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第3部
第7話 凶弾
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一日の終わりを告げるように闇夜は現れ、あっという間に短針が十二を通り過ぎる。
明かりの消えた街が見せる表情はいつも通りに、無機質で簡素なもの。それでも尚、所々で灯る光の元では未だ仕事に追われる人々がいるのだろうと思うと、不思議と居た堪れない気持ちになる。
既に疲れからか眠ってしまったベリアルの姿に呆れの感情を抱きながら、ソースのこびりついた皿を洗う。いつもの事なので慣れているが、少しくらい手伝ってくれても良いのではないだろうかといつも思うのだ。
まあコイツの傲慢な性格を加味したなら、帰ってくる返事は安易に想像できるが。
いつもとなんら変わらない愚痴を胸中に留めながら、明日も早いので早急に布団へと向かった。明日を乗り越えれば、土曜日と日曜日が待っているのだ。週末に向けて、体調も整えておきたい。
気持ちの良い目覚め。とはいかないのが、今の宮沖家だ。
当然のように差し込む朝日は気分の良いものだが、隣に転がっているものが本当に迷惑極まりない。寝相は悪いわ、いびきは立てるわ。不眠症へのフルコースと言わんばかりが次々と襲い掛かる中で眠っていたのだ。当然朝日が昇る頃に頭痛がしてもおかしくはない。
料理は簡単なものしかできないので、朝食とはこういうものだと言わんばかりのメニューを並べることすら難しい。これも朝を気持ちよく過ごせない一つの要因だろうか。
タイマーで設定しておいた炊き立ての白米、インスタント味噌汁、ちょっと焦げた目玉焼き、パックの納豆と漬物を二人分並べて、奴の起床を待つ。七時半までに目覚めなければ、叩き起こすのが決まりとなっている。当然ベリアルの機嫌は悪くなるが、遅刻なんてしたくないので仕方ない。
少ないお供で白米をかき込み、スーツを着る。時計が八時を差したので、本日も3課へ向かう。
玄関の扉を開き、窓越しだった太陽光を見に浴びて初めて心地よい気分へと移行する。少しずつ暖かくなってきた気候もあり、先ほどまでの頭が痛くなる日常を忘れ去るような感覚が訪れた。
「あ。宮沖さん、おはようございます」
「ん……美原さん、おはようございます」
先日、談笑をした女性の姿がそこにはあった。普段からこの時間帯に会うということはあまり無いのだが、今日は珍しく時間が一致したらしい。
「いつもこの時間に出てるんですね、普段会わない訳です」
「って事は今日はなんか用事ですか」
「いや~、まあそうですね」
暫しの談笑も、少しくらいは大丈夫だろう。いつも時間に余裕を持って動いている故にこの時間に出勤しているのだ。
そんな事を考えていると、隣で食後のささみを貪り食べるベリアルが一歩前へと踏み出す。何故食べ終えた後に食べるものがささみなのかは分からないが、今はどうでもいい。
「どしたベリアル」
「……扉閉めろ」
「え、私ですか?」
唐突に言葉を溢したベリアルは、その単語を溢す。やはり昨日から漂う香水の匂いはあるが、それほどまでにコイツの勘に触ったというのだろうか。まぁ何にせよ、あまりに失礼である事に変わりはない。
「お前な……最近ちょっと口悪いぞ」
「いいから閉めやがれ、臭えんだよ」
「おい、いい加減にしろ」
抑圧するも、そう簡単に聞かないのがこの悪魔である。美原さんに本当に申し訳ない限りだ。
「いえ、大丈夫です。すみません匂い漏れてたみたいで……」
美原さんはそう言って、開いたままの扉を閉める。肩から下げられたカバンに手を突っ込んで、鍵を探しているようだった。
「すみません、コイツ本当に口悪くて……」
「いえいえ、大丈夫ですよー」
その言葉を溢して、彼女はカバンから手を引き出す。
しかしその手に握られものは、本来向く方向と真逆を。つまり、こちらを向いたのだ。
鍵を探していた。というのは、己の単なる想像でしかない。それが確信となる驕りか、慢心だったという訳である。
こちらを向くのは、一つの小さな丸い穴。その先から、瞬時に貫くような音が響き渡っていた。
ニューナンブM60。一般的に警察官が所持する拳銃の一種である。当然DRも悪魔犯罪対策課も警察と同等のような組織であった為、多少扱ったこともある代物。
しかし、その弾に貫かれたというのは当然初めてだった。
左胸に強烈な痛みを伴い、数日前と同じ光景が眼前に広がる。今回はブエルのコアがあるので死ぬ事はないだろうが、何故こうなってしまったのかというのは余りにも理解に苦しむ。
身体の制御が難しくなり、その場に倒れ込む。錆びた鉄の音が響き、視界の先には走り去る彼女の姿が映っていた。
明かりの消えた街が見せる表情はいつも通りに、無機質で簡素なもの。それでも尚、所々で灯る光の元では未だ仕事に追われる人々がいるのだろうと思うと、不思議と居た堪れない気持ちになる。
既に疲れからか眠ってしまったベリアルの姿に呆れの感情を抱きながら、ソースのこびりついた皿を洗う。いつもの事なので慣れているが、少しくらい手伝ってくれても良いのではないだろうかといつも思うのだ。
まあコイツの傲慢な性格を加味したなら、帰ってくる返事は安易に想像できるが。
いつもとなんら変わらない愚痴を胸中に留めながら、明日も早いので早急に布団へと向かった。明日を乗り越えれば、土曜日と日曜日が待っているのだ。週末に向けて、体調も整えておきたい。
気持ちの良い目覚め。とはいかないのが、今の宮沖家だ。
当然のように差し込む朝日は気分の良いものだが、隣に転がっているものが本当に迷惑極まりない。寝相は悪いわ、いびきは立てるわ。不眠症へのフルコースと言わんばかりが次々と襲い掛かる中で眠っていたのだ。当然朝日が昇る頃に頭痛がしてもおかしくはない。
料理は簡単なものしかできないので、朝食とはこういうものだと言わんばかりのメニューを並べることすら難しい。これも朝を気持ちよく過ごせない一つの要因だろうか。
タイマーで設定しておいた炊き立ての白米、インスタント味噌汁、ちょっと焦げた目玉焼き、パックの納豆と漬物を二人分並べて、奴の起床を待つ。七時半までに目覚めなければ、叩き起こすのが決まりとなっている。当然ベリアルの機嫌は悪くなるが、遅刻なんてしたくないので仕方ない。
少ないお供で白米をかき込み、スーツを着る。時計が八時を差したので、本日も3課へ向かう。
玄関の扉を開き、窓越しだった太陽光を見に浴びて初めて心地よい気分へと移行する。少しずつ暖かくなってきた気候もあり、先ほどまでの頭が痛くなる日常を忘れ去るような感覚が訪れた。
「あ。宮沖さん、おはようございます」
「ん……美原さん、おはようございます」
先日、談笑をした女性の姿がそこにはあった。普段からこの時間帯に会うということはあまり無いのだが、今日は珍しく時間が一致したらしい。
「いつもこの時間に出てるんですね、普段会わない訳です」
「って事は今日はなんか用事ですか」
「いや~、まあそうですね」
暫しの談笑も、少しくらいは大丈夫だろう。いつも時間に余裕を持って動いている故にこの時間に出勤しているのだ。
そんな事を考えていると、隣で食後のささみを貪り食べるベリアルが一歩前へと踏み出す。何故食べ終えた後に食べるものがささみなのかは分からないが、今はどうでもいい。
「どしたベリアル」
「……扉閉めろ」
「え、私ですか?」
唐突に言葉を溢したベリアルは、その単語を溢す。やはり昨日から漂う香水の匂いはあるが、それほどまでにコイツの勘に触ったというのだろうか。まぁ何にせよ、あまりに失礼である事に変わりはない。
「お前な……最近ちょっと口悪いぞ」
「いいから閉めやがれ、臭えんだよ」
「おい、いい加減にしろ」
抑圧するも、そう簡単に聞かないのがこの悪魔である。美原さんに本当に申し訳ない限りだ。
「いえ、大丈夫です。すみません匂い漏れてたみたいで……」
美原さんはそう言って、開いたままの扉を閉める。肩から下げられたカバンに手を突っ込んで、鍵を探しているようだった。
「すみません、コイツ本当に口悪くて……」
「いえいえ、大丈夫ですよー」
その言葉を溢して、彼女はカバンから手を引き出す。
しかしその手に握られものは、本来向く方向と真逆を。つまり、こちらを向いたのだ。
鍵を探していた。というのは、己の単なる想像でしかない。それが確信となる驕りか、慢心だったという訳である。
こちらを向くのは、一つの小さな丸い穴。その先から、瞬時に貫くような音が響き渡っていた。
ニューナンブM60。一般的に警察官が所持する拳銃の一種である。当然DRも悪魔犯罪対策課も警察と同等のような組織であった為、多少扱ったこともある代物。
しかし、その弾に貫かれたというのは当然初めてだった。
左胸に強烈な痛みを伴い、数日前と同じ光景が眼前に広がる。今回はブエルのコアがあるので死ぬ事はないだろうが、何故こうなってしまったのかというのは余りにも理解に苦しむ。
身体の制御が難しくなり、その場に倒れ込む。錆びた鉄の音が響き、視界の先には走り去る彼女の姿が映っていた。
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