ブルガリブラックに濡れる〜恋人の元・セフレ(攻)を優しくじっくりメス堕ちさせる話〜

松原 慎

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元タチの俺が他の男に掘られないようエロ拷問するとか言ってるけど⑤

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 家には帰りたくなかったけれど、水泡にその理由を話す気にもなれなかったし、着替えや薬が必要だと思ったし、大人しく昨晩待ち合わせに使ったコンビニまで送ってもらった。
 この時間に家にいるのは春休み中の麗奈だけだろう。あいつは休みの日となると昼近くまで寝ているし、誰とも顔を合わせずに済むはず。
 しかし残念なことに俺の予想は当たらず、玄関を閉めてすぐにリビングから人影が現れた。

「隼人、お父さんとなんかあった?」
「その前に“おかえり”とかねぇのかよ」

 悪態をつきながらも出てきたのが麗奈で心底安心した。しかし開口一番“お父さん”の話となると油断できない。

「わ、久しぶりに煙草臭いぃ……最近臭くなかったのに」

 鼻をつまんで顔を顰める麗奈の頭を小突きながら素通りする。余計な話はしたくない。けれど篤志さんの話が出た理由は気になった。

「篤志さんがどうしたんだよ」
「私が聞いてるのに」
「だからなんで聞くんだよ」
「だって隼人が朝帰りしたり帰ってこないのなんかしょっちゅうなのに、朝すっごい心配してたんだもん……私寝てたのに起こされちゃったんだよ……? 何か連絡きてないかってすごい剣幕で……なんか顔色悪くてふらふらしてたし」

 返せる言葉がなく、俺に小突かれた頭を擦りながらムッとして話す麗奈の頭を撫でながら、俺が夜中に出ていったことに気が付いて眠れなかったかもしれない篤志さんの姿を思い浮かべて胸が傷んだ。昨日は大分酒を飲んでいたようだったのに、更に睡眠不足で仕事に向かったのか。大丈夫だろうか。

「ごめんな。悪いんだけどさ、今夜も泊まってくるって篤志さんに伝えておいてくんない?」
「自分で言った方がいいと思うけど……」
「頼むよ。な。今度なんか美味いもん買ってくるからさ」
「んー、しょうがないなぁ……でも明日はちゃんと帰ってきたほうがいいと思うよ?」

 どでかい目でじっと見られるとちょっと弱いが、俺も負けじと微笑んで小首を傾げて誤魔化した。俺よりさらに食いしん坊の麗奈でも美味いものでは誤魔化しきれないか。会いたくねぇな本当に。
 できることならこのままずっと逃げていたいよ。そんなことできないのはわかってるけど。
 篤志さん。
 駄目だ、自分が作り出した篤志さんの姿が頭から離れない。
 俺のこと心配してこのリビングをうろうろしたりしていたのだろうか。電話もメッセージもなかったけれど、連絡をとろうとして躊躇ったりしたのだろうか。
 でも連絡なんかできないよな。あんなことあってなんて言えばいいかなんて、わからねぇよ。篤志さんも俺から逃げちゃえばいいのに。
 心臓がそわそわする。胸が苦しい。早くここから出なくちゃ。
 早々に必要な荷物をまとめ、行く宛てもないのに自宅を飛び出す。
 高校生の頃通学に使っていたリュックサックを引っ張り出し、そこに着替えやらなんやら詰め込んだため肩が重い。水泡の車から降りた時より太陽が高く上がっていて日差しが眩しい。UVカット機能がついていたはずの伊達眼鏡をポケットから取り出して装着した。
 モヤモヤして、落ち着かなくて、行く宛てがない。
 こんな時少し前ならば適当な女を呼び出して肌を重ねていたけれど、別に女を抱きたいとも思わない。
 玲児は春休み中も大学のグランドに行っているし、俺も図書館にでも行けば時間が潰せるだろうか。
 その考えを思い浮かべただけで、放課後に本を読みながら陸上部の活動が終わるのを待っていた中学時代を思い出して懐かしい気持ちになる。
 マネージャーをやっている玲児はあの頃と違って走ってはいないけれど。
 だって俺のせいで走れなくなっちゃったから。
 俺は玲児のこと最低でも三回は壊してる。
 俺が抱けなかったせいでおかしくなっちゃって。そのせいで無理な練習を重ねて走れなくなっちゃって。一度離れたのに何度もしつこく粘ってどうしても一緒にいたかったくせに何にもわかってやれなくて、自殺未遂までさせてしまった。
 その癖に浮気を繰り返す俺を玲児は許してくれていた、けれど。
 こんなに一人の人間に溺れてる俺を知ったら玲児は、また。
 骨と皮だけのガリガリの手首に青紫色の痣がいくつも刻まれた手首のイメージが脳裏に浮かび、道端で吐きそうになる。口を手で抑えてじっと堪えたが、思考がどんどん悪いほうに流れてるのを感じる。

 ――……だめだ、おれ。みなわがいないと。

 泣きそうだ。つらい。胸が苦しい、息も詰まって、呼吸が上手くできない。
 篤志さん大丈夫かなって、それもずっと頭の片隅でぐるぐるしてる。そんな状態で仕事に行って、事故にあったりしないだろうか。営業職で車を運転することもあるのに。体調を崩したりしてしまったら。
 俺って疫病神みたい。
 でも今日は水泡の役に立てるから。水泡は俺のせいでおかしくなったりなんてしないから。

 ――でももし、俺のせいで出雲と別れるようなことになったら……。

 だめだ、余計なことを考えるなと首を左右に振る。早く会いたい、会えたら、水泡の体温を感じて、肌の匂いで胸を満たせば、それだけで落ち着けるのに。
 でもまだ午前中で、全然会えない。
 リュックサックを漁って、薬を飲む。いつも飲んでる睡眠薬と先日追加した精神安定剤とは別の、昨日も飲んだゼリー状の頓服薬。連日飲むことになるなんて嫌になる。でもこれで自己嫌悪していたら薬を飲んだ意味がない。
 そうだ。
 ホテルはきっと水泡の職場の近くになるから、そっちのほうまで出て、ファミレスかどっかで飯食って、本屋で何か小説でも買って、そのあとは喫茶店で本を読みながらコーヒーを飲んで。小説はテンポのいい推理小説がいい。ケーキを頼むのもいいな。
 うん。それがいい。
 昨日も水泡が買ってくれた肉まんを食べたらとても気持ちが楽になったから。腹が空いてるとなんだか寂しさも増すし、胃の中を美味いもので満たそう。
 肉まんを食べながら抱きしめられて、頭をたくさんよしよしと撫でられた記憶が蘇ってほっとする。
 たくさんの泣いてる自分を全部まるごとよしよしと撫でられてるみたいでほっとする。
 そうと決まればとリュックを肩にかけ直し丸めた姿勢を正して、しっかりとした足取りで駅へ向かった。薬の副作用なのか、異様な心臓の高鳴りを抱えながら。




「んっ…………ん……ぅ……」

 ぬち、ぬち、と尻の穴が吸い付く感触が指を不思議な感覚にさせる。
 あれから暫くは思い描いた通りの休日を過ごせていたが、夕方になって薬が切れてきたのか途端に具合が悪くなった。反動で余計に気分が沈んできて悪いことばかり考えてしまい、コーヒーのカフェインもいつもより強く感じられて指先が震え、このままじゃ動けなくなると思っていた矢先に水泡から「このホテルで待っていて」と連絡が入った。
 予約を入れるためなのか、ラブホテルではなくシティホテル。そこから確認してすぐに移動し、今に至るというわけだ。
 ホテルの部屋に入ってからいても立ってもいられず、途中で買ったグリセリンで腸内洗浄をして(いつもはシャワーを使うのだが久しぶりで不安だった)、中を柔らかくしておくためにそこを弄っている。

「ン……あっ…………は、ぁっ……」

 人差し指はすぐ入ったから、中指を追加して。何度か往復させているだけでぞわぞわする。穴がきゅうきゅうと強く窄む。
 水泡のを大きなモノを受け入れるのはいつぶりだろう。一ヶ月近く経っていると思う。頻繁に受け入れていても苦しいから、よく慣らしておかないと。
 でも自分でするのはやっぱり苦手で、ゆっくりと呼吸しながら、焦らず触れていく。
 この二週間は射精もできていないので、チンコがガチガチに勃起して我慢汁もダラダラ垂れてて、でもそこには触れられなくて、つらい。指がちゅぽ、と抜ける度に、亀頭がビクンッて跳ねるのが痛ましい。
 後ろイジって出すだけでも楽になるのかなと考えたけど、やっぱりケツでもオナニーする気にはなれなかった。
 俺が自分に触れられるのは、水泡を待っている時だけだ。水泡が来るってわかっていれば終わったあと寂しくならない。虚しくならない。自己嫌悪に襲われない。

『みんながしていることだから汚いことじゃないよ。大丈夫だよ』

 そう水泡に教えてもらってわかっているのに、身体の快感を求めて溺れる自分を気持ち悪く感じる。
 叔母さんで射精してたやつがまだそんなもん出したいのかよ気持ち悪い。そう思う。
 指で、入口を拡げて。
 中にある性感帯には触れないで、あくまで穴の快感だけで身を震わせる。
 でもこの後は玩具を入れて慣らさなきゃ。
 水泡が来てくれたら即ハメできるようにしておかなきゃ。
 水泡にもらったスティック型のアナルビーズを家から持ってきた。小さい玉からだんだんと大きな玉になっていくやつだから慣らすにはちょうどいいはず。
 でもそれを入れてドライでイクのはいいけれど、精液が漏れてしまったらすごく嫌だ。なんか気持ち悪い。ゾッとして、尻穴に力が入る。皮膚が強ばって快感を与えてくれていた指が異物に変わった。
 だめだ、やめよう。中断したほうが。
 でも中断してボーッと過ごせるのか?
 また自己嫌悪に襲われてしまうんじゃ。
 気持ちよくなりたい、気持ちよくなりたい、でも気持ちいいのは気持ち悪い。
 尿道口から精液が吐き出されるのを思い浮かべるとすごく嫌な気持ちになる。汚い。排泄じゃないか。気持ち悪い。子種。子供。赤ん坊。叔母さんも連れてたな。俺が腰振ってる横で泣いてた。下で母乳あげてた。嫌な気分になりながらも腰を振るのはやめられなかった。射精した。気持ち悪い。ずっとそうだ。嫌なのに、出てくる。出てくるんだよ。気持ちよくなってる。
 違う、でもこれは、水泡のこと受け入れるためなんだ。だから、悪いことじゃない。悪いことじゃないわけないだろ浮気してんのに。クソ出すとこに子種入れてもらってアヘアヘ喜んでるのが悪いことじゃないわけないだろ。気持ち悪すぎるだろ。何やってんだろ。生殖行為なんだぞ。ぐちゃぐちゃになるためでも逃げるためでもなくて、なんで。わかんない。でもあんなに幸せになれるのに。気持ち悪い。頭ぐるぐるする。
 みなわがいないと、だめ。
 大丈夫って、言ってくれないと。
 俺が気持ちよくなってたら、じっと。
 優しく、愛おしそうに見つめてくれる。時には興奮した眼差しを。
 それで俺は全部許される。
 俺と水泡で一緒に気持ちよくなって、幸福を感じて、それが目的でいいんだと思えるんだ。
 最初はとろとろになってしまう自分がみっともなくて嫌だったけれど、それを尊いとすら思える瞬間がある。

「あ……」

 身体が、柔らかくなってくる。それと同時に不快感が薄れてきた。
 今のうちにと、傍らに置いておいた玩具を手にする。チューブ型の固めで粘度の高いローションを塗りつけて、横向きに寝転がる。
 少し尻を上向きにして、背中から手を回し、そっと。一番小さな玉を中に埋めていく。
 穴が拡げられていく感覚にドキドキする。ゆっくり、ゆっくり進めて……あ、入る。そう思った瞬間に玉が中につるんと入り込んで穴がキュッと閉じ「あっ」と声が出た。
 全部じゃなくても、何個か入れてからじゃないと抜き差しできない。まだ入れないと。

「あっ…………あっ、あっ。あぁっ……」

 穴が拡がって閉じてを繰り返すのが気持ちよくてキュッと目を閉じる。早く出し入れしたい。つぷつぷと抜けてくあの気持ちよさを感じたい。
 恥ずかしい。胸がきゅうっと締め付けられるみたいになる。
 はしたない。出すので気持ちよくなるなんて。
 でも水泡なら「排泄感で気持ちよくなるなんて悪い子だね」って言いながらもたくさんよしよししてくれる。
 四つ。入った連なった玉を、今度は抜いていく。ますます心臓が高鳴る。期待してしまう。尻を少し浮かせて、入れる時より早い速度でつぷつぷと抜いていく。

「アッ、あぁぁぁっ……ぁー……これ、だめぇ……」

 強制的に穴が何回も拡げられるのが堪らない。気持ちよくて膝くっつけて腰ビクビクさせて、そしたらぬるぬるになったチンコの先っぽがシーツに擦れて、もっと気持ちよくて。

「あ、やだ、やだっ、ちんこ……ぁ、きもちいぃ、よぉ、ちんこやだっ、ちんこやだぁ……」

 やだやだといいながら、玩具を抜いた身体をうつ伏せに転がして、カエルみたいながに股でベッドに向かって俺は腰を振り始めてしまった。
 これ、床オナ? やだ、あ、出したくなっちゃう。出したら絶対また沈む。やだやだやだ、出したくない。でもまた俺、腰止まんない。
 なんでこんなに気持ち悪いんだよ、俺。
 転がってた玩具を握りしめて、そのままの格好で少し腰を浮かせてまた中に突き立てていく。気持ちよくなるなら中で。イクならドライで。一人で出すのは絶対に嫌だ、こわい。
 ずっと出してないからこんな気持ちになっちゃうんだ。もっと、もっと後ろに意識いかせないと。

「んっ、んっ、んっ、ぁっ、ちんここしゅるのきもちぃよぉ……っ」

 や、止まんない。止まんねぇ。ケツに入ったまま擦るともっと気持ちいい。前立腺当てながら擦りたい。
 腰を左右前後、一生懸命擦りながら角度を変えて、するとこりゅっと中のやらしい膨らみが強く擦れた。ビクゥッッと背を反らせて上半身が跳ね上がる。

「オッ……!」

 あ、だめ、イッちゃう。あ、こんなの、こんなの、こんなの我慢できな。あ、あ、あ、きもちいいよぉ。精子出したい、出したい、ビューってしたいっ。
 頭ん中がチカチカ光って身体中キュンキュンと甘い渦きに支配される。
 しかし。
 いつでも連絡がきたら反応できるようにと枕元においてあったスマホの液晶が明るくなった。電話だ、水泡だって慌ててスワイプしてスピーカーにする。

『隼人くん? 飯の件だけど、どう?』

 しかし聞こえてきたのは違う声で。

「あっ……あっ、あの、ぁ」
『ん……?』
「すみませっ、ぁ。切って、いや、切ります、おれ……」
『ふーん……かわいい声だしちゃって。もしかして飯じゃなくてホテル行きたかった?』
「ちがっ、ちがく、て……ぁ、ほんと、切る……切って……」

 かわいい声って言われて、通話を閉じようとしたら指が止まってしまった。
 いつから可愛いと言われるのがこんなに嬉しくなってしまったんだろう。褒めてもらえたってドキリとしてしまう。あんまり可愛いなんて言われることはないけど。

『一人? どこにいるのかなー?』

 あ、でも腰の動きは止まっ……てはいないけど、緩やかになってる。人の声聞いてた方がいいかな。慣らすのやめて話し相手になってもらった方が気が紛れるかもしれない。
 とにかく、とにかく沈んでぺしゃんこに潰れるのはいやだ。つらい、すごくつらくて、くるしくなるから。

『それとも誰かにいやらしいことされてる? 俺プレイに巻き込まれたのかー』
「ちがくてっ、ひとりで……」
『一人でなんでそんな声出してるの。俺の思ってる状況ならなんで電話出たの。誘ってるって思っちゃうんだけど。今夜会える?』
「あえな、い、です」

 どうしよう。オナニーするのやめようと思ったけど、抜いたら絶対声我慢できない。ゆっくりなら平気だろうか。一回電話切ったらもう電話してくれないかな。
 一人になるのやだ。

『会えないのかよー。なんだよー。惑わせてくるなぁ』
「でも俺、篠原さんとまだ、話したくて……ダメですか」
『お! 電話エッチする?』
「は、ちがっ……違いますって!」
『オナニーしながら電話するのに違うってそれはないでしょ隼人くんー』
「んなことしてない……です……」
『でもこの間お尻いじってあげた時と同じ声してるんだよね。甘えたやらしい声。かーわいい声』

 またどきりとして、ケツちょっと締めちゃって、そしたら、ふに、としこりに擦れて。

「あっ」

 艶めかしい、声が漏れる。

『エッロ』
「んっ、篠原さん、そゆの、やめろって、も……」
『あー。やめろはないねぇ、目上の人に』
「だって、ぅ、すみませ」
『今何してるのか教えてくれたら許してあげるけど、そうじゃないならダメだね』
「すみません、おれ、ちがくて、やだ……本当に普通に、話、したくて……ごめんなさい篠原さん、勘弁してください……だって、俺が何してるかわかってるでしょ……」
『まーバレバレだよ』

 その言葉に、まるで今の自分の姿を見られてるみたいな気持ちになって、身体の芯がじんわりとする。ケツにしっぽついてるみたいに玩具突っ込んだまま、ちんこはシーツに絡まってぐちゃぐちゃドロドロ。こんなとこ見られたら終わる。
 でも腰が、へこ、へこ、て動いちゃって。

「あっ……んっ……」
『隼人くんって本当にMなんだな。意地悪なこと言われると気持ちいいとこ触るの我慢できないんだろ?』
「触ってねぇもんっ」
『あーあー、口の利き方悪いぞ。どこで気持ちよくなってるか教えないとおじさん怒っちゃうぞー?』
「は、怒るって……知らねぇし、俺も写真集断るからいいよっ……もう……!」
『あ、そうこられると困るね。ごめんねー、隼人くん』

 チャラチャラしたおっさんがへらへら笑ってる顔が目に浮かんでイラッとする。でもなんかちょっと気は楽、かも。

『つってもね、君が煽るから悪いんだからな。お尻弄りながら仕事相手の電話出るなんて非常識だろ』
「えっ、なんでわかっ」
『おー、こんなわかりやすいのに引っかかった。ちょっろいねー』
「はぁっ?!」
『これは期待しちゃうな。今度抱かせてくれる?』
「それは」

 できない。んなことしたら水泡がすごく怒る。それに俺自身も水泡だけがいい。篤志さんにあんなことしたばっかりのくせにって自分でも思うけど。
 でも水泡は出雲のこと抱いてる。昨日だってあんな吐息混じりの声聞かせて。
 できないと言うことは決まっているけれど、唇を噛み締める。すると篠原さんはふぅとため息をついた。

『話してもいいよ。口説いてやるから』
「いや、待って。ちょっと待って、篠原さん……待ってて。あ、でも電話切らないでほしいんだけど……」
『切らないよ。こんなチャンス逃すか』

 ケツに物入れながら口説かれるとか頭おかしくなる。口説かせないけども。
 むっと唇を固く結んで、入ったままのアナルビーズをゆっくりと抜いていく。声が出ないように、刺激が強すぎないように、ゆっくり。
 それでもやっぱり、一個ぬるっと穴を拡げて出ていった時は全身が粟立って身体が跳ねた。

「ああっ……はぁ、はぁっ……んっ」
『え、ちょっと何してんの隼人くん』
「ん、まじ待って、黙って待ってて!」
『いやいやいやいや無理でしょ何やって』
「はぁ、は、すぐ終わる、から……ンンッ、ぁ……あっ…………あといっこ……んっ、んぅ……あぁ……」

 その、最後の一個を抜いてる途中。
 扉が開き、部屋内部の気圧が変化したのが分かった。
 そうか、フロントでカードキーもらえるから俺が開けてやらなくても入ってこれるんだ。
 やばい。やばい、やばい、でも水泡が来てくれた! 早く顔が見たい。触りたい。
 でも太ももが震えて上手く起き上がれなくて、俺が起きるより先にギシと膝が乗ってきてベットを軋ませた。
 水泡の顔は見えないまま上から手が伸びてきて、通話が繋がったままのスマホを拾う。
 スピーカーなので篠原さんの声が普通に聞こえてる。すごい声したよ、とか、やっぱり電話エッチするのか、とか。そんなの。
 これ絶対怒られる。ぐちゃぐちゃにされる。でも気持ちいいし、水泡がいっぱい求めてくれると考えたらあまり恐怖は感じなかった。
 もう死んじゃうよってくらい求められたい。おかしくなりたい。
 水泡の反応に期待すらしてしまう。前だったらもっと焦っただろうに、なんか全然大丈夫だ。頭の中お花畑かも。やべぇ。だって水泡が今ここにいるってだけで嬉しくてたまんねぇんだもん。
 あ、でも。
 水泡が悲しんだら、それはちょっとヤダな。

「あッ?!」

 まだ小さな罪悪感が生まれてすぐ。先程抜いたばかりの玩具がケツに挿し込まれた。
 俺があんなにゆっくりゆっくり丁寧に入れていたものを、ズルズルと遠慮なくぶち込んでいく。

「あっやっ、あぁっ、それだめっ、だめっ、じぇんぶ入っちゃっ……!」

 穴のふちんとこ、すっごい擦れてやばい。反応してケツひくひくしちゃうし、そんなの無視でどんどん入ってくるし、あ、あ、中も、中もあたっちゃ。
 前立腺にあたっちゃう。
 そう思った瞬間。
 俺の予想とは反して奥まで埋め込まれた玉の連なったビーズが一気に引き抜かれた。

「しゅごっ、あっあっあっイグッ、イクイクイクッ、うぅっ……!」

 ゆっくりでもあんなに気持ちいいのに、一気に、そして強制的に、ケツの穴を拡げて閉じてを激しく繰り返されて、収縮する気持ちよさと擦られる気持ちよさで背を仰け反らせて激しくイッてしまった。
 だってこれやばい、穴のとこ指でぐちぐち弄られてるだけでもイッちゃうのに、こんなのやばい。火傷しちゃいそうなくらい熱くなって、ビリビリきて、抜けたあともケツ突き出して腰ヘコヘコさせて、ずっとケツ穴が勝手に開いて閉じてをしているのが気持ちよくて余韻でまた甘イキして。
 まだ水泡の顔も見てないのにイかされちゃった。すっごい屈辱。ムカつく。あー、雌穴きもちいいよぉ……おかしくなる。ひくひく止まんない。

「あ……ぁ……きもちぃぃ……ぁー……止まんにゃ、ぁ、もぉイカされたぁ…………ん、んぅぅ、ひくひくするぅ……」

 イッたらなんかちんぽ萎えちゃった。射精してないのに。じんじんしてお尻振るの止められなくて、ちんぽぷらぷらしてる。なんか楽しい。
 へへ、てなんか笑い声でちゃう。変なの。
 しかし余裕ぶっこいてたらケツに固くて冷たい、感触の良くないものが入ってきた。気持ちいいどころかちょっと痛い。
 なに、て顔を上げようとしたら、ドロッとなんかケツに入ってきて。
 あ。
 すぐ分かった。さっき使ったばっかだから。グリセリンでできた浣腸液だ。

「え、あ、なんで、俺きれいにした」
「僕が、いいって言うまで……出しちゃだめだよ? おしおき」
「あっ」

 水泡の重みが、背中にかかって。耳元で囁かれる。
 脳みそとろけちゃう。もうだめ、今日の俺ほんとうにだめ。水泡で気持ちよくなりすぎちゃう。
 でも我慢って、え、すでに変な感じするのに。ケツの中が冷たくて違和感しかない。

「この子は、僕の恋人……なので」

 水泡が話し始めてハッとした。
 電話まだ、繋がってる。

「連絡なら……彼の、マネージャーに」

 スピーカーを切ったのか、篠原さんの声が聞こえなくなっていたから気が付かなかった。
 今の声全部聞かれた?
 イキ声聞かれた?
 とんでもない淫語とか言ってないだろうかとか色々考えてしまい羞恥と不安でカーッと頭が熱くなって、目尻には涙が滲んでくる。でも気を抜くとケツの締まりがゆるくなって、グリセリン漏れちゃう。
 あ、あ、待って今ちょろっと出ちゃったかも。汚いものは全部出したから大丈夫だけど、腹が変な感じして苦しい。

「う、ぅ……」

 歯を食いしばっていたらふわりと大きな手が頭に乗せられた。そして髪の流れをなぞるように優しく頭を撫でていく。
 がんばらなきゃ。
 下唇を噛み締める。
 あっ、ケツ緩くなる、やだ。だめ。出んな。出ちゃダメ。つらい。腹変な感じする。出したい。あ、だめ出したいって思ったら力抜ける。グリセリンがちょっと漏れて、ぷっ、てちっちゃくオナラみたいな音がする。うっわまじ有り得ない最悪。でも我慢しなきゃ。どうしよう恥ずかしくてどうにかなりそう。水泡に聞かれたかな。

「ふふっ」

 なんて、心配した矢先に笑われた。なんか話してる途中だったみたいだし、絶対聞かれたじゃん! 最悪だ!
 すでに顔熱かったのにこれ以上があるのかと思うほどさらに熱くなっていく。顔から火が出そうとはこのこと。でも実際にそんなことは起こらないから良かった。本当に火が出るなら大火事になってる。
 ふーっ、ふーっ、と唇を尖らせて息を吐く。こうしないと出てしまいそう。なのに水泡の手が背を撫でて、するりとシーツと身体の隙間に入り込んだきて、下腹部に触れた。
 そうして、ゆっくりと、撫で回すように押していく。

「みなっ、ぁっ、それむり、むりむりむりっ、出ちゃうっ!」
「静かに」
「うっ……ふぅぅ……んんぅぅう」
「いい子だね」
「あっ」

 また、ぷぴって変な音しながらグリセリンが漏れる。
 もうやだ。やだ。
 いい子だねって褒められたのに。
 恥ずかしい。我慢できない。
 もうやだ。
 すっかり腹の中で温まった液体が、ビューッと思い切り吹き出て、そのあとたらたらと流れ落ちていく。
 羞恥心と、それから我慢できなかった、水泡の言うこと聞けなかった自分が悔しくて、涙が出てくる。ケツ濡らしながらヒックヒック泣いてる自分の姿を思い浮かべると情けなくてさらにつらい。



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