PowerPointとペイント3Dだけでアルファポリスの表紙を作るたったひとつの冴えたやりかた

実例編

06 【R18】煙草を買いに（面取りでフォントや図形に立体感を出す）

　アルファポリスへ投稿するたびにツイッターで宣伝をするのですが、つい表紙について嬉々として語ってしまうウザい人間になり果てていました。「ねえねえ！　おかあさん！　みてみて！　あたしここがんばったの！」と全力で主張する脳内幼女（５歳）。「あ、これ、技術部分はまとめて公開すればいいのでは？」と今更気づいたので、実例編として一作ずつコメントをつけようと思います。

　

　ミッドナイトブルーにしよう。最初に決めたのはそこでした。夜空の色だけど、黒ではなく、あくまでも深い青。紺よりも藍色に近い感じがいいなと思って。まあ、モニターによって、全然違う色になっちゃうんですけどね！　私は水色（#A0C0F0）と紫紺（#3F1D72）を気に入っていてよく使うのですが、たまに職場で自分の作ったものを見ると、「えらく紫寄りだな！」と感じます。私用PCはモニターの発色が青寄りなことで有名なメーカーなので、私の想定している色はおそらくみなさんが見ているものよりも少し落ち着いています。紫寄りのやつも好きだけれども。

　この話で私は主人公の戸田ちゃんの容姿を全く描写していません。お読みくださった方の想像に委ねたいと思ってこの短編を書いたからです。表紙もそれを踏襲し、色と文字だけで構成することにしました。

　組み合わせは図解通りです。

「煙草を買いに」の題字と作者名は、以前使う予定もなく試しに作っていたものを流用しました。煙が空気に溶ける感じがいいと言われ、背景白地でそれっぽい感じになるように作ったため、実を言うとミッドナイトブルーの背景だと効果が死にます……。まあいいや。

　私は題字と作者名で使った「GL-築地五号」という古風なフォントを愛用しているのですが、漢字があまり入っていないんですよね。今回の場合、煙と買が入っていなかったので、「コーポレート明朝」で代用しています。フォントの大きさの違いとがたつきが出ているのはそのせい。調整も可能だったのですが、二人の歪な関係と妙に合っていると感じたので、あえてそのままにしました。

　実を言うと、一番力が入っているのは、R18ロゴです。完全に力の入れどころを間違えています。目的が手段になりがち。

　フォントに「面取り」を指定すると、立体的に見せられます。これは図形やSVG画像でも使えるテクニックです。フォントを指定した後に、「図形の書式」タブの「ワードアートのスタイル」の「文字の効果」にある「面取り」から「ハードエッジ」を選択すると、輪郭を際立たせた形にすることができました。

　また、R18ロゴには光彩も設定しています。そのままだと背景の色の強さに負けて埋没してしまうと感じたからです。設定色は淡いグレーなのですが、透明度を65％にしているため、背景のミッドナイトブルーと混ざって水色のように見えています。

　英文「Man Always Remember Love Because Of Romance Only」はマルボロの名前の由来（俗説）です。頭文字を並べるとマルボロ。戸田ちゃんの元彼の吸っている煙草は、最初からなんとなくマルボロを想定していたのですが、この説を後から知って「これは絶対にマルボロにしよう！」と確定しました。不実な男がこういう意味を持った煙草を吸ってるって、皮肉でいいなと思って。
　「持っている」話は不思議な偶然を後から連れてきてくれることが多いなあと思います。