【R18】人の好みは説明できない

テキイチ

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第四章 走る前に歩くことを学べ

092 私の彼氏とバレンタイン ⑥

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 新くんは私の顔を真剣に見た。

「昨日、若葉ちゃんがワインを一気にあおったのは、僕が考えなしなこと言ったのも大きいと思う。ごめんね」

 新くんは私の無茶な行動からも、気持ちを汲み取ろうとしてくれてる。

「……ううん。勢いで飲んだ私もどうかと思うし……。心配かけてごめんなさい」
「若葉ちゃん、僕と一緒に飲むの楽しみにしてそうだったし、僕も若葉ちゃんとまたお酒飲んでみたい」

 優しい。新くんはほんとにめちゃくちゃ優しい。

「新くんと一緒だと、すごくおいしく感じるの。一緒に、もっといろんなもの、食べたり飲んだりしたい」
「うん。もちろん僕も」

 新くんがとびきりの笑顔で同意してくれる。今日、ほんと、何があったのかな? 神様が私に優しい。

「そうだ。今度、インド料理屋に行こう」
「インド料理屋さん?」
「この前、向井に連れてってもらったんだ。すごくおいしかったし、ドリンクサービス券あるから」
「ドリンクサービス券?」
「店員さんに気に入ってもらえたみたいで、たくさんもらった。ラッシー飲み放題」

 全然違うってわかってるんだけど、「フランダースの犬」のパトラッシュが荷車にラッシーを乗せて運んでる絵が浮かんでしまって。なんだかわくわくしてしまう。

「わあ! 行きたい!」

 あいたたた。思わず頭を抱えた。やっぱりまだ本調子じゃないみたい。自分の声が響いて頭痛がするなんて。どんくささに泣ける。

「今日はゆっくりしよう」
「ん……」

 せっかくひさしぶりに二人きりで過ごせてるのに、もったいないなあ……。

「家でのんびり過ごすのも楽しいよ。若葉ちゃんと一緒なら」

 私の気持ちを見透かしたように、新くんが笑顔で言ってくれる。
 嬉しくなって思わず微笑みかけたら、唇に優しいキスが降ってきた。ひゃあ!
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