歪ミノ咎学園

軍艦あびす

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第30話 真偽不明の五寸釘

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 歪ミノ咎学園。それは何処にでもある平凡な中学校。
 毎年沢山の新入生が入学し、沢山の生徒が旅立つ。  
 そんな平凡を絵に描いたような話の中に二つ、普通とは違う事がある。 
 一つは、いわゆる『都市伝説』というのだろう。怪談では収まらない程までに恐怖を覚えるような七不思議が存在するという事。
 二つ目は…この学校そのものが異常であるという事。
 そんな異常の中に生まれた七不思議。
 その一つを今日は紹介しようと思う。

 受け継がれた話曰く、夜にこの学校の技術室から釘を打つ音が聞こえるという。
 カーン…カーン… 
 その教室では、昔事故に遭った生徒の霊が釘を打っているらしい。
 その生徒は技術家庭の授業中、稼働していたベルトサンダーに顔面を押し付けられて死亡したのだという。
 顔面のパーツが無い生徒が怨みを込めて釘を打ち続けるその姿を見た者は、二十個の爪全てに釘を打たれて死にたいと死にたくないの間を行き来するのだと。
 何故事件と関係のない釘を打つのか。
 何故関係のない人を巻き込むのか。
 理由は簡単。
 
『そこに釘があったから』
『そこに人がいたから』
 
 そんな、有名な登山家の名言を真似たかのような下らない理由で関係のない目撃者は爪が破壊されていく。
 爪をベルトサンダーで削り落とすことも出来るだろう。そして言ってしまえば爪に執着する理由も分からない。
 
 分からない。怪談は恐ろしいから怖いのではない。
『分からないから怖い』のだ。
 
 ニュースを観て、犯人が捕まったという事実を知って恐怖を覚える人は居ない筈だ。
 だが、逆に『犯人は逃走中』と言われ、それが自宅の近くなら怖くて外出を控えるだろう。
 
 相手が分からない。
 人なのか異形なのか生きているのか死んでいるのか。
 本当に怖いのは、何も分からない事なのだと。
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