【R18】朝も昼も夕も夜も

テキイチ

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本編

06 夏の麻 ①

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 耳が綺麗だと思ったんだ。

 その日の合コンに長い黒髪の女は二人いた。
 一人は最初から対象外だった。寝たことがある男を数名知っているし、いろいろ話も聞いているし、面倒なことにしかならない。

 もう一人は、表情が変わらない。造作は十人並みのはずなのに、表情がないから、全然可愛く見えない。その場にも、他者にも、興味がないんだろう。まあ、ある意味ちょうどいい。
 邪魔なのか、たまに落ちてきた髪を耳に掛ける。その時目に入った耳が、なんだか妙に綺麗に見えた。

 合コン終了後、駄目元で声を掛けたら、あっさり乗ってきた。自分で誘ったくせに、なんだか面白くない。そんな簡単に誘いに乗るなよ。

 ラブホに連れ込んですぐ、フェラをしてくれと言った。嫌な顔でもいいから、表情を変えさせたい。
 あっさり応じられてしまい、拍子抜けする。しかも、妙に上手い。過去の経験が垣間見え、やっぱりなんだか面白くない。
 ただ、髪を耳に掛ける動作に、ちょっとどきりとした。

 咥内を蹂躙して射精した。面倒なことは避けたいから、普段こんなことはしない。あまりにも変わらない表情に嗜虐心が芽生えたのもあると思うし、無理矢理舐めさせてるうちにちょっと夢中になっちゃったのもある。
 咳き込んで苦しそうではあったけど、表情はやっぱり変わらなくて。もういいやと思った。大体俺の目的は突っ込んで出すことだったはず。

 あまり濡れてない。誘いに乗ってくる女は、それなりにヤる気があるし、経験も豊富なことが多いし、俺の顔はそこそこ女ウケするようで、要はさっさと突っ込めないパターンがそれまでなかった。

 それなりに経験あるくせに。俺がそんなに下手なのかよ。そう思いつつ、ちょっと意地になって簡単な愛撫をしたら、濡れて、突っ込めた。
 あまりしたことがないのか、元々か、ずいぶん狭い。ちょっと、処女を相手にしている気分になった。処女としたことないけど。

 後背位で、髪の毛しか見えないから、ちょっとだけミユキちゃんとイメージが重なる。思わず名前を口にしてしまい、まずいと思ったけれど、そのまま突き続けて射精した。どうせ相手は俺のことを気にしていない。気遣いなんか不要。



 夢を俯瞰で見ることがある。絵本の中の登場人物になって語り手の言う通りに動いているのに、それを眺めているような夢。



 ☆+゜*。:゜☆゜:。*゜+☆

 ツバサくんは少したれた犬の耳と大きなしっぽを持った可愛い獣人の男の子です。その名の通り、背中に大きな白い翼も一対持っています。

 ツバサくんのおばあさんはお料理が上手で、いつもおいしいものを食べさせてくれました。

「おばあちゃんのお料理はいつもおいしい」
「おいしくなるように、ツバサが喜んでくれるように、心を込めて作っているからね」

 おばあさんはそう言って微笑むのでした。

 ある夜、ツバサくんはお手洗いに行きたくなって、目を覚ましました。お父さんとお母さんの寝室から、なんだか妙な声が聞こえます。扉をそっと開き、隙間からのぞくと、声の主は苦しそうな顔をしたお母さんでした。
 ツバサくんは思わず声を上げます。

「おかあさん!」

 しばらくすると、お父さんが扉を開けて出てきました。心配しなくていいとお父さんは言います。

「でもおかあさんは苦しそうだった。なにをしていたの?」

 ツバサくんの問いにお父さんは答えてくれました。

「大人は大好きな人と身体を食べさせ合うんだ。神聖な儀式だから、大切な人としかしてはいけないんだよ」

 ツバサくんはおさななじみのヤギの獣人ミユキちゃんのことがずっとずっと大好きだったので、食べさせ合うのならミユキちゃんがいいなあと思っていました。
 でも、そう思っていたのはツバサくんだけで、ミユキちゃんは運命のつがいと出会うと、あっというまにいなくなってしまいました。

 おなかがすいた。

「気持ちなんかなくても、食べさせ合うことはできるのよ」

 ツバサくんは、声を掛けてきた豹の獣人の女の人と、身体を食べさせ合いました。でも一方的に食べられている感じがするのはなぜだろう。

 同じように、他の獣人の女の人とも、かわるがわる身体を食べさせ合いました。虎や狼や鷹や鷲や蛇。
 でも、やっぱりどうもしっくりきません。

 ツバサくんはずっとお腹を空かせていました。

 ☆+゜*。:゜☆゜:。*゜+☆



 気分は最悪。
 ほのぼのした毛皮をかぶって、ずいぶん質の悪い夢だ。いろいろえぐられる。

 隣の女は俺に背を向けるようにして寝ている。

 妙に目が冴えてしまって、窓際で空を眺めた。
 夜明けの空は大変美しい。美しすぎて、なんだか消えたい気持ちになる。

 女の子を弄ぶなんて最低だ。そう言って、友人だと思っていた数名は離れていった。合意なくヤッたことはないし、むしろ女子の方が割り切っているのに。
 男の方がセックスに夢を見がちだ。

 大切な人としかしてはいけないんだよ。
 幼い頃、父に言われたことを思い出す。覗くつもりはなかったけど、申し訳ないことをした。

 なにやってんだろ、俺。
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