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メス堕ちさせた元バリタチが自分の立場をわかってないので調教しなおす②
トイレについてみれば、二つあるうち一つの個室の挙動が明らかにおかしかった。
微かなリップ音、時折ガタリと扉の揺れる音。
足音をさせぬようにすり足で近づき、扉にそっと耳を当て様子を伺う。
「CM撮影してからずっと、隼人にキスしたくてしょーがなかったんだー」
「へぇー? じゃ、もう満足した? 吐きそうなんて嘘なんだろ? もう戻ろうぜ」
「あのおじさん、かがみさん? だっけ? 隼人とどんな仲なの。一回り以上も年上のでかくて綺麗な顔したリーマンと二人で飲んでるとか、えっちすぎ」
「友達だよ、友達」
大鳥の高校の元養護教諭なんて話したら説明が面倒臭いと詳細をはぐらかしていたせいで、変な疑いをかけられているな。疑いでもないか。
「ほんとー? 隼人えろいから、向こうはどう思ってるかわかんないよ。俺は隼人見てるとムラムラするー。最近ますますエロくなってる気ぃするしー! 鼻筋キレイでいいな、ほんとに整形してないの?」
「してねぇって。つかあんまり触んなよ、くすぐったいだろ。そんな俺に興味津々なら今度抜いてやるよ。でも今日は加賀見いるから勘弁して」
「へへ、やっぱ男もいけるんだ。ウケもできる?」
「はいはい、知らねぇよ、また今度な」
ガタ、と扉が揺れ、布擦れの音が響く。
出てくるか? 盗み聞きされてたと思われるのは良くないと、心配して見に来たと言い訳できるくらいの距離まで下がる。
それにしても。
今度ってなんだ。抱くのか? 女としか浮気してないと言っていたが……というか、今の会話だと抱かれる可能性もあるのだが。向こうはそのつもりな気がするのだが。
あとでお説教だな……なんて考えていたが、なかなか出てこない。
出てこないと思ったら、一際大きく扉が揺れた。
「ンッ……! あ、ちょ、マジやめろって……」
「だってちんぽ収まんないしー。素股でいいから今抜いてよ。ケツ見たいー、どんな穴してんの」
「お前な、人が優しくしてりゃ調子乗ってっ……!」
――カシャッ
突然頭上から降ってきたシャッター音に、二人が一斉に顔を上げた。さらに続けてカシャカシャとシャッター音が鳴るのに、酒で赤くなっていた男の顔が青くなる。
大鳥の甘い声を聞いて、気がつけば扉……というには頼りない、ただの板みたいなトイレの扉の上に手をかけ、扉を軽く蹴って勢いをつけ、個室の中を覗き下ろすように扉から身を乗り出していた。天井に頭ぶつけてちょっと痛い。
大鳥は最初、あまりに驚いて僕かどうか認識できず目を剥いていたが、ハッと視線を合わすと密着していた彼を思い切り突き飛ばした。
「うお、まじかよお前! 危ねぇよ!」
「うん……揺れる。怖い。降りたい」
「降りろよ!」
ばっちり現場を抑えたスマートフォンはボトムのポケットにしまい、恐る恐る床に足をつける。
あーびっくりした。こんな動きしたことない。もう二度としたくない。地上がいちばん。
胸を撫で下ろしていたら、大鳥の声が中から聞こえてきた。
「おい、開けんぞ? もう扉にくっついてないよな?!」
「うん……へいき」
返事してすぐ、扉は開かれた。
案外なんともなさそうな顔をした大鳥がすぐに出てきたが、その後ろで青い顔をしたままの男はなかなか出てこようとしない。大鳥が「おい」と声をかけるとやっと出てきたが、こちらをチラチラ気にしている様子だ。
「調子乗っちゃったなぁ?」
低く、腹の底に効くような声で大鳥は言い、彼の腹を小突いた。こういうところ見るとヤンキーみたいだな。できれば関わりたくないタイプだ。なんで僕に懐いてるんだろ。改めてふしぎ。
「いくら酔ってても限度があるだろうが。あぁ?」
「ごめん、飲みすぎて……」
「どーすんの? 写真撮られちゃったぞ? なぁ? 困るんじゃねぇの」
大鳥が僕に視線を向けるので、何かと首を傾げれば「さっさと画像出せって!」と怒られたうえに脛まで蹴られた。
そんな怒鳴らなくてもいいじゃないか、助けてあげたのに。軽い蹴りなのはわかっているけど、そのすぐに足が出る癖はどうにかならないのか。
などと文句を言いたいところだが、第三者もいるので大人しく画像を表示して大鳥にスマートフォンを渡す。
「ばっちり写ってんじゃん。トイレで男の胸吸ってズボン脱がそうとしてんの。どうするコレ、加賀見」
「お金に、なりそう……」
僕の返しに、大鳥はクッと低く吐き捨てるように笑う。
「だってさ、なぁ、お前どうすんの?」
「ごめん、もうしないから! それだけはやめて!」
「はぁ? ごめんなさい、だろ?」
「ごめんなさい……」
俯いて背中を丸め、すっかり縮こまってしまった彼の後頭部を、大鳥は思い切り掴んだ。そうして耳元で何か話したと思えば、火のついたロケット花火のような勢いで男はトイレから出ていった。
「何、言ったの?」
「あー? 別に。もう二度とこんな事するなって。今すぐ帰れば画像消してやるって言っただけ」
「消さないけど?」
「ははっ、まぁいいんじゃね。悪いやつじゃないんだけど、相手すんのめんどい時あったから丁度いいや。またなんかあったら脅しに使う……て、加賀見?」
もうすっかり事は済みました、みたいな顔をしている大鳥の背中から手を回し、ついさっき彼に吸われていた乳首をTシャツの上から爪で引っ掻く。最初はただ体をビクッと小さく跳ねさせただけだったが、繰り返すうちに、ん、ん、と可愛い声が漏れてくる。
「僕は、君にも…………怒ってるんだけど?」
「は? なんでだよ、俺悪くねぇ、し……」
「ふぅん?」
「んんッ……!」
刺激して隆起してきた乳首をぎゅっと抓るとくいっと腰が引け、僕の下半身にいいところが当たる。無意識でこんなに風に甘えてくるなんて悪い子だ。
「席……戻ろうか。何が悪かったか、ゆっくり……聞かせてあげる。ね?」
「悪くねぇし、やだよっ……そんななら、もう帰……」
「大鳥」
「あ、くっ……」
今度は優しく、爪の先でカリカリと掻く。甘い声を出しながら、大鳥は縋るように自分の乳首をあそぶ僕の手首を掴んだ。さっきまでの威勢はどこにいったのやら。
「人……来ちゃう、から。戻ろ?」
僕の提案に大鳥は、頷きも何もしなかった。
しかしそっと僕の手を払い、先にトイレから出ると大人しく僕らの席のほうへ歩を進めたのだった。
「おいで」
個室に入ってすぐ、自分の席の隣にくるよう、対面に座る大鳥を手招きする。
大鳥が先に入って座ったのだからその隣に座ればよかったのだが、本人の意思でこっちに来させることが大事だ。
「やだよ」
「うん? 君の耳元でじっくり、聞かせたいのだけど。大きな声で、話す?」
「何をだよ」
「僕が、なんで……怒ってるか」
「マジで何でだよ。意味わかんね」
「おいで」
話の途中のようだったが、聞いても無駄そうなので遮ってもう一度手招きをする。大鳥はチッと大きく舌打ちをし、やっと観念して席を移動してきた。
そのまま席につく大鳥の肩を抱き、椅子をぐっと寄せる。おおとり、と耳元で呼べば、それだけで目を細めて吐息を漏らす姿は可愛らしかった。
「この間のこと、忘れてないね?」
首の根元から、肩口まで、ゆっくりとそのがっしりした身体を撫でさすっていく。広い肩幅からは想像できないほど弱々しく大鳥は頷いた。
「もっとちゃんと……抵抗しないと、だめだね? 僕が来なかったら……どうなってたかな。今日こそ抵抗する練習、しようか?」
「あれ以上はさせねぇって……仕事仲間だし、適当にあしらおうと思ったんだよ」
「どうかな」
肩から二の腕へ手を滑らせ、彼に舐められたそこに中指を伸ばす。
「Tシャツ、たくしあげられて……舐められて」
もちろん、どこに気持ちがいいところがあるか、位置は正確にわかる。けれどわざと触れず、乳輪のさらにその周りをくるりくるりとゆっくり指先でさする。
「あんなに、甘い声……聞かせて」
口を閉じ、ふぅ、ふぅと鼻から息を漏らしながら、大鳥は主張するように胸を張った。乳輪の下あたりをきゅっと押して布地に張りを作ると中が透けて、恥ずかしく尖ってしまっているのがよくわかる。
「そんなふうに、あの子にもねだった?」
「してねぇ、よ……っ」
「触って欲しい?」
「あっ……」
乳輪に切り替わる、柔らかい皮膚の境目に触れる。明らかに期待する声を漏らしたくせに、大鳥は俯いて首を横に振った。
「やだ、ぜってぇ触んなっ……!」
「なんで?」
「なんでもだよ、うっせぇな……」
「君さ……全然、ダメだね」
「やめ、加賀見……んんぅっ……」
やさしく、やさしく、指の腹で触る前から立ち上がった乳首を転がす。
あまりにやらしくて、興奮から僕も熱い息が漏らしてしまった。するとそれを直に耳で受けた大鳥は、ぞくぞくと背を震わせた。
「まだ……触ってなかったのに。勝手にこんなに、固くして。やらしいね。彼に、舐められた時も……こんなに固くしてたの?」
「だから、し……て、ない」
可哀想なくらい小さな声。喉をしぼって堪えているのは、明らかに恥ずかしい声が漏れ出ないためだ。
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