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第3章 青年剣士の過日
第50話 強くなった実感がないのですが
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「はい、これお土産。『カトミア』の名物・ミレアよ」
そう言って彼が袋から取り出したのは、スコーンのような丸い焼き菓子だった。それと一緒にピンク色のマンゴーみたいな楕円形の果物も出てきた。こちらはノアのためのお土産らしい。
「今、お昼作ってあげるからそれ食べて待ってて」
「疲れてないのか?」
「うん。行きは知り合いに送ってもらったし、帰りはウィンド・コア・ピンを使ったからね。楽勝よ」
ヒラッと手を振った彼はハットと鞄を衣紋掛けに掛け、そのまま台所に向かう。
一方、ノアもアンジェのお土産に興味を持ったのか、ぴょんと飛んで机の上に登った。
おそらくいつものようにアンジェが皮を切って深皿にのせてあげるつもりだっただろう。だがノアはそれを待たずして果物にかぶりついた。
「あ、これ美味いわ」
それだけ感想を告げた彼はそのままむしゃむしゃと食べ始める。相変わらずマイペースな奴だ。
そんな俺も手は買ってきてくれたミレアに伸びていた。
一口サイズのミレアをパクっと口の中に入れる。その途端に口の中でほろほろと崩れ、塩味と甘味が同時に溶けた。美味い。味も程好いバランスで、一度食べたら止まらなくなる奴だ。
「ありがとうアンジェ。めっちゃ美味い」
「そ、お口に合ってよかったわ」
調理中だったので振り向きはしなかったが、声は嬉しそうだった。
アンジェが鼻歌を歌いながら昼食を作ってくれている。ほんの少しの間いなかっただけなのに、こうして台所に立つアンジェを見るのは、なんだか懐かしく思えた。
それにしてもアンジェはタフだ。『カトミア』がどこかは知らないが、旅から帰ってきたばかりなのに疲れを一切感じない。
昼食だってそれからあっという間に出てきたし、休む間もなく片付けも始めた。しかも、それを終えたら夕食の買い出しに出ると言う。
勿論、買い出しには俺たちも付き合うが、本当に休まなくていいのだろうか。
「なあ、買い出しくらい俺が行くけど」
心配して聞いてみるが、アンジェは「大丈夫」と首を振る。
「だって、久しぶりに一緒に買い物に行きたいじゃない?」
「ウフッ」と言いながら、アンジェは歌いながら踊るようにスキップする。その動きで彼が持つバスケットも派手に振られているのだが、このまま吹っ飛んだりしないだろうか。なんだろう。スキップといい、腕の振りといい、彼の動きに激しさを感じる。
「なあ、アンジェの奴、やたらテンション高くない?」
アンジェに聞こえないように頭上にいるノアに訊いてみる。けれどもノアは「そうか?」と言うだけで欠伸するだけだった。使えない奴だ。
ただ、これも「いつも通り」と言われたら「いつも通り」ではある。俺の考えすぎと言われたら、それまでだ。
「……気のせいか」
そんな独り言をこぼしながら、俺は楽しげなアンジェの背中を見つめた。
◆ ◆ ◆
夜のこと。
アンジェが早めに床に就いたので、今日は俺も大人しく休むことにした。
ベッドに横たわり、窓から見える月を見つめる。アンジェも無事に帰ってきたことだし、明日からはまたギルドの仕事が始まる。
果たして修行の成果は出ているのだろうか。緊張もするが、楽しみでもある。そして、そんなことを思えるようになったのも俺もこの世界にだいぶ馴染んできたらしい。
ぼんやりとそんなことを考えていると、いつもはその辺で丸くなって寝ているノアが珍しく俺の腹の上に乗ってきた。
「喜べ。貴様、レベルが上がってるぞ」
「……え?」
唐突に言われぽかんとしてしまったが、ノアは構わず俺の前にステータスボードを出した。
「ほら、レベルが三になってる」
「は? いつ?」
慌ててボードを見ると、確かにレベルが「三」になっていた。多分、クーラの洞窟で倒した魔物とゴレちゃん・ムンちゃんと戦った時の経験値だろう。
そう言って彼が袋から取り出したのは、スコーンのような丸い焼き菓子だった。それと一緒にピンク色のマンゴーみたいな楕円形の果物も出てきた。こちらはノアのためのお土産らしい。
「今、お昼作ってあげるからそれ食べて待ってて」
「疲れてないのか?」
「うん。行きは知り合いに送ってもらったし、帰りはウィンド・コア・ピンを使ったからね。楽勝よ」
ヒラッと手を振った彼はハットと鞄を衣紋掛けに掛け、そのまま台所に向かう。
一方、ノアもアンジェのお土産に興味を持ったのか、ぴょんと飛んで机の上に登った。
おそらくいつものようにアンジェが皮を切って深皿にのせてあげるつもりだっただろう。だがノアはそれを待たずして果物にかぶりついた。
「あ、これ美味いわ」
それだけ感想を告げた彼はそのままむしゃむしゃと食べ始める。相変わらずマイペースな奴だ。
そんな俺も手は買ってきてくれたミレアに伸びていた。
一口サイズのミレアをパクっと口の中に入れる。その途端に口の中でほろほろと崩れ、塩味と甘味が同時に溶けた。美味い。味も程好いバランスで、一度食べたら止まらなくなる奴だ。
「ありがとうアンジェ。めっちゃ美味い」
「そ、お口に合ってよかったわ」
調理中だったので振り向きはしなかったが、声は嬉しそうだった。
アンジェが鼻歌を歌いながら昼食を作ってくれている。ほんの少しの間いなかっただけなのに、こうして台所に立つアンジェを見るのは、なんだか懐かしく思えた。
それにしてもアンジェはタフだ。『カトミア』がどこかは知らないが、旅から帰ってきたばかりなのに疲れを一切感じない。
昼食だってそれからあっという間に出てきたし、休む間もなく片付けも始めた。しかも、それを終えたら夕食の買い出しに出ると言う。
勿論、買い出しには俺たちも付き合うが、本当に休まなくていいのだろうか。
「なあ、買い出しくらい俺が行くけど」
心配して聞いてみるが、アンジェは「大丈夫」と首を振る。
「だって、久しぶりに一緒に買い物に行きたいじゃない?」
「ウフッ」と言いながら、アンジェは歌いながら踊るようにスキップする。その動きで彼が持つバスケットも派手に振られているのだが、このまま吹っ飛んだりしないだろうか。なんだろう。スキップといい、腕の振りといい、彼の動きに激しさを感じる。
「なあ、アンジェの奴、やたらテンション高くない?」
アンジェに聞こえないように頭上にいるノアに訊いてみる。けれどもノアは「そうか?」と言うだけで欠伸するだけだった。使えない奴だ。
ただ、これも「いつも通り」と言われたら「いつも通り」ではある。俺の考えすぎと言われたら、それまでだ。
「……気のせいか」
そんな独り言をこぼしながら、俺は楽しげなアンジェの背中を見つめた。
◆ ◆ ◆
夜のこと。
アンジェが早めに床に就いたので、今日は俺も大人しく休むことにした。
ベッドに横たわり、窓から見える月を見つめる。アンジェも無事に帰ってきたことだし、明日からはまたギルドの仕事が始まる。
果たして修行の成果は出ているのだろうか。緊張もするが、楽しみでもある。そして、そんなことを思えるようになったのも俺もこの世界にだいぶ馴染んできたらしい。
ぼんやりとそんなことを考えていると、いつもはその辺で丸くなって寝ているノアが珍しく俺の腹の上に乗ってきた。
「喜べ。貴様、レベルが上がってるぞ」
「……え?」
唐突に言われぽかんとしてしまったが、ノアは構わず俺の前にステータスボードを出した。
「ほら、レベルが三になってる」
「は? いつ?」
慌ててボードを見ると、確かにレベルが「三」になっていた。多分、クーラの洞窟で倒した魔物とゴレちゃん・ムンちゃんと戦った時の経験値だろう。
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今までありがとうございました!
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追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
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