【R18】呪い、叶え、給え!

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08 条件が揃わないと解呪できない

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「剣術だけでなく、魔法攻撃もお上手なんですね」
「ええ。王族は魔力の保有量が多いですからね。始祖が魔法使いだったからこそ、フローランスは魔法の国と言われる訳ですし」
「エミール殿下も魔法攻撃はお得意ですか?」
「僕は魔力の保有量はそこそこ多い方ですけど、呪文を覚えるのと詠唱が面倒なので、気に入った術ばかり使うタイプです。もっと使える術の数を増やせとよく兄上に叱られています」

 ちょうどいい流れだと思ったので、私は本題を切り出すことにいたしました。

「魔法の国なのに、どうしてヴィクトール殿下の解呪の方法がなかなか見つからないのか、ずっと不思議に思っていたのです」

 エミール殿下は私に微笑みかけてくださいます。髪の色が漆黒と琥珀色で違いますし、印象が違うので意識していなかったのですが、ご兄弟お二人の顔立ちが存外似ていることにこの時ようやく気づきました。ヴィクトール殿下よりも少し薄い紫色の瞳がきらりと光ります。

「この国の魔法は二種に分けられると考えていただいたらよいかもしれません。一つは規則正しく書かれた呪文コードのみで動かせるもの。魔法陣なんかがそうです。動力源は必要ですが、文言が正しければ基本的には動きます。もう一つは条件によって発動するか否かが決まる認証式のもの。王家の人間にしか扱えない魔道具なんかがそれです」

 魔力を持たないアドヴィンさんと私が王道を利用できたのは魔法陣のおかげでしたし、少年に戻ったヴィクトール殿下を魔道具で判別したと最初におうかがいしましたので、なんとなく納得いたしました。

「もちろん、この国最高峰の魔法使いにまず呪文を解析させました。犯人はご丁寧にヒントも残してくれていましたしね。でも、残念ながら兄上の呪いは条件が揃わないと解呪できないものだとわかったので、僕がアドヴィンに頼んであなたをお呼び立てしたんです。ブランシュ殿下」
「私ですか?」
「そうです。仮に条件がわかっても実行できる者が限られているならば解呪できない。つまり、あなたの動き次第で兄上の呪いが解けるか否かが変わる、ということ」
「エミール殿下は呪いの全容を把握しておられるようですね」

 エミール殿下を見ると、苦笑なさっています。

「全てを読めているなら、兄上は今頃大人の姿に戻っていますよ。僕は戦略が苦手ですからね。そこは賢姫と名高いブランシュ殿下の手腕にかかっています」

 私には魔力がないですし、魔法についても何も知りません。ヴィクトール殿下にかけられた呪いがどんな種類のものであるかも。
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