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ストーリー
夢渡り
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木の実を食べて戻ってくると、リュカスは藍色のローブの子を休ませたいと言い出した。ペディアが閉じ込められた山についての話は、次の日に話してくれることになり、ペディアが寝ていた落ち葉布団で眠ることになった。
∞----------------------∞
歩く度に出来上がる波紋の音を聞きながら、色のない空間を歩いていた。
『あっ、いたいた!』
頭に響くような声が聞こえたかと思うと、目の前にペディアの知る少年アガーべが姿を現した。
「アガーべ?!どうしたの?大丈夫??」
『ペディ姉、見つかってよかった!探してたんだよ?』
アガーべは『ふふっ』と笑いながら抱きついてきた。ペディアは思わぬ展開に少し頭がついていけていなかった。
『ペディ姉、いま大丈夫?これ、結構魔力使うから、あまり頻繁にできるものじゃないんだけど…』
「うん?今のところは大丈夫よ。どうしたの?アガーべは今どこにいるの?」
『ペディ姉、落ち着いて、聞いて欲しい。あまり時間はないから、手短に説明するね』
アガーべは一呼吸置いてから、話し始めた。
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
僕はいま、"夢渡り"といって、ペディ姉の眠っている夢の中にお邪魔させてもらっているんだ。簡単に言えば、僕の夢とペディ姉の夢を繋いで同じ夢を見ているという形。分かるかな?
それでね、ペディ姉に1つ大事なことを伝えないといけなくて、この形を取らせてもらったんだけど…、いまは家に帰って来ないで欲しい。
パパが…、ペディ姉のパパが、家中をぐちゃぐちゃにしてるんだ。それはもう、酷いよ。何かを探してるみたいで、多分ペディ姉を捜してるんじゃないかな?
ペディ姉の部屋が1番荒れ方がすごいの。
僕はいま、庭のすみっこに避難中なんだけど、僕の存在がバレるんじゃないかってちょっと不安かな。
僕のところはそんな感じ!ペディ姉は?
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
一方的に少し早口気味に話したアガーべの話を聞き終えて、ペディアは少し決意したような目で言った。
「あのね…、まだハッキリしてないからなんとも言えないんだけど、これは言える。白い狼さんに助けてもらったの。名前は…」
『ああああ!!』
ペディアはゆっくりと考えながら話そうとしていたところに、突然のアガーべの声に驚いて口をつぐんだ。
『ペディ姉、"白い狼さん"でいいよ!魔物に関しては安易に人に名前を教えちゃダメ。人と違って強力な力を持つものだから!』
アガーべの必死な説得力で、ペディアは首を傾げながらも了承し、リュカスの名前を伏せて伝えることになった。
「白い狼さんは、まだ名前は聞いてないけど、藍色のローブの子を"主"って呼んでて…。多分使い魔とかそういう類いなんだと思う。
藍色のローブの子がなんか、熱があるのか分からないけど、息が荒くてちょっと心配かな…。白い狼さんはあの子のことを触らせてくれないし、あんまり深入りするのも引けるから、距離は取ってるんだけど…。」
『ペディ姉が心配してあげてるだけでも大丈夫だと思うよ。僕はそろそろパパの様子を見に行きたいから、戻るね。
何かあったら、僕の名前を心の中で呼んで。何らかの形でまた来るよ』
「…うん」
ペディアとアガーべは手を振って、その場で別れた。
∞----------------------∞
ふと目が覚める。アガーべとの夢が終わったからだろう。日はまだ昇っておらず、外は暗かった。"夢渡り"は思った以上に魔力と気力を使うらしい。気怠い身体で寝返りを打って、二度寝をし始めた。
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歩く度に出来上がる波紋の音を聞きながら、色のない空間を歩いていた。
『あっ、いたいた!』
頭に響くような声が聞こえたかと思うと、目の前にペディアの知る少年アガーべが姿を現した。
「アガーべ?!どうしたの?大丈夫??」
『ペディ姉、見つかってよかった!探してたんだよ?』
アガーべは『ふふっ』と笑いながら抱きついてきた。ペディアは思わぬ展開に少し頭がついていけていなかった。
『ペディ姉、いま大丈夫?これ、結構魔力使うから、あまり頻繁にできるものじゃないんだけど…』
「うん?今のところは大丈夫よ。どうしたの?アガーべは今どこにいるの?」
『ペディ姉、落ち着いて、聞いて欲しい。あまり時間はないから、手短に説明するね』
アガーべは一呼吸置いてから、話し始めた。
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僕はいま、"夢渡り"といって、ペディ姉の眠っている夢の中にお邪魔させてもらっているんだ。簡単に言えば、僕の夢とペディ姉の夢を繋いで同じ夢を見ているという形。分かるかな?
それでね、ペディ姉に1つ大事なことを伝えないといけなくて、この形を取らせてもらったんだけど…、いまは家に帰って来ないで欲しい。
パパが…、ペディ姉のパパが、家中をぐちゃぐちゃにしてるんだ。それはもう、酷いよ。何かを探してるみたいで、多分ペディ姉を捜してるんじゃないかな?
ペディ姉の部屋が1番荒れ方がすごいの。
僕はいま、庭のすみっこに避難中なんだけど、僕の存在がバレるんじゃないかってちょっと不安かな。
僕のところはそんな感じ!ペディ姉は?
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一方的に少し早口気味に話したアガーべの話を聞き終えて、ペディアは少し決意したような目で言った。
「あのね…、まだハッキリしてないからなんとも言えないんだけど、これは言える。白い狼さんに助けてもらったの。名前は…」
『ああああ!!』
ペディアはゆっくりと考えながら話そうとしていたところに、突然のアガーべの声に驚いて口をつぐんだ。
『ペディ姉、"白い狼さん"でいいよ!魔物に関しては安易に人に名前を教えちゃダメ。人と違って強力な力を持つものだから!』
アガーべの必死な説得力で、ペディアは首を傾げながらも了承し、リュカスの名前を伏せて伝えることになった。
「白い狼さんは、まだ名前は聞いてないけど、藍色のローブの子を"主"って呼んでて…。多分使い魔とかそういう類いなんだと思う。
藍色のローブの子がなんか、熱があるのか分からないけど、息が荒くてちょっと心配かな…。白い狼さんはあの子のことを触らせてくれないし、あんまり深入りするのも引けるから、距離は取ってるんだけど…。」
『ペディ姉が心配してあげてるだけでも大丈夫だと思うよ。僕はそろそろパパの様子を見に行きたいから、戻るね。
何かあったら、僕の名前を心の中で呼んで。何らかの形でまた来るよ』
「…うん」
ペディアとアガーべは手を振って、その場で別れた。
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ふと目が覚める。アガーべとの夢が終わったからだろう。日はまだ昇っておらず、外は暗かった。"夢渡り"は思った以上に魔力と気力を使うらしい。気怠い身体で寝返りを打って、二度寝をし始めた。
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