ピーチな夜、ソマリの朝

ゆれ

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ソマリの朝

04

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 覗き込んでくちづけると噛まれた。思わず叩きそうになって、すんでのところで思いとどまる。グッと首輪を掴む。

「オイ億斗、てめえいい加減にしねぇと」
「くせえ。」
「……あ?」

 今度は喉元を留めている手にもがぶっと咬みついて、億斗はするりと葵の下から這いだした。
 普通に咀嚼する勢いだったので痛いし鬱血している。傷から眼をあげると視界が一面真っ黒に潰されて、何事かと焦った。すぐにばしっべしっと衝撃がきて枕で殴られているのだとわかる。膝立ちになって力一杯だ。もとが枕でも地味に痛いし埃がたつ。

「オイこらやめろ!」
「っ……化粧くせえんだよクソ野郎!!」
「は?」

 ドンと突き飛ばされ、マットの上で尻もちをつく格好になってもまだ葵はポカンとしていた。ようやく回線が繋がって、おずおずと自分の肩口や腕に鼻を押しつけてみる。馴染んでしまっているのか然程感じない。だがこちらはどうでも、億斗がそう感じたことが重大なのだろう。

 やはり我慢などせず互いのために煙草の一本でも吸っておくべきだった。それと同時に如何ともしがたい愛しさに降られて、枕を顔面に受けながらも億斗をたぐり寄せる。顎を掴んで無理やりくちを吸うと加減なしに髪を引っぱられた。ぶちぶちと不穏な音が聞こえるが離したくない。強く抱きしめると徐々に抵抗はやんで、今度は彼も噛んでこなかった。

 開けたくちのなかを互いに競うように舌で征服していく。葵の長い舌にからめとられて、億斗がくるしげに洩らす吐息まみれの声すら呑み込みたかった。じゅうっと音が鳴るほどきつく吸いつかれ、甘く食まれて、お返しとばかりに上顎を撫でてやる。気づけば覆いかぶさって責めていた。弱く胸元を押し返され、やっと相手を思いやる余裕が戻ってくる。

「……ふ、ぅ」

 糸を引いて離れた億斗の唇は不自然なほどあかく色づいていた。

「泣いたのか」
「ん、なわけねえだろ」

 話しながら葵がヘッドボードの棚からローションを取ったので清楚な美貌がさあっと染まる。裾を持ち上げればすぐさわれるのはまったく都合がよすぎた。片手でなかに送りつつ、もう片手で尻の頬をやわやわ揉む。やりにくかったので抱きつかせたまま上下を入れ換えた。腹の上で身悶える億斗を一番近くで拝める。ニヤニヤ見ていると外方を向かれた。

 縁を優しくなぞり、丁寧に伸ばしてから奥へ突き入れる。いくらか慣れてきたら緩くなったりもするのかと思っていたがそんなことはまるでなかった。億斗はいつまでも葵を異物扱いする。それにやはり女とは違うし、潰して駄目にしても代えのきく消耗品じゃないので、挿入しないセックスもふたりの間ではそう珍しくはない。

「うっ、……やめ、ろ、……ぃやだ」
「うるせえよ」

 揃えた指を人工のぬめりを借りて根元まで押し込む。まだ中で開かず、淡々とそれを繰り返した。時折ローションを足して潤していく。見えなくてもスムーズに行くくらいには回数を重ねた行為だ。挿れない時も、こちらをさわることはある。億斗はそろそろ性器をこすらなくても達する身体になっているかもしれない。

 ビクビクと震えながら手で口元を隠す。さっきまでの暴れっぷりが嘘のようなしおらしさと色気を感じ、葵は口角を引き上げる。優しくなくて悪かったなと思うし、莫迦なことを考えるなとも思う。お前と同列の人間なんてそういない。大体今回は他人の情婦だ。

「キスしろ、億斗」
「……うぁっ」

 無視しようとしたので内側の弱点をぐいぐい刺激してやった。尻を揉んでいた手をそっとずらし、濡れた会陰に指を置く。そこもグッと押さえつけた。

「アッ……何、いま、……ッッは、」
「イクときはそう言えな」
「あ゛あっ!」

 力をこめるのと連動して葵の肩を握る手がむすんでひらいてを繰り返し、内部の弱みが見つけやすくなってくる。もっと直接的に下腹に億斗があたっていた。先に脱がなかった所為で服は悲惨だがこの際どうでも良い。白いシャツの前立ては裾がとうに色を変えて、もはや何も隠せなくなっている。

 命令どころじゃなくなって、きれいに並んだ歯を食いしばり、きつく目を閉じて迫りくる絶頂の波をやり過ごそうと億斗が身体を震わせる。吐く息が熱いのが肌で感じられて葵も昂ってくる。水っぽくキスを交わすだけで腰が動き、脚が開いてしまうのはいやらしくてとてもいい。男なのにうるさいくらい声を出すのも、毎日のように可愛がっている成果だと悦に入った。

「はっ、あっ、……んっ、あっなんで、ぇ……」

 言えといったのに寸止めで放り出されるを何回もされてだんだん億斗の喘ぎ声が緩慢になってくる。長く愉しみたくてつい意地悪をしてしまう。何度も吐き出すのもそれはそれで疲れるので、これは親切心からだと葵は己に言い聞かせるが本音はあやしい。胎内を押し込む指が意図せず強くなってしまって、急にびくびくっと億斗が痙攣した。

 出したかと思ったが感触はない。しかし顔が、端整な造作が蜂蜜でもぶちまけられたみたいに甘ったるく蕩けて色を帯びていた。

「ふあぁ……アッ、いまの、っん、……ヨかったぁ」
「ケツでイけたな」
「……わかんな、ぁっ」

 頭を起こしているのも億劫なのかくたりと倒れてきて、かと思うといやいやと逃げて横顔を向けられる。いっそシャワーでも浴びてきたらいいのだろうが葵も疲れているしそれ以上に今は他にしたいことがあった。押さえつけられてきついし痛い。でも両手は塞がっている。
 
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