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第五章 夢の終わり
14.
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僕が他校への転学を希望している旨を伝えると、担任代わりの学年主任は残念そうな顔をした。だが、新しい編入先へのさまざまな相談に乗ってくれ、僕はつくづく日頃の行いの重要さを思い知った。
笑香の理解を得た以上、これから始まる生活の中では、今までのように無理をしてまで仮面をかぶる必要はない。だができるだけ優等生としてふるまった方が得だろう。
昼休み、僕は教室にいた新保を捕まえ、例の視聴覚教室にさそった。
「そうか。転校か」
僕が転学を伝えると新保はしんみりうなずいた。
「まあ色々あったからな。お前がそう決めたのなら、仕方ないことなんじゃないか」
新保は本当に寂しそうだった。僕は口元をほころばせて言った。
「従兄弟が長野にいるんだろ? 従兄弟に会いに来るついでに、僕の所にもよって行けばいいじゃないか。今度はお茶くらい出してやる」
「それで、柿崎はどうするんだ?」
真面目な新保のまなざしに僕が考えていることを話すと、その細い目が嫌そうにさらに細められた。
「……柿崎も気の毒に。とんでもない男に捕まったな」
「何がだよ。すごく前向きな話だろ? ──いいか、先に言っておくけど、何があっても笑香には直接話しかけるなよ。もし笑香から何か言われても、勝手に相談になんか乗るな。問題がありそうだと思ったら、最初に僕に連絡しろ」
僕があらためて釘を刺すと、新保は大きく嘆息した。
「俺はお前のスパイかなんかか?」
「同じことだ。ああ、それからできるだけ早く彼女を作れ」
「大きなお世話だ」
新保は憤然とつぶやいた。
今の学校へ通う合間に必要な手続きを済ませると、僕は希望した高校の編入試験を受け、合格した。編入学の説明の際に中の様子を案内されたが、思っていたより自由な校風で、校内の雰囲気も悪くなかった。
新しく担任になる教師とも面談を済ませ、その結果として二学期の間は今の学校に在籍し、年が明けてから新しい高校に編入することが決まった。
祖母の一番のお気に入りだった従兄弟の和弘を差し置いて、僕がこの学校に在学することを知ったら、祖母はさぞかしくやしがるだろう。
だがそんなくだらない優越感も、次第に近づきつつある笑香との別れを前にして、ゆるやかな時の流れに押し流されて行くようだった。
笑香の理解を得た以上、これから始まる生活の中では、今までのように無理をしてまで仮面をかぶる必要はない。だができるだけ優等生としてふるまった方が得だろう。
昼休み、僕は教室にいた新保を捕まえ、例の視聴覚教室にさそった。
「そうか。転校か」
僕が転学を伝えると新保はしんみりうなずいた。
「まあ色々あったからな。お前がそう決めたのなら、仕方ないことなんじゃないか」
新保は本当に寂しそうだった。僕は口元をほころばせて言った。
「従兄弟が長野にいるんだろ? 従兄弟に会いに来るついでに、僕の所にもよって行けばいいじゃないか。今度はお茶くらい出してやる」
「それで、柿崎はどうするんだ?」
真面目な新保のまなざしに僕が考えていることを話すと、その細い目が嫌そうにさらに細められた。
「……柿崎も気の毒に。とんでもない男に捕まったな」
「何がだよ。すごく前向きな話だろ? ──いいか、先に言っておくけど、何があっても笑香には直接話しかけるなよ。もし笑香から何か言われても、勝手に相談になんか乗るな。問題がありそうだと思ったら、最初に僕に連絡しろ」
僕があらためて釘を刺すと、新保は大きく嘆息した。
「俺はお前のスパイかなんかか?」
「同じことだ。ああ、それからできるだけ早く彼女を作れ」
「大きなお世話だ」
新保は憤然とつぶやいた。
今の学校へ通う合間に必要な手続きを済ませると、僕は希望した高校の編入試験を受け、合格した。編入学の説明の際に中の様子を案内されたが、思っていたより自由な校風で、校内の雰囲気も悪くなかった。
新しく担任になる教師とも面談を済ませ、その結果として二学期の間は今の学校に在籍し、年が明けてから新しい高校に編入することが決まった。
祖母の一番のお気に入りだった従兄弟の和弘を差し置いて、僕がこの学校に在学することを知ったら、祖母はさぞかしくやしがるだろう。
だがそんなくだらない優越感も、次第に近づきつつある笑香との別れを前にして、ゆるやかな時の流れに押し流されて行くようだった。
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