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第五章 夢の終わり
25.
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「僕は笑香のそばにいたい。──ただそれだけを許してくれれば、あれを処分してもかまいません」
「何……?」
おじさんの眉間のしわが深くなる。僕は真剣な目を向けた。
「僕はもともとあれを世に出すつもりはなかった。あれを使って、いずれおじさんに自首をすすめると言い出したのは笑香です。……僕は笑香さえいればいい。そしてできれば笑香のために、今のおじさんの社会的な信用をなくすようなことはしたくない。証拠がなければ笑香だって、おじさんの自首をあきらめるでしょう。僕が何とか言いくるめます。──ですから、おじさんさえ僕を許してくれるなら、僕は証拠を消した後、今まで通りに振る舞います。よくできた笑香の幼なじみとして」
「くだらない」
おじさんは吐き捨てるように言った。
「そんな話が信用できるか。ここで君を消した後、証拠の品をすべて処分すればいいだけだ」
僕は薄く笑って見せた。
もしも本当に証拠をなくしても、僕が有利に立てるよう、先に交渉をしておかなくては。
「僕はそう簡単に口をふさがれはしませんよ。証拠の品がそれで終わりだと、誰がおじさんに言ったんですか?」
おじさんがぎらついた瞳で僕を見る。
「笑香が知らないほかの証拠を、まだ僕が持っているとは思わないんですか? もし今僕を殺したら、ほかの証拠がどこにあるのかわからなくなる。今はよくても、ある日突然どこかから出てくるかもしれません。──今まで思いもしなかったはずの昔のおじさんの爆弾が、今日、いきなりおじさんの目の前で大爆発を起こしたように」
もちろん、これははったりだ。だが、おじさんの中にある迷いを引き出すのには十分だった。
「もし私が君の約束をたがえたら──」
おじさんがつぶやくように言う。
「僕はおばさんにすべて話して、ここにない証拠を見せましょう。すべてを信じないまでも、おばさんがあなたに不信感を持つことだけはまちがいない。……僕はそれだけの信頼をおばさんから受けている自信があります。おじさんの状況次第では、おばさんは今度こそ離婚を考えるかもしれません」
僕が淡々と伝えると、おじさんの表情がわずかに変わった。
「君は……君は」
おじさんがごくりと息をのむ。
「君は、恐ろしい子供だな」
僕はにっこりと笑って見せた。
「お褒めにあずかり、光栄です」
そして、静かに言葉をつなげた。
「笑香も僕もまだ子供ですが、いずれは大人になるでしょう。僕達が大人になることを誰にも止めることはできません。……たとえ証拠の品がなくても、笑香はあなたを許さない。どれだけあなたに邪魔をされようと、僕は必ず大人になって大人の笑香を迎えに来ます。きっと、笑香もそれまで僕を待っていてくれると思います」
「何……?」
おじさんの眉間のしわが深くなる。僕は真剣な目を向けた。
「僕はもともとあれを世に出すつもりはなかった。あれを使って、いずれおじさんに自首をすすめると言い出したのは笑香です。……僕は笑香さえいればいい。そしてできれば笑香のために、今のおじさんの社会的な信用をなくすようなことはしたくない。証拠がなければ笑香だって、おじさんの自首をあきらめるでしょう。僕が何とか言いくるめます。──ですから、おじさんさえ僕を許してくれるなら、僕は証拠を消した後、今まで通りに振る舞います。よくできた笑香の幼なじみとして」
「くだらない」
おじさんは吐き捨てるように言った。
「そんな話が信用できるか。ここで君を消した後、証拠の品をすべて処分すればいいだけだ」
僕は薄く笑って見せた。
もしも本当に証拠をなくしても、僕が有利に立てるよう、先に交渉をしておかなくては。
「僕はそう簡単に口をふさがれはしませんよ。証拠の品がそれで終わりだと、誰がおじさんに言ったんですか?」
おじさんがぎらついた瞳で僕を見る。
「笑香が知らないほかの証拠を、まだ僕が持っているとは思わないんですか? もし今僕を殺したら、ほかの証拠がどこにあるのかわからなくなる。今はよくても、ある日突然どこかから出てくるかもしれません。──今まで思いもしなかったはずの昔のおじさんの爆弾が、今日、いきなりおじさんの目の前で大爆発を起こしたように」
もちろん、これははったりだ。だが、おじさんの中にある迷いを引き出すのには十分だった。
「もし私が君の約束をたがえたら──」
おじさんがつぶやくように言う。
「僕はおばさんにすべて話して、ここにない証拠を見せましょう。すべてを信じないまでも、おばさんがあなたに不信感を持つことだけはまちがいない。……僕はそれだけの信頼をおばさんから受けている自信があります。おじさんの状況次第では、おばさんは今度こそ離婚を考えるかもしれません」
僕が淡々と伝えると、おじさんの表情がわずかに変わった。
「君は……君は」
おじさんがごくりと息をのむ。
「君は、恐ろしい子供だな」
僕はにっこりと笑って見せた。
「お褒めにあずかり、光栄です」
そして、静かに言葉をつなげた。
「笑香も僕もまだ子供ですが、いずれは大人になるでしょう。僕達が大人になることを誰にも止めることはできません。……たとえ証拠の品がなくても、笑香はあなたを許さない。どれだけあなたに邪魔をされようと、僕は必ず大人になって大人の笑香を迎えに来ます。きっと、笑香もそれまで僕を待っていてくれると思います」
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