世界の旅人

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第7章 修練、そして修正

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あれから二日たった。
フユシたちがいるのは、普通の世界とは全く違う異空間にいた。
「よし。しばらくは、修練でもするか~」
「修練って…。あんたもう無敵じゃない」
「確かにそうだけどな~。世界は広くて、俺でも即死とか確殺される技とか、能力を持ってるやつがいるからなぁ。こんなんでも、素体は鍛えも力も上がってないからな」
「素体って、元の体?」
「うん。でもまあ、生死の概念が曖昧なのか、ないのかわからないのが俺だからな。永遠に素体に戻れないだろ。でも、普通に本来の自分の力で修練した方が、効率的だろ」
「うん、もう何がなんだか分かんなくなったから、何するのか早く教えて」
思考放棄したアユハ。
フユシもフユシで、まあよくわからんよな、と思っていた。
「とりあえず、しばらくはここで主にアユハの修練。俺についてくるなら、それぐらいの力じゃあまだ足りない」
「まあ、そうよね」
アユハ自身も、その事を身にもって知っている。
「じゃあ、まず最初は…コイツでいいか」
塵のようなものが集まりだし、形作られる。
「超高速移動する、〔F91ガンダム〕と〔ガンダムキュリオス〕で」
「は?何でロボットなの?それじゃ敵の方が…」
「[黒]のやつらにはこういうやつもいるからだよ~」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それから、二日間ぶっ通しで修練に励んだ。
当初は二機の動きについていけなかったアユハだが、二時間ほどで完勝するようになる。
そこから、ドンドン変わっていった。
〔オールマイト〕、〔ガンダム〕、〔ダース・ベイダー〕、〔ロックマン〕等々…。
異世界のヒーローや英雄など、様々な者たちが相手になった。
そして、二日たち、ようやく修練が終わる。
「フユシ…もうこんな経験は嫌だわ」
「残念ながら少なくても、お前が生きてるうちは百回以上はやるぞ~」
「こ、殺される…」とブツブツと愚痴るアユハは、即席の土の椅子に座り込む。
「ああ、それとこれからなんだが…ん?なんだ?」
「?」
通信魔法でも来たのか、通話の相手と話すフユシ。
そして、
「アユハ。どうする?俺についてくる?」
と聞く。
「あのね、主語がない」
「ああ、そうだった。【第一グラキシス】世界でイレギュラーだから、冒険がてらバンパイア退治でも行かないって?」
微妙そうな顔をするアユハ。
「そんなのに誘われても嬉しくないわよ。まあ、行くけど」
そして、世界を飛び越える。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【第一グラキシス】のとある村で、バンパイアの暴走が始まっていた。
「フハハハ!今宵は一人残さず血祭りにあげ、飢えを満たせ!そして、我らの同志に迎え入れよう!!」
と、叫び配下のバンパイアたちを率いて村の人々を襲い、指揮する[カイザーバンパイア]。
彼の名前は、フェルーギ・ヴィールダヴィッド。元々は、人格のあるとある貴族だっが、バンパイアに襲われ、人格が豹変した。
「グワァァーー!?」
「イヤァァァーーーッ!?」
村のあちこちから悲鳴があがる。
この村は、人口は二百人ほどという、村としては少し多めの村だが、よく冒険者が立ち寄る村だ。
理由は、回復薬が相場より安めだから。
だが、今はそんなことは関係ない。
冒険者だろうが、女子供だろうが容赦なく噛みつき、血を吸い、人をバンパイアに変えていく。
そして、この村で唯一残った人、カルタは村の広場に連れていかれる。
フェルーギの目的は、彼女をバンパイアにし、ハーレムの一人にしようとしたのである。
もちろん、配下の飢えを癒すためにもこの村を襲ったのだが。
そして、そんな中、村の入り口に降り立つフユシとアユハ。
「何これ…!」
「あ~あ~。これ、誰がやったんだよ…」
「え?それってどう言うこと?」
「どっかの異世界の何かが、本来辿る歴史を変えやがった。まあ、こいつらぶち殺して終わりだけどな」
入り口に入り、入り際に飛びかかってきたバンパイアを[確殺の弾丸]を込めた拳銃で撃ち殺す。
あっさりと体に穴が空き、そのまま灰になる。
「アユハは空から見てろ。俺の戦い方を見てろ」
そう言うと、虚空から[タマガリ]を引き抜き、バンパイアの群れに突っ込む。
そのころ、カルタは目の前の光景に涙していた。
「お母さん…ユーナ…」
血を求めるバンパイアに変わり果てた自分の母と妹に、恐怖し、涙を流した。
「フフ…涙を流すそなたも美しい。それでは、そなたも我らの仲間になるがいい…」
「あ、ああ…」
絶望。
彼女は、絶望した。
助けも来ない。
冒険者も大人も、殺されるかバンパイアになっているだろう。
されるがままに噛まれる、その瞬間。
「はがっ!?」
フェルーギの口に、鉄製の手榴弾があった。
「悪いが、死んでもらう」
バァァーーン!!
手榴弾が爆発する。
それだけではまだ殺しきれていないが、とりあえず少女を窮地から救うことを優先した。
「あ、…あ」
「ここにいろ。大丈夫だ」
と言って、カルタを屋根の上に座らせ、強力な結界魔法を展開する。
「さーてと。一応聞いておくが、この村に何をしに来たのかな?」
「わからないのか?食事だ」
構えをとるフェルーギがこういい放つ。
後ろから。
「目の前の私に気を取られすぎだ」
コウモリの姿のバンパイアが、肩に噛みついてくる。
「それぐらい、予測は可能だぞ」
カウンターアッパーをくらわせる。
空高く飛んでいったフェルーギのコウモリは、小さな隕石にでも当たったのか、空高くの所でピカッと光って消えた。
「フム。では、これでは防げまい!」
フェルーギが黒い霧になって、フユシに襲いかかる。
「オウッ!?」
黒い霧に纏われたフユシは、肉体をドンドン喰われていく。
「中々…!【自衝爆】!」
フユシを中心に衝撃波の波が放たれる。
黒い霧はフェルーギに戻り、魔法を使う。
「【業火の蒼炎】!!」
青く、強力な炎の魔法が放たれる。
「ほお~。その魔法まで使えるか。【生成】、[レールガン]!」
【生成】と同時にぶっ放す。
スパァンッ!
砲口から、電気を帯びた弾が高速で真っ直ぐにフェルーギの方へ飛ぶ。
「ぬう!?」
もろに当たるが、致命傷ではない。
一方、フユシは【業火の蒼炎】を時空に穴を開けて避ける。
座標はブラックホールのある場所にしてあるので、別の世界の被害はないだろう。
「なんだその魔法は…!?」
「教えるかよっ!」
高速で動き、フェルーギの懐に飛び込むが…
ガキッ!
という音がして、フユシは吹っ飛ばされる。
「セイレン、ピーリ、すまぬ。助かった」
ミスリル製のハンマーを持つ、フルアーマー状態のバンパイア、セイレンは
「遅れてすまない、主」
と言う。
「主よ、今のうちに逃げて下さい。戦力を建て直すのです」
と言う、ミスリル製のレイピアを両手に持つ、覆面を被った紳士はピーリ。
「オヤオヤ。逃がすと思いで??」
フユシは、元々捕獲用の結界魔法を改造した結界を展開する。
「む。ワシに任されてくだされ。【ガイアクラッシャー】!」
ハンマーを地面に降り下ろし、地面から棘状の山をフユシに向けて放った。
かなりの早さで棘がこちらまでボコボコと出てくるが、フユシは一つの魔法で相殺する。
「【ウインドカッター・壊】!」
風の刃が【ガイアクラッシャー】とぶつかり、相殺する。
そして、隙を見せずセイレンの頭を噛み砕く。
「「なあっ!?」」
彼らにとって、その光景はバンパイアであるにも関わらず、吐き気、もしくはしかめっ面になった。
首から上はドラゴンの頭で、下は人の体なのだからアンバランスさが半端ない。
「おい!セイレン!いつまで死んだふりをしている!?」
と叫んだのはピーリ。
「ああ。彼はもうお亡くなりになったよ」
「「は?」」
ドサッ。
セイレンだった、頭のない体が今さらに倒れた。
「ひ、ヒイィィッ!?」
「う、うおぉぉーー!!」
ピーリはフユシに攻撃を仕掛け、フェルーギは、死の恐怖からか、悲鳴を挙げて逃げ出す。
フユシはピーリの細剣を受け流しながら、話をする。
「お前らってさぁ。自分達を人間の上位種なんて思ってるだろうけど、結局人殺して生きてんだから、むしろ逆だと俺は思うんだよね~」
「だ、黙れっ!下賤のものが!!」
「別に相手に許可もらって血を貰うなら別に俺は構わないけどさぁ。せっかくの知能があるのに、本能のままに動くんじゃモンスターと一緒じゃんか」
「違う!我らは高貴なる…!」
「ほら、そう言う。だから、お前らは人間として見られないんだよな。賢い頭があるくせに」
そう言って、ピーリを一刀両断する。
血飛沫も上がらず、ただ黒いドロリとした血が、少しずつ切断面から出てくる。
「人間様なら話し合って解決できるだろ?元貴族様?」
「う、うるさい!!この化け物めがっ!!」
「元々俺は、人でも獣でも、モンスターでもないからな。でもまあ、化け物に化け物って言われたからここは光栄ってことかな?」
フェルーギは、村人の血がベットリ付いた壁にぶつかって座り込む。
恐怖で、飛ぶことさえ忘れている。
「じゃあ、一つ、お前が一番今したいことをやってみろ。俺は何もしないから」
唐突に、そう言ったフユシ。
「は?」
思わずフェルーギは、間抜けな声をあげるが、すぐに自分の最後の切り札を使った。
「(この窮地には、この魔法にかけるしかない…調子に乗ったことを後悔するがいい!)」
長い溜めがあったが、フユシは何もせずただじっとその場に立っていた。
「死ね!【デス・ゲート】!」
虚空から、突如扉が現れ、開かれる。
そして、その扉の中から何本もの[呪われし鎖]がフユシを絡めとる。
フユシの顔が変わる。
少し焦ったような顔と、恐怖のような、憎悪のような、なんとも言えない顔が見えた。
そして、扉の中に引き込まれた。
フユシが扉の中に入るのと同時に、閉まる。
フェルーギは、勝利したと思った。
だが、それが無意味だったと思い知る一秒前だった。
いつの間にか、口の中に手がねじ込まれていたのだ。
「は、はぐっ!?」
「おら、お得意の吸血で俺をバンパイアにしてみろよ?」
「む、ムグゥ!!」
煽られたフェルーギは、言われた通りにフユシの手を噛み、吸血する。
フユシが手を口から出すと、フェルーギは聞いた。
「貴様は…なんなんだ!?」
フユシの答えは、とても曖昧で意味のわからないような答えだった。
「化け物。もしくは神か」
そして、フェルーギに異変が起きる。
体の端々から灰になり始めていたのだ。
そして、十秒もたたずに完全に灰になったフェルーギをみて、フユシは手を合わせて冥福を祈った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
解説⬇

フユシ(???)身長168㎝ぐらい
現段階では、彼の旅の目的は不明。ただ、彼は人を越えた存在であり、彼は絶対に死ぬことはない。【不老不死】とはまた違う不死能力。

好きな食べ物 卵かけご飯、不死鳥の焼き鳥、パリパリ野菜

好きな事 ビデオゲーム、模型作り、魔法開発

将来の夢 「言うてしまうなら、死にたい。本当の死を」byフユシ

使える魔法 全て


【デス・ゲート】
通常では確殺が決まる、大魔法。自分の全ての魔力を消費する代わりに、相手を一人確殺する魔法。この魔法は相殺も、阻止もできない。
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