君は僕を認めてくれない

軍艦あびす

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第2話

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 思い返せば、『おかしい』と言われなかった事自体が少なくない。
 確かに幼稚園生の頃は誕生日に特撮番組の剣や銃の玩具を買ってもらおうとしていた記憶がある。それから時間が経てば、男女問わずプレイしているような万人向けゲーム等を好むようになったがあの頃の親が疑問を持たず接していたことが不思議でしかたなかった。
 いや、疑問は持っていたのかも知れない。
 今でも稀に少年誌を読むことはあるが、別におかしくはないと思っている。
 自宅のベッドに寝転がり、目を伏せるように過去を散策していた。
 途端、聴き慣れた声が扉の向こう側から聞こえた。
「お姉ちゃ~ん、ご飯だよ~」
 時計を見ると、時計の針は十九時半を指していた。
「……はぁ…今行くからぁ………」
 身体が重く感じる。どうにか時間をかけ起き上がり、リビングルームへ向かって歩き出していつもの光景にたどり着くと、椅子へと腰掛けた。 
 いつも通りの質素な夕飯を妹と二人きりで食べる日常、普段となんら変わりない筈なのに、昨日、あの事を斗真に知られていたという事実が味を少し濁していた。
「……どうしたのお姉ちゃん…不味かった?」
 私が落ち込んでいることに気付き、気にかけてくれた。
「…いや、美味しいよ……いつもごめんね。お姉ちゃん料理下手だから……」
 少し申し訳無く感じながら、言葉を口にすると「大丈夫だよ。私、お料理好きだから」と笑顔で返してくれた。
「本当に…ごめんね。」
 
 本当なら早く吐き出してしまいたい。
 正直言って、今の気持ちを桜さんに伝える事に関しては数ヶ月前から覚悟していた。だが、最後の一押しである秘密の暴露だけが気がかりで、覚悟が決まらず保留を繰り返して今に至る。
 不意に、斗真の言葉が脳内をよぎった。
『受け入れてくれる』と。
 まだ彼にしか言っていないが為、どのような反応が返ってくるのかが怖くて仕方ないのだ。
「……ねぇお姉ちゃん、何か困ってるなら相談乗るよ…?」
 また、扉の向こう側から聴き慣れた声。
 実の妹に心配をかけてしまっているという事実にそのとき、気付いた。
「……いや、大丈夫だよ。本当に…」
 こんな話を何度も聞かされる斗真の身にもなれという話だ。さらに妹にまで心配を掛けるなんて。
 もう本当に、自分のせいで周りが不快に成るなら早く解決させたいものだと感じた。
 気付くと両方の涙腺からはかなりの量の水が溢れていた。
 
 遂に覚悟を決めたのは昨日の夜。
 今は目の前に夕景がオレンジ色に染まった世界と桜 御影が居た。
 もう何も隠さないし、何も迷わない。自分がどう思われようが、斗真や実の妹に迷惑をかける訳にはいかない。それならここで———
「…桜さん。最初に言いたいことがあるんだけど…いいかな。」
「うん…私もね、前から日向ちゃんとお話したいなって思ってたんだけど余り喋らない子なのかなって…でも今日はちゃんと話してくれるんだね。」
 桜さんはいつもの雰囲気で笑顔を見せて口を開いた。
「…僕は……本当は男の子なんです。それでもこうして女の子として生きて…それで……その……桜さんの事…好きになってしまったんですッ……」
 顔が熱い。見えなくとも赤くなっていることが感じて取れた。深々と頭を下げ、心臓を抑えていた。それで尚、口から言葉が止まる事はなかった。
「分かってるんです‼︎桜さんからしたら女の子同士でこんな事…本当はダメなんだって……それでも僕は『男の子』として……」
 最後の覚悟を決め、顔を上げた。その目に映っていた桜さんの姿に僕を軽蔑で見るような素振りは無かった。
 無かったのだが。
 何故か彼女は顔を赤く染め、口を抑えて目を見開き呟いていた。
「………ボクっ子……………?」
 少しずつ彼女の目に光が増していくのが見て取れた。
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