【完結】優等生の幼なじみは私をねらう異常者でした。

小波0073

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第五章 夢の終わり

14.

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 僕が他校への転学を希望している旨を伝えると、担任代わりの学年主任は残念そうな顔をした。だが、新しい編入先へのさまざまな相談に乗ってくれ、僕はつくづく日頃の行いの重要さを思い知った。
 笑香の理解を得た以上、これから始まる生活の中では、今までのように無理をしてまで仮面をかぶる必要はない。だができるだけ優等生としてふるまった方が得だろう。
 昼休み、僕は教室にいた新保を捕まえ、例の視聴覚教室にさそった。

「そうか。転校か」

 僕が転学を伝えると新保はしんみりうなずいた。

「まあ色々あったからな。お前がそう決めたのなら、仕方ないことなんじゃないか」

 新保は本当に寂しそうだった。僕は口元をほころばせて言った。

「従兄弟が長野にいるんだろ? 従兄弟に会いに来るついでに、僕の所にもよって行けばいいじゃないか。今度はお茶くらい出してやる」
「それで、柿崎はどうするんだ?」

 真面目な新保のまなざしに僕が考えていることを話すと、その細い目が嫌そうにさらに細められた。

「……柿崎も気の毒に。とんでもない男に捕まったな」
「何がだよ。すごく前向きな話だろ? ──いいか、先に言っておくけど、何があっても笑香には直接話しかけるなよ。もし笑香から何か言われても、勝手に相談になんか乗るな。問題がありそうだと思ったら、最初に僕に連絡しろ」

 僕があらためて釘を刺すと、新保は大きく嘆息した。

「俺はお前のスパイかなんかか?」
「同じことだ。ああ、それからできるだけ早く彼女を作れ」
「大きなお世話だ」

 新保は憤然とつぶやいた。
 今の学校へ通う合間に必要な手続きを済ませると、僕は希望した高校の編入試験を受け、合格した。編入学の説明の際に中の様子を案内されたが、思っていたより自由な校風で、校内の雰囲気も悪くなかった。
 新しく担任になる教師とも面談を済ませ、その結果として二学期の間は今の学校に在籍し、年が明けてから新しい高校に編入することが決まった。

 祖母の一番のお気に入りだった従兄弟の和弘かずひろを差し置いて、僕がこの学校に在学することを知ったら、祖母はさぞかしくやしがるだろう。
 だがそんなくだらない優越感も、次第に近づきつつある笑香との別れを前にして、ゆるやかな時の流れに押し流されて行くようだった。
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