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番外!!
092 広瀬遥の恋愛事情(神様はいつもきまぐれ) ③
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「今年の誕生日こそ、彼氏と過ごせると思ったのになあ」
お昼を一緒に食べている望に思わずグチる。
「今までの彼氏と、誕生日、一緒に過ごしたことないの?」
「残念ながら、こないだの彼氏が、初めてのお付き合いでござった!」
「それは申し訳ない!」
望は美人さんだから、モテない人間の生態がわかっていないのだ。
「彼氏どころか、夏休み中だから、友達に祝ってもらうこともあんまりなかったよ」
「遥の誕生日、八月の初めだっけ?」
「うん」
「今年はみんなでお祝いするから!」
そんな訳で、大学一年の誕生日は、友達に祝ってもらった。みんなと一緒に過ごす誕生日は、とても楽しかったし、すごく嬉しかった。でも、わがままだけど、来年は彼氏にお祝いしてもらいたいなあとひっそり思った。
自分から行ったのがいけなかったのかもしれない。次はできれば向こうから好きになってもらって付き合いたい。別れて一年ちょっと経った頃、望の彼氏の友達を紹介された。それが二番目の彼。
二番目の彼は、最初の彼と違って、ものすごく好みという訳ではなかった。でも、決して悪い顔ではなかったし、背が高くて男らしい雰囲気はいいなと思った。なにより望の彼氏が「口下手だけどいいやつだから」と言ってくれたから、とりあえずデートをしてみることにした。最初の彼とはデートすらせずに付き合ったのもいけなかったのだ、たぶん。
チケットがあるということで、初デートは野球観戦になった。
正直、ロマンティックな雰囲気には全然ならなかったと思う。ビール飲んで、軽食つまみながら、ひたすら観戦していただけ。中高と野球部だった彼が、プレーの解説をしてくれるのは面白かったけど。
試合が終わって、歩いて駅に向かう。彼はひたすら無言で、これからどうしようかと、訊ねるのもなんだかはばかられた。電車に乗り、最寄駅で降りる。これはもう解散の流れだ、というか、これから会うこともないかも、と彼に別れの挨拶をしようと口を開いた瞬間。
一緒だとなんか落ち着くんだよなあ、ぼそっとそう言って、彼は夜空を仰いだ。
どれくらい時間が経ったかわからないけど、彼は私に向き直り、きちんと目を見て、付き合ってほしいと言った。あまりにも朴訥な直球。でも、手がカタカタ震えていて。
一緒にいて、全然嫌じゃなかった。「口下手だけどいいやつだから」という望の彼氏の言葉を思い出す。この人とならうまくいくかもしれない。そう思って、私もうんとうなずいた。
お昼を一緒に食べている望に思わずグチる。
「今までの彼氏と、誕生日、一緒に過ごしたことないの?」
「残念ながら、こないだの彼氏が、初めてのお付き合いでござった!」
「それは申し訳ない!」
望は美人さんだから、モテない人間の生態がわかっていないのだ。
「彼氏どころか、夏休み中だから、友達に祝ってもらうこともあんまりなかったよ」
「遥の誕生日、八月の初めだっけ?」
「うん」
「今年はみんなでお祝いするから!」
そんな訳で、大学一年の誕生日は、友達に祝ってもらった。みんなと一緒に過ごす誕生日は、とても楽しかったし、すごく嬉しかった。でも、わがままだけど、来年は彼氏にお祝いしてもらいたいなあとひっそり思った。
自分から行ったのがいけなかったのかもしれない。次はできれば向こうから好きになってもらって付き合いたい。別れて一年ちょっと経った頃、望の彼氏の友達を紹介された。それが二番目の彼。
二番目の彼は、最初の彼と違って、ものすごく好みという訳ではなかった。でも、決して悪い顔ではなかったし、背が高くて男らしい雰囲気はいいなと思った。なにより望の彼氏が「口下手だけどいいやつだから」と言ってくれたから、とりあえずデートをしてみることにした。最初の彼とはデートすらせずに付き合ったのもいけなかったのだ、たぶん。
チケットがあるということで、初デートは野球観戦になった。
正直、ロマンティックな雰囲気には全然ならなかったと思う。ビール飲んで、軽食つまみながら、ひたすら観戦していただけ。中高と野球部だった彼が、プレーの解説をしてくれるのは面白かったけど。
試合が終わって、歩いて駅に向かう。彼はひたすら無言で、これからどうしようかと、訊ねるのもなんだかはばかられた。電車に乗り、最寄駅で降りる。これはもう解散の流れだ、というか、これから会うこともないかも、と彼に別れの挨拶をしようと口を開いた瞬間。
一緒だとなんか落ち着くんだよなあ、ぼそっとそう言って、彼は夜空を仰いだ。
どれくらい時間が経ったかわからないけど、彼は私に向き直り、きちんと目を見て、付き合ってほしいと言った。あまりにも朴訥な直球。でも、手がカタカタ震えていて。
一緒にいて、全然嫌じゃなかった。「口下手だけどいいやつだから」という望の彼氏の言葉を思い出す。この人とならうまくいくかもしれない。そう思って、私もうんとうなずいた。
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