿に不釣り合いなほど目には気魄が籠っていた。
父は会うなり、どんな手段を使っても久子を潰せと私に命じた。毒を盛って命を狙えば、たとえ実の娘でも裏切り者である事に変わりは無い。久子を憎悪した父は、その気魄に負けて私が頷くとようやく約束の物を手渡してくれた。
この時、もう長くないのが自分でも分かっていたのだろう。小さな会社でも立て直した実績を認めた父は改めて私を後継者に指名し、残っていた全ての部下も引き継ぐことになった。
父の部下達には今までも手助けしてもらっていたが、やる気を出す前は父の命令で仕方なくといった感じだった。だが、留学先のアメリカからMBAを取得して帰国し、小さな会社でも結果を出したことで、父の決定は部下達からはそれ程反発されずに受け入れられた」
こうして引き継いだ人材の中に亡くなってしまったが先代の青柳夫妻や今も執事として仕えてくれる塚原がいた。彼等が義総を認めて仕えてくれた事で、その他にも有用な人材を義総は手に入れることが出来たのだ。
「父の第1秘書と軽く打ち合わせを済ませ、夜になってようやくここに帰ると、招かれざる客が来ていた。どこからか君達親子の事を聞きつけた久子だ。
大倉も全て手中に収めたいあの女にとって、私が結婚して大倉の血を引く者を増やすのは好ましい事ではない。私と沙織さんが恋人同士だと勘違いしたあの女は、金を使って彼女を遠ざけようとした。そのあまりにも乱暴な振舞に耐えかねた沙織さんが久子に食ってかかり、私が別荘についた時には綾乃も彼女も久子の部下に抑え込まれ、君は泣きながら母親に縋っている状態だった」
久子の名を聞いていると、どうしても連れまわされた記憶が脳裏によぎるのか、沙耶は体を強張らせる。義総は宥める様に彼女の背中を優しく撫で、大丈夫だと囁いて落ち着かせる。
「すみません……」
「大丈夫か?」
「はい、続けて下さい」
沙耶が頷くと義総は彼女の額に口づけ、昔話を再開する。
「私が間に割って入り、綾乃や沙織さんを解放すると、聞くに堪えない金切り声で喚き散らした。どうやら取るに足らない存在だったはずの弟が、会わなかった数年の間に様変わりしていて驚いたらしい。その間に女性陣を下がらせ、二度と来るなと言ってあの女を追い返した。
不便を嫌うあの女がこんな田舎まで出向いて来るのは予想外だった。あの女を油断させるために本当はもう少し爪を隠しておくつもりだったし、関係のない君達親子を巻き込むつもりは無かった。多少自信を付けていた時期だっただけに、まだまだ力不足なのを改めて痛感させられた」
あの頃にもっと力があれば、沙織や沙耶を危険な目に合わせずに済んだだろう。そして何より、あの事件は起こらず、沙織は今でも健在だったかもしれないのだ。義総は当時の力不足を今でも悔やんでいた。
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