【R18】人の好みは説明できない

テキイチ

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第二章 真実はプディングの中に

044 私の彼氏と過ごす降誕祭 ⑤

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 翌朝、昨日の残りの朝食を食べ終えたので、どきどきしながら新くんに切り出してみる。

「あ、新くん……」
「何?」
「その、クリスマスプディングって、食べたことある?」
「ない。イギリスの童話や絵本にたまに出てくるけど、見たことないから、ちょっと憧れてる」
「じ、実は、作ったんだけど……食べる?」
「へえ! 食べてみたい!」
「準備するね……!」

 クリスマスプディングはさりげなく朝食前に蒸し直し始めていたので、生クリームを泡立て、紅茶を淹れた。蒸し上がったので、どきどきしながら新くんのところに運ぶ。

「フランベするね」
「フランベ?」
「火を通してアルコール飛ばすやつ」

 クリスマスプディングにブランデーを軽く振りかける。どきどきしながらマッチに火を灯し、クリスマスプディングに近づけると、火が点いた。うまくアルコールに反応してよかった。

「うわー! 青い炎が格好いいね!」
「私も自分でやったのは初めてなんだけど! ここまで上手くいくとは思わなかった!」

 炎が消えてからクリスマスプディングを切り分け、七分立てにした生クリームを横に添えて、新くんに出す。

「どうぞ」

 新くんはしばらくもぐもぐと咀嚼し、笑顔で言ってくれた。

「甘さ控えめの生クリームと合うね。おいしい!」

 残りも、おいしそうに、嬉しそうに、口に運んでくれる。

「やったあ! 実家の近所にマクレガーさんっていうイギリス出身のご家族がおられるんだけど、ずっと家族ぐるみのお付き合いでね、作り方を教えていただいたの! 日本の味に合わせて少しだけアレンジしてるんだって」

 クリスマスプディングは去年も作った。クリスマスイヴは素敵なイタリアンレストランで食べたから、お腹いっぱいで。クリスマス当日に「クリスマスプディングがあるんだけど」って言ったら、「クリスマスプディング、昔食べたけど、俺、苦手だった」と返されたから、出せなくなった。結局元彼が帰った後、一人で食べたんだけど、「好き嫌いはあるものなんだから、リサーチ不足だったな」と思った。
 おいしそうに食べてもらえるの、すごく嬉しいなあ。

「ん?」

 新くんが声を上げるので、思わず見る。

「どうしたの?」
「……コイン?」

 不思議そうな表情を浮かべている新くんに私は解説することにした。

「よかったね! 将来裕福になれるよ!」
「へえ! これ、そういう占いになってるんだ!」
「うん! あ……」

 私のクリスマスプディングにも何かが入っている。そっと確認し、息を飲んだ。

「どうしたの?」
「ううん! なんでもない!」

 あわてて私は首を振る。

 私のクリスマスプディングに入っていたのは、指輪。「素敵な相手との結婚」の象徴。なんだかひどく照れてしまって、つい、ごまかしちゃったけど。
 相手が新くんだといいなあ、なんて、ちょっぴり乙女なことを思った。
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