世界の旅人

GF

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第4章 黒

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「一言で言うと、俺は化け物さ。それ以上でもそれ以下でもないのさ、俺は」
「…は?」
アユハは、フユシの言ったことを理解はしているが、納得がいかないのだ。
たが、彼にとって最善の言葉を選んでいる。詳しく言うと、ただただ恐怖するか理解ができないはずだからだ。
「化け物?どう見ても、魔力は桁違いの強い人間じゃない」
「そう偽装しているだけさ。いや、偽装というか調整かな。まあ、何でもいいや」
まだ納得ができないアユハをおいて、外を見る。
「やべ。もう刺客が来たか。ほんと、何で断るだけでそうなるのかねぇ…」
「ちょ、ええぇ!?師匠、この世界でなにやったの!?」
「ん?いやただ自分の力に溺れてるバカ殿に、家臣になれなんて言われたけどノーって言っただけで殺しに来てんだよ」
「あんたも馬鹿じゃないの…?普通はその場で滅ぼすでしょ!?」
「いやいやいや!アユハ、お前も年とって馬鹿になったか!?」
「ごめんなさいね、見た目だけ20歳のハバァで!」
「あっ、ちょっ、待て待て!ここで争うな!ていうか、言ってしまうと俺はアユハより40億年以上生きてるからっ!」
「そんなの関係…!ってえっ、ほんと?」
そんな喧嘩をしている内に、刺客が部屋までやって来た。
「お命頂戴する!」
「時空拳法、止め叩き」
「ぐほぉっ!?」
「なっ…!」
仕切りを開けた途端に吹っ飛ぶ刺客。何もなかった所から衝撃波が起き、意味もわからず倒れた刺客。
片方の刺客はそれに怯えず、刀を手に斬りかかる。
「[速断]!」
スキルを発動する刺客の刀は、青く光り横一文字に斬られる。
「【カウンターキル】」
ズバァッ!
刺客の腹が裂けて血が大量に飛び出る。
「ちょっ、殺すつもり!?」
「殺さない程度には手加減したと思うけど。ていうか止め叩き久しぶりに、使ったから上手く調整できないな…」
「やめて!それはやめて!トラウマが甦るから!」
「はいはい。ごめんな」
フユシは気絶した刺客二人を部屋の隅に置くと、部屋を出て人々が行き通う通りに出る。
アユハはその後ろをついて来ている。
「結局、フユシは何しにこの世界に来たの?」
「えーと。まあ、言っても大丈夫かな。俺がそう呼んでいるだけだけど、〔黒〕っていう奴らを排除しに来たのさ」
「〔黒〕?何それ。馬鹿な事して狙われてるの?そいつらに」
「いや、違う。〔黒〕は、世界の闇でもあるし歪みでもある存在って感じでな、どの世界にも少なくても絶対にいる。俺は化け物だから、そいつらを難なく消せるけど俺以外だとアユハの今の強さの三分の一位の強さがないと消せないな」
「い、いったいなんなのよそいつら。Aランク以上のランカーじゃないと倒せないって…」
「場合によるけどな。たまに俺じゃないと倒せないやつまでいるし」
「そいつもそいつだけど、あんたもあんたもじゃない…」
「俺が化け物っていう意味がわかったかな?」
「いや、まだそこら辺まだ納得ができてないから」
「おい…」
話している間に目的地に着いたフユシ。
「ここは?」
「〔黒〕が出てくる場所だよ。被害がでない内に殺っとかないとな。ほら、おいでなすった」
何もなかった所から黒い歪みができる。
そこから人型の歪な黒い塊が出てくる。
「一番弱いやつだな。[黒小]って呼んでる【ファイヤーカッター】」
炎の刃が[黒小]切り飛ばし燃えた。
「ちょっと今の普通の【ファイヤーカッター】ないじゃない!」
「ああそうだもん。出力強めだからね」
「そんなことできるの…!?」
「普通はできないね」
そんなことを話している内に、ざっと30体ほど[黒小]が現れた。
「【生成】…、[ビーム・ランチャー]!」
虚空から、いくつものパーツが組み立てられた。そしてそれはバズーカ型の兵器になる。
「ファイヤー!」
砲口から光が解き放たれる。そして、その光は[黒小]たちを包みこみ、消滅する。
残るのは溶けかけた地面と、討ち漏らした少しの[黒小]だけだった。
「何それ。どこの世界の技術よ。というか【生成】って、私が知らないスキルを何で持ってるの!?」
「最初っから言ってるじゃん。俺は化け物って」
「う、後ろ!」
「ん?」
フユシが後ろを向いた瞬間、影ができたと思ったら巨大で、重い質量を持った物がフユシを押し潰した。
ドスンッ!!
グシャッ
フユシだった肉片と血が舞う。
「ええ…??」
目の前には、大きく黒いミノタウロスの姿を象った[黒牛]がいた。
手に持つ得物は、こちらも黒いハンマーの形を持っていた。
「っく!【黒炎球】!」
黒い炎が球になって[黒牛]に当たる。
煙が舞う。
「やった…!?」
だが煙から出てきたのは、左腕が消えた[黒牛]だった。
「な、何で燃えてないの!?」
「同じ黒色をブチ込んでどーすんだよ。威力半減だよ」
と、解説するのは先程ただの血肉になったはずのフユシだった。
「色って関係あるの…!?というか何で生きてんのぉー!?」
「うわぁ、ひでぇー。生きてちゃダメなの俺?」
「いや、そう言うわけじゃ…。ああもう!意味わかんない!!」
「わかんなくて上等!とりあえず[黒牛]は倍返しでぶっ潰す!」
そう言うと、スキル【生成】を発動する。
「【生成】、[クワットランチャー]、[ガトリングガン]!」
剣と魔法の世界には合わない、鉄の塊が生成される。
掃射。そして殲滅。
ズガガガガガ!ドシュゥゥ!
ズゥーン!
[黒牛]や[黒小]たちに穴が空き、そこにロケット弾が飛ぶ。
ただの野原だった場所は、燃え盛っていた。
「あちゃー。草に燃えちまったか」
「…【シャーベットスプラッシュ】」
ポケーとしたままのアユハは、ただ事務的に消火作業に入る。
炎の上に雪が勢いを持って覆いかさぶる。

ー30分後ー

城下町に戻る道を辿る二人。
アユハはまだポケーとしていたが、急にハッとすると「アホボケカァース!!」と罵詈雑言を吐いて、ドロップキックを放つ。
もちろん、急にきたのでのほほんとしていたフユシが避けられるはずがなく、「ギャァァァー!?」と悲鳴をあげる。
「あなたは化け物ねぇっ!?」
「最初から言ってるじゃん!何言ってんの!?」
だが、そんな二人に迫り来る影があったのであった…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
解説⬇

[黒小]
世界の闇、もしくは歪み。ただ存在するだけの概念で、初期の〔黒〕。攻撃力は20歳男性が殴った程度の威力だが、そのぶん防御力が高め。倒すのに必要なレベルは例えるなら、ロケット弾三、四発で倒せる。

[黒牛]
[黒小]から進化したミノタウロス型。バランスのよい能力を持つが、パワーが高め。主にハンマーを装備している。倒すには、例えるならDBのクリリンが本気を出した時ぐらい。

【生成】
【創造】の発展前スキル。物を創ることに長けたスキル。ただし、創るには一度見たことがあり、使って、触れたことのあるものであることが創造条件。

【黒炎球】
闇と炎の属性を持つ合成魔法。圧縮された球になっているので、通常の【黒炎】よりも威力が高い。ただし使用には、魔力制御が細かくできなければならない。

【ファイヤーカッター】
炎の塊を刃状にして飛ばす中級火魔法。【ファイヤーボール】より威力が高いが、魔力消費量が、若干増える。
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