夜空の天ちゃむ

牙夢乃時雨

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学園生活編

天ちゃむの克服

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「私、頑張る!先生に言ってもう一回頼んでみる。」

 天ちゃむはそう言い勢いよく保健室を飛び出し走って行った。保健室の先生が保健室に入る時と重なったので、先生は驚いた。

「私も昔、カボチャのお化けが怖くて、カボチャが食べられない時期があったなぁ。天ちゃむよ!がんばれ!」

 横でずっといた南条がここで初めて口をひらいた。

「南条、なんでなんもしゃべらないのさ。」

「んーなんとなく。」

「なんだそれー。」

「でも、朱里が来るまでは、天ちゃむと恋話とか、快麻との関係とかしゃべってたけどね。」

 正直気になる話ばかりしているのは何だろうか。それに、私が来て大急ぎで静寂なモードになっていたのは場違いだったんじゃないかとか思って顔が真っ赤になりましたが、結果的に天ちゃむが元気になってよかったです。

「それじゃあ、私たちも天ちゃむの有志をみとどけなきゃね。」

 保健室の先生に今ここで合ったこと報告して、私たちもグラウンドへ向かった。



「天ちゃむ、次は大丈夫なんだな。と言いたいところだけど、まずは快麻がじゅんびしているから、まず見ててくれ。」

 私たちがもどるとそんな会話が聞こえた。天ちゃむと合流し走ろうとしているか今の方向を見て、三人でグラウンドの上に体育座りをした。

「先生!そろそろ走りたいんですけど、いいですかー?」

「あぁ悪かった、それじゃあ行くぞ、位置について!」

 快麻くんはスタンディングスタートの構えをすると思いきや、見たことのない、獣が獲物を狙うかのような姿勢をした。

「よーい。」

バンッ、始まった。

 快麻くんの走り方がすごすぎる。人間は直立二足歩行のはずなのに、四足で走っている。そして、一歩一歩が大きい、そしてその走りは人間離れしていて、気づいたころにはゴール地点にいた。

「快麻、1分36秒!速すぎないか。どこでどんな訓練をしたんだ?」

「へ、いつも通りですよ。」

 快麻は何もなかったかのような表情で先生に答えた。私は走る快麻くんのことをみて、さらにかっこいいと思った。南条が天ちゃむに聞いた快麻との関係について知りたくなったが、それは追々聞いていこう、転校してきたばっかりだから、余計な散策はしないほうがいいと思っている。

「南条、天ちゃむを保健室に連れて行ってくれてありがとな。感謝してる。」

 南条が快麻から感謝されている。

「何もだよ、困ったときはお互い様だぞ、でも次からは快麻くんが行ってあげて、その方が天ちゃむも喜ぶと思うよ。」

 小声で話していたが、私はすぐそばにいたので聞こえていた。天ちゃむには聞こえてないだろう。私は余計なことを考えないようにした。

「それじゃ、南条と天ちゃむ次行くぞ、南条は1500mじゃなくていいぞ、正直冗談だ。よし並べ!」

 二人は800mのスタート地点へと向かって行った。
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