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第26話
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少し涼しくなってきたこの頃…なんて言うとでも思ったか。都内は灼熱に包まれておるわ。絶賛異常気象中のこの地域から旅立ち、南に位置する理想郷に向かおうとする日の朝。実に乗り気ではないのだが、暑さにより目覚めてしまったので行くしかあるまい。渋々暑さゆえに全裸寸前の服装を脱ぎ捨て、制服を着る。その後、充分な朝食を取り、家を後にした。
とりあえず学校へ向かい、そこから空港へ移動するらしい。大荷物を抱えて早朝を歩くこの辛さに多々泣きたくなりつつも脚を進めた。
今までこのような行事はタイヤでたどり着ける範囲だったので、全く新しい地に飛び立つ訳だ。酔わなければいいのだが…
なんて考えているうちに見慣れた建造物にたどり着いた。同じように見慣れた顔を探し、人だかりをゆっくりと通り抜けて歩く。全く面倒な作業である。斗真の身長が2メートルくらいあればいいのに。
しかし未だに140後半で止まっている身長の僕は2メートル如きでは周りにのまれて見えないのではないだろうか。というか、どうでもいいことを考える暇があるなら探せと言う話である。
ふと背後から手を回し、胸の辺りを掴まれた。突然の事に今までの威厳全てが崩れ去りそうな声をあげてしまった。
「ぅんッ⁉︎」
周囲の目線が所々こちらを向く。畜生誰だこんな醜態を晒させてくれたのは。
「うん…なんかごめん。まさかそんなに効くとは思わなくて…」
朝イチで何してくれてんだと叫びそうになったが、相手も相手なので迂闊な事は言えない模様。
「なんで一発目が胸部なんですか紫苑さん…結構すごい声出たんですが…」
「いや…なんかすごい丁度いいサイズというか、そういう感触だったよ。」
感想なんて聞いてない。というかちょっと楽しんでそうな顔が妙に腹立つ。こんなもんない方がいいに決まってるだろ、これでもかなり邪魔な方なんだから。
「まあ…その、また今度触らせてね?」
「お断りします。」
「じゃあ下半身を」
「悪化してんじゃあないですか。」
朝からこのテンションはかなりキツい。早く双方どちらでもいいので来て欲しいものだ。いや、両方かなり危ない人物か?だとしたら、もしかしてここはとんでもないモンスター班なんじゃないのか?
天然なのかボケなのか素なのかは分からないがとりあえず言えるのはヤバいやつしかいないという事のみ。本当に2泊3日乗り切れるのだろうか…
「おめーら朝から盛んだな…」
いつから現れたこのモンスター2号は。というかいつから見てたんだ。
「おう陸部元エース!よろしくね!ところで前入部してきたやつ学校来れるようになったの?」
「いや全然来ないけど。ところで深夜テンションはよく聞くけど早朝テンションってこんな高いもんなの?」
果たして8時は早朝なのだろうか。かなりどうでもいい議論を始める気にはなれないので全力無視を行う事にした。
なかなか来ない姿を探しつつこの状況から抜け出そうと目を泳がせていると、校舎の陰からこちらを眺める桜御影の姿があった。
「…何やってんだろあれ。」
ずっと棒立ちでこちらを見つめている。僕らが見えているはずなのに何故来ないのだろうか。
「桜さん何故見てるんです⁉︎」
「斗真それは流石に怒られるからやめて。」
「…なにしてたの?」
「だって日向ちゃんと紫苑ちゃんがイチャイチャしてるから出るに出れなくて…」
やはりこの面子、めんどくささしかない気がする。果たして3日の修学旅行を無事に終えることができるのだろうか。
そんな不安の元、僕らは旅立った。
一応言っておくが、別に不穏な煽りとかではない。普通の旅行だ。
とりあえず学校へ向かい、そこから空港へ移動するらしい。大荷物を抱えて早朝を歩くこの辛さに多々泣きたくなりつつも脚を進めた。
今までこのような行事はタイヤでたどり着ける範囲だったので、全く新しい地に飛び立つ訳だ。酔わなければいいのだが…
なんて考えているうちに見慣れた建造物にたどり着いた。同じように見慣れた顔を探し、人だかりをゆっくりと通り抜けて歩く。全く面倒な作業である。斗真の身長が2メートルくらいあればいいのに。
しかし未だに140後半で止まっている身長の僕は2メートル如きでは周りにのまれて見えないのではないだろうか。というか、どうでもいいことを考える暇があるなら探せと言う話である。
ふと背後から手を回し、胸の辺りを掴まれた。突然の事に今までの威厳全てが崩れ去りそうな声をあげてしまった。
「ぅんッ⁉︎」
周囲の目線が所々こちらを向く。畜生誰だこんな醜態を晒させてくれたのは。
「うん…なんかごめん。まさかそんなに効くとは思わなくて…」
朝イチで何してくれてんだと叫びそうになったが、相手も相手なので迂闊な事は言えない模様。
「なんで一発目が胸部なんですか紫苑さん…結構すごい声出たんですが…」
「いや…なんかすごい丁度いいサイズというか、そういう感触だったよ。」
感想なんて聞いてない。というかちょっと楽しんでそうな顔が妙に腹立つ。こんなもんない方がいいに決まってるだろ、これでもかなり邪魔な方なんだから。
「まあ…その、また今度触らせてね?」
「お断りします。」
「じゃあ下半身を」
「悪化してんじゃあないですか。」
朝からこのテンションはかなりキツい。早く双方どちらでもいいので来て欲しいものだ。いや、両方かなり危ない人物か?だとしたら、もしかしてここはとんでもないモンスター班なんじゃないのか?
天然なのかボケなのか素なのかは分からないがとりあえず言えるのはヤバいやつしかいないという事のみ。本当に2泊3日乗り切れるのだろうか…
「おめーら朝から盛んだな…」
いつから現れたこのモンスター2号は。というかいつから見てたんだ。
「おう陸部元エース!よろしくね!ところで前入部してきたやつ学校来れるようになったの?」
「いや全然来ないけど。ところで深夜テンションはよく聞くけど早朝テンションってこんな高いもんなの?」
果たして8時は早朝なのだろうか。かなりどうでもいい議論を始める気にはなれないので全力無視を行う事にした。
なかなか来ない姿を探しつつこの状況から抜け出そうと目を泳がせていると、校舎の陰からこちらを眺める桜御影の姿があった。
「…何やってんだろあれ。」
ずっと棒立ちでこちらを見つめている。僕らが見えているはずなのに何故来ないのだろうか。
「桜さん何故見てるんです⁉︎」
「斗真それは流石に怒られるからやめて。」
「…なにしてたの?」
「だって日向ちゃんと紫苑ちゃんがイチャイチャしてるから出るに出れなくて…」
やはりこの面子、めんどくささしかない気がする。果たして3日の修学旅行を無事に終えることができるのだろうか。
そんな不安の元、僕らは旅立った。
一応言っておくが、別に不穏な煽りとかではない。普通の旅行だ。
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