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第五章 夢の終わり
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それから、僕は夕飯にビーフシチューを作った後、勇人と二人で食卓を囲んだ。
自分の退院祝いにと、先ほど買い物を済ませた際にちょっといい肉をおごったのだ。生クリームを最後にたらして本格的に作って出すと、腹をすかせていたらしい勇人は目を輝かせて喜んだ。
ここで誰かと食事をするのは、僕にはもう思い出せないくらい久しぶりのことだった。唇が切れているらしく、シチューの酸味が染みたようだが、勇人は喜んでおかわりした。
「お兄ちゃん、料理上手だね。お姉ちゃんにも教えてやれば?」
スプーンで白米をかき込みながら、勇人は知ったふうな口をきいた。
「最近お姉ちゃんも料理するんだけど、なんか見た目が悪くてさ。まずくはないけど、あんまりおいしそうじゃないんだよね。言うと怒るから言わないけど」
僕は笑いをこらえた。
「それを言って怒られたんだろ?」
「だから、もう言わないけどさ。……俺だって色々大変なんだよ」
わざとらしくため息をつく。あえて僕は聞き出さずに、食事の間は終始明るい話題につとめた。
昔自分が着ていた服を勇人のパジャマ代わりに出して、僕達は一緒に風呂に入った。脱衣所で骨折のコルセットをはずすと、勇人は大げさに眉をしかめた。
「うわあ……痛そう」
声を上げ、色が変わってしまった僕の背中をじっと見つめる。
「そうでもないよ。後は静かにしてればいいだけだから」
僕が笑うと、勇人は聞いて来た。
「それ、お姉ちゃんのせいなんだろ?」
なんと返していいかわからずに僕が口ごもっていると、考え深げな眼をして続ける。
「お母さんから聞いた。それ、お姉ちゃんを助けるためにやったんだろ。──すごいね」
苦笑いして僕は答えた。
「すごくないよ。怪我なんかしないのが一番だ」
「お兄ちゃん、お姉ちゃんと結婚するの?」
唐突な勇人の質問にぐっと言葉をつまらせる。
そんな僕の様子を見上げ、勇人は真面目な顔をした。
「お兄ちゃんがお父さんだったらいいのに。お姉ちゃんと結婚して、お兄ちゃんがうちに住めばいいのに」
目を伏せ、つぶやくように言う。
「あんなお父さん、嫌いだ。大っ嫌いだ」
自分の退院祝いにと、先ほど買い物を済ませた際にちょっといい肉をおごったのだ。生クリームを最後にたらして本格的に作って出すと、腹をすかせていたらしい勇人は目を輝かせて喜んだ。
ここで誰かと食事をするのは、僕にはもう思い出せないくらい久しぶりのことだった。唇が切れているらしく、シチューの酸味が染みたようだが、勇人は喜んでおかわりした。
「お兄ちゃん、料理上手だね。お姉ちゃんにも教えてやれば?」
スプーンで白米をかき込みながら、勇人は知ったふうな口をきいた。
「最近お姉ちゃんも料理するんだけど、なんか見た目が悪くてさ。まずくはないけど、あんまりおいしそうじゃないんだよね。言うと怒るから言わないけど」
僕は笑いをこらえた。
「それを言って怒られたんだろ?」
「だから、もう言わないけどさ。……俺だって色々大変なんだよ」
わざとらしくため息をつく。あえて僕は聞き出さずに、食事の間は終始明るい話題につとめた。
昔自分が着ていた服を勇人のパジャマ代わりに出して、僕達は一緒に風呂に入った。脱衣所で骨折のコルセットをはずすと、勇人は大げさに眉をしかめた。
「うわあ……痛そう」
声を上げ、色が変わってしまった僕の背中をじっと見つめる。
「そうでもないよ。後は静かにしてればいいだけだから」
僕が笑うと、勇人は聞いて来た。
「それ、お姉ちゃんのせいなんだろ?」
なんと返していいかわからずに僕が口ごもっていると、考え深げな眼をして続ける。
「お母さんから聞いた。それ、お姉ちゃんを助けるためにやったんだろ。──すごいね」
苦笑いして僕は答えた。
「すごくないよ。怪我なんかしないのが一番だ」
「お兄ちゃん、お姉ちゃんと結婚するの?」
唐突な勇人の質問にぐっと言葉をつまらせる。
そんな僕の様子を見上げ、勇人は真面目な顔をした。
「お兄ちゃんがお父さんだったらいいのに。お姉ちゃんと結婚して、お兄ちゃんがうちに住めばいいのに」
目を伏せ、つぶやくように言う。
「あんなお父さん、嫌いだ。大っ嫌いだ」
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