【完結】優等生の幼なじみは私をねらう異常者でした。

小波0073

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第四章 文化祭

28.

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「やっとわかった。僕が君にしたこと。僕もあいつらと同じなんだ。僕は、僕は君に──」
「史郎君‼」

 両手の中に顔をうずめる。笑香が僕の腕を押さえた。

「違う。あなたは、私を……」
「違わないよ」

 僕は声をつまらせて否定した。

「どう謝ればいいかわからない。僕はどうすればいい? どうすれば、君にあの時のことをわびることができるんだ」

 笑香の体を押し倒し、床にねじ伏せた夏の夜。あの時覚えた残酷な喜びが胸の奥底に焼きついている。そして今、僕に襲いかかる慙愧の念。それに気づいてしまった時、犯した罪に身がすくむほどの。
 笑香が僕から手を離した。

「──史郎君」

 笑香の静かな声が聞こえた。
  僕はゆっくりと腕を下ろした。……笑香に何を言われようとも、受け止める覚悟はできている。
 笑香が大きく息を吸い込む。深呼吸を二回くり返した後、笑香は言った。

「しようか。あの時の続き」
 
 にっこりと微笑む。

「……え」

 訳がわからず、僕が呆然としていると、笑香は少し赤くなった。

「文化祭の時、言ったじゃない。続きは今度、僕の部屋でしようって」

 自らそう告げておきながら、僕の顔から視線をそらす。その横顔が見る見るうちに首筋まで真っ赤になっていく。

「多分大丈夫だと思う。ちょっと怖いけど、今の史郎君なら、多分。──ちゃんとできれば私達、もうあのことを引きずる理由はなくなるから」

 呆気にとられた僕の前で、笑香は深々と頭を下げた。

「史郎君。……ふつつか者ですが、どうぞよろしくお願いします」

 顔を上げて笑香が笑う。僕もつられて泣き笑いの表情を作った。

「──本当に?」
「うん」
「いつ?」
「史郎君が退院したら。私が史郎君の部屋に行くから」
「退院した日に?」

 たたみかけるような僕の質問に、笑香が困った顔をする。だが僕だって必死だ。真剣な僕のまなざしに笑香は首をひねって答えた。

「退院の日……。とにかく、手伝いには行くから。また考えよう」

 僕は深々とため息をついた。期待と不安が交錯し、緊張感から吐き気までもよおす。

「……本当に?」

 僕がもう一度たずねるとついに笑香が吹き出した。

「大丈夫、逃げないから。今の史郎君なら怖くない。絶対に、約束するから」

 僕の手を取って、小指に自分の小指をからめる。

「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ーます、指切った」

 歌うように言う笑香の姿に、僕はやっと微笑みを浮かべることができた。
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