【R18】人の好みは説明できない

テキイチ

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第六章 まだ願いごとが叶った頃

145 私と彼氏の初めての旅行 ⑤

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 目を覚ますと、私を見つめている新くんの優しい顔が目に入った。

「若葉ちゃん。お誕生日おめでとう」
「ありがとう!」

 誕生日の朝を一緒に迎えたのが大好きな新くんで、最初におめでとうと言ってもらって。とっても嬉しくって、何度も頷いてしまう。
 そっとくちづけられて、すごくどきどきした。

 もう一度簡単にお湯を浴びて、身支度を整える。フロントにフリルがたくさんついた紺のタンクトップに白いカーディガンを羽織り、お気に入りの若葉色のスカートを身に纏う。誕生日仕様。新くんとお風呂を交代する時に、とっても褒められた。嬉しいなあ。
 新くんがお湯を浴びている間に私はお化粧をして、一緒に朝食を食べに行った。

 バイキング形式の朝食を食べ終え、荷物を準備して、そろそろ出るのかなと思った時に新くんから声を掛けられた。

「若葉ちゃん」

 新くんは一通の封筒を差し出してくれた。若葉色の封筒に「若葉ちゃんへ」と書いてある。裏には金色のシール。月桂冠みたいなエンボス加工が素敵。糊は使っておらずシールだけで封緘してあるようだったので、ゆっくりシールを剥がして開いた。中にはカードが一枚入っていた。

「誕生日プレゼント、いろいろ考えたんだけど、これなら確実かなあと思って」

 カードには「若葉ちゃんの願いをなんでも一つ叶える券」と書いてあった。
 とても微笑ましくて可愛らしい。いつもの私ならきっとそう思うだろう。
 新くんが私を喜ばせようとしてくれたのは、とてもよくわかる。外したくないのも、わかる。スマートなやり方なのも、わかる。私がわがままなのも。でも。

「若葉ちゃん」

 何も言えずにいる私に、新くんが静かに呼びかけてきた。

「なあに?」
「僕は若葉ちゃんを喜ばせたかったけど、選択を誤ったみたいだ」
「そ、そんなこと……」
「顔を見たらわかる。正直に言って。何にがっかりしたの?」
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