【完結】優等生の幼なじみは私をねらう異常者でした。

小波0073

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第五章 夢の終わり

20.

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 初めは笑香の写真を撮るのが目的だったはずなのに、肝心の笑香は出て来た僕にひどく不満げな顔をした。

「えーっ、史郎君、着替えてくれないの?」
「別にいいだろ、このままで」

 僕がそう答えると残念そうに言葉を漏らす。

「史郎君の制服姿、写真に撮っておきたかったのに」

 僕はあきれた。グレーのふわふわした生地のセーターと、長めのスカートをはいた笑香を見下ろしながら条件をつける。

「だったら笑香も着替えろよ。僕だけ制服姿じゃ変だろ?」
「えっ、だって……。私の制服の写真は、ちょっと……」

 うつむき加減で赤くなる。
 何を心配してるんだ。

「わかった。とにかく着替えてやるから、笑香も制服に着替えて来い。まってる勇人がかわいそうだろ」
「そうだよ。ここに来る前だって前髪がどうのこうの……何でも同じだって」

 うんざり顔の勇人にバラされ、笑香がまなじりをつり上げる。
 僕は仕方なく制服に着替え、再び勇人と庭に出た。いったん家に帰った笑香はやはりなかなかもどって来なくて、庭で笑香を待つ間、僕は嫌がる勇人に無理やり九九の復習をさせていた。

 笑香の写真が欲しいだけなのに、何でこんなに大事になるんだ。
 リフティングの練習がしたいと勇人にぶうぶう言われつつ、僕は固く決心していた。撮った画像は笑香に内緒で笑香一人に加工してやる。それをどんなことに使用しようが、文句を言われるすじあいはない。
 三十分はたった後、制服姿の笑香がやっと僕達の前に登場すると、今度はデジカメで撮った写真の表情に文句をつけられた。

「そんな嫌そうな顔をしないで、あの、いつもの作り笑いでいいからちゃんと笑ってよ。私以外はわからないんだし」

 僕は深々とため息をついた。もともと僕は写真が苦手だ。どんな表情で写ればいいのかわからない。

「これじゃ友達に見せられないじゃない」

 笑香が画像を確認しながらひとり言のようにつぶやく。
 僕はにやっと笑って言った。

「何だ、それが目的か。だったら例の写真でいいだろ?」

 笑香は唇をとがらせた。

「一緒に写ってるのがいいのよ。きっと史郎君だけの写真だったら、もっとかっこよく写ってるのを持ってる人がいるはずよ」

 僕は思わず眉をしかめた。

「何だって?」

 そんな話は初耳だ。
 笑香はいたずらっぽく微笑むと、顎に手を当てて僕を見た。

「体育祭とか文化祭とか、けっこう陰で史郎君の写真を撮ってた子がいたみたい。目立つし、見た目はかっこいいもの。……見た目はね」

 僕は天を仰いだ。それこそ何に使われてるかわかったもんじゃないな。
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