【完結】優等生の幼なじみは私をねらう異常者でした。

小波0073

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第五章 夢の終わり

2.

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 停学していた一週間はとうに過ぎていたために、僕は週明けから登校することになっていた。新保に聞いた話によると、当面の間は学年主任が担任を務めることになったらしい。

 実際僕の入院中も、学務上のさまざまな問いかけに親身になって答えてくれたのは、ベテランの学年主任だった。主任はその受け答えからも同情的なのがかいま見え、僕は内心胸をなで下ろした。自分のやった行いが後ろめたいわけではないのだが、もどった時の環境が良いに越したことはない。

 退院をした次の日は、生活にいるこまごまとしたものを買うために、僕は街へと買い出しに出かけた。
 気の早い街の中はもうすっかりクリスマス気分だった。今の季節に必要な品を色々物色していたら、思いのほか時間が過ぎていて、僕が帰路についた頃には晩秋の日が暮れていた。肌を刺すような木枯らしが、僕の着ているフリースに本格的に吹きつける。

 帰ったらクローゼットの奥から冬物をひっぱり出さないと。
 そんなことを考えながら家の門の前に立ち、僕は自分の足を止めた。
 薄暗い玄関にうずくまる、小さなかたまりのような影。
 勇人だ。

「勇人? どうしたんだ」

 僕がたずねると、勇人は黙って顔を上げた。
 僕は思わず息をのんだ。その左頬が腫れている。

「勇人、その顔は……」

 言いかけて、柿崎家に目を向ける。するとここから見える笑香の部屋のカーテンが動いた。
 笑香だ。薄暗がりで良く見えないが、こちらを眺めているのがわかる。とりあえず僕は門に入って勇人の前に膝をついた。

「何があったんだ?」

 勇人は厳しいまなざしで僕を見上げると口を開いた。

「お兄ちゃん。俺、家に帰らないからね」

 きっぱりとした口ぶりに、僕は黙って勇人を見つめた。
 涙の線はとうに消え失せ、鼻をこすった跡だけが残る。その顔つきから感じられるのは幼いけれども固い決意だ。
 僕は小さく息をつき、ポケットのスマホを手に持った。笑香に直接電話する。その時僕は気がついた。やけに暗いと思っていたが、家の前にあるあの街灯が完全に消えてしまっている。
 僕が入院している間に、目ざわりな明かりの点滅が消え失せ、周囲は真っ暗になっていた。

「笑香?」

 電話はすぐに通じた。

『ごめんね、史郎君』

 笑香の声は重かった。

『勇人、お父さんとケンカしたの。けっこう激しくやり合って、勇人が家から出て行っちゃって……。追いかけるなってお父さんに言われて、私も出られなくなっちゃって。一度どこかへ行ったんだけど、さっきからそこにすわってるの。悪いけど、少し話を聞いてやってくれる?』
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