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第2章 創造者《クリエイター》の冒険者ギルド
第21話 新しい朝が来た
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魔力がない。
武器がフォーク。
一張羅はナイフでぶっ刺されて破れたうえに、自分の血液で汚れたから速攻でゴミ箱行き。
幸先が良すぎる異世界転生生活でどうなるかと思ったが、アンジェの家はとても快適だった。まず、俺の自室として親父さんが使っていた部屋を貸してくれた。
しかも彼の服も勝手に着ていいというから助かった。なんせ服を買う金もない。お言葉に甘えて使わせてもらっている。
そんなこんなで迎えた二日目の朝。
眠っていると俺の掛け布団にボフッと音を立て何か落ちてきた。
「起きたまえよ、勇者様」
徐に目を開けるとノアがヌッと前のめりになって俺を見つめていた。
朝一番に見たのがこいつのどアップ顔だとは、なんて目覚めの悪い朝だ。
「重てえ……早く避けろよ」
目をこすり、むくっと起き上がる。
昨日は死んだり転生したりしたからか、まだ体の疲れは取れ切れていないようだ。頭も働いていないし、欠伸も出る。それでもノアは眠そうな俺のことを何一つ構うことなく、部屋を出ようとしていた。
「朝飯だ。アンジェが待ってる」
どうやら、ノアはアンジェに言われて俺を呼びに行ったらしい。アンジェが待っているなら、話は別だ。
「わかった……起きるよ」
俺は欠伸をしながらも、借りた部屋着のまま一度リビングに戻った。
リビングに行くと、すでに朝食が並べられていた。
「おはようムギちゃん。よく寝れた?」
「ああ。寝心地良いベッドだったよ」
「そう、それはよかった。服のサイズも良さそうね。大丈夫? 父親の加齢臭染みついてない?」
「だ、大丈夫だ……色々気遣ってくれてありがとう」
そんなところ気にしなくていいのにと思うが、アンジェは「それはそれは」と上品に笑った。
「さ、ご飯食べましょ」
アンジェに誘われて、俺も席に座る。
俺の朝食は野菜スープとスクランブルエッグに焼きベーコン。そしてパンだ。どうやらこの世界の主食はパンらしい。
ちなみにノアのご飯は今日も果物だ。もうすでにムシャムシャと音を立てて食べている。俺もありがたくいただくとしよう。
手を合わせ、作ってくれた焼きベーコンにナイフを入れていると、アンジェが話しかけてきた。
「ところでムギちゃん。今日の予定は?」
「予定? これといって、なんもないけど」
「なら、一緒にギルドに行かない?」
「おお、ギルド」
昨日はドタバタして触れることができなかったが、ギルドには興味があった。
勝手なイメージだが、おそらくギルドとは「日雇い派遣」のようなものだろう。『クエスト』という名の職を紹介し、無事に終えたら報酬をもらう。働く内容は違えど、その辺りはどの世界も似たようなものなのかもしれない。
一応俺にもプライドがあるのだ。アンジェの家に世話になる以上、なんらかの恩を返さねば。でないと、男が廃る。この家でこれ以上男が廃れたら色々まずい気がする。
「勿論、お供するぜ」
コクリと頷くとアンジェは「よかったー」と嬉しそうに目を細めた。
「実は昨日ムギちゃんのことを話したら『ぜひ会ってみたい』っていう子がいたのよ」
「会いたいって、俺に?」
「他に誰がいるっていうのよ。ムギちゃんったら、モテモテね」
「うふ」と言いながら、アンジェは少し赤く染まった頬に両手を当てる。相変わらず乙女チックな仕草だ。どうリアクション取るのが正解なのだろうか。もう半笑いしかできん。
それにしても、俺に会いたいか……。
いったい、誰なのだろう。そう思いながらも俺はナイフで切った焼きベーコンをフォークで刺し、そのまま口に入れた。
武器がフォーク。
一張羅はナイフでぶっ刺されて破れたうえに、自分の血液で汚れたから速攻でゴミ箱行き。
幸先が良すぎる異世界転生生活でどうなるかと思ったが、アンジェの家はとても快適だった。まず、俺の自室として親父さんが使っていた部屋を貸してくれた。
しかも彼の服も勝手に着ていいというから助かった。なんせ服を買う金もない。お言葉に甘えて使わせてもらっている。
そんなこんなで迎えた二日目の朝。
眠っていると俺の掛け布団にボフッと音を立て何か落ちてきた。
「起きたまえよ、勇者様」
徐に目を開けるとノアがヌッと前のめりになって俺を見つめていた。
朝一番に見たのがこいつのどアップ顔だとは、なんて目覚めの悪い朝だ。
「重てえ……早く避けろよ」
目をこすり、むくっと起き上がる。
昨日は死んだり転生したりしたからか、まだ体の疲れは取れ切れていないようだ。頭も働いていないし、欠伸も出る。それでもノアは眠そうな俺のことを何一つ構うことなく、部屋を出ようとしていた。
「朝飯だ。アンジェが待ってる」
どうやら、ノアはアンジェに言われて俺を呼びに行ったらしい。アンジェが待っているなら、話は別だ。
「わかった……起きるよ」
俺は欠伸をしながらも、借りた部屋着のまま一度リビングに戻った。
リビングに行くと、すでに朝食が並べられていた。
「おはようムギちゃん。よく寝れた?」
「ああ。寝心地良いベッドだったよ」
「そう、それはよかった。服のサイズも良さそうね。大丈夫? 父親の加齢臭染みついてない?」
「だ、大丈夫だ……色々気遣ってくれてありがとう」
そんなところ気にしなくていいのにと思うが、アンジェは「それはそれは」と上品に笑った。
「さ、ご飯食べましょ」
アンジェに誘われて、俺も席に座る。
俺の朝食は野菜スープとスクランブルエッグに焼きベーコン。そしてパンだ。どうやらこの世界の主食はパンらしい。
ちなみにノアのご飯は今日も果物だ。もうすでにムシャムシャと音を立てて食べている。俺もありがたくいただくとしよう。
手を合わせ、作ってくれた焼きベーコンにナイフを入れていると、アンジェが話しかけてきた。
「ところでムギちゃん。今日の予定は?」
「予定? これといって、なんもないけど」
「なら、一緒にギルドに行かない?」
「おお、ギルド」
昨日はドタバタして触れることができなかったが、ギルドには興味があった。
勝手なイメージだが、おそらくギルドとは「日雇い派遣」のようなものだろう。『クエスト』という名の職を紹介し、無事に終えたら報酬をもらう。働く内容は違えど、その辺りはどの世界も似たようなものなのかもしれない。
一応俺にもプライドがあるのだ。アンジェの家に世話になる以上、なんらかの恩を返さねば。でないと、男が廃る。この家でこれ以上男が廃れたら色々まずい気がする。
「勿論、お供するぜ」
コクリと頷くとアンジェは「よかったー」と嬉しそうに目を細めた。
「実は昨日ムギちゃんのことを話したら『ぜひ会ってみたい』っていう子がいたのよ」
「会いたいって、俺に?」
「他に誰がいるっていうのよ。ムギちゃんったら、モテモテね」
「うふ」と言いながら、アンジェは少し赤く染まった頬に両手を当てる。相変わらず乙女チックな仕草だ。どうリアクション取るのが正解なのだろうか。もう半笑いしかできん。
それにしても、俺に会いたいか……。
いったい、誰なのだろう。そう思いながらも俺はナイフで切った焼きベーコンをフォークで刺し、そのまま口に入れた。
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