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番外編1 柳沢笑香の完璧な恋人
19.柳沢笑香の完璧な恋人 19※
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声をかけられ、笑香は思わずその場に立った。そしてあわてて浴槽の中に沈み直す。髪を上げている髪留め以外、自分は何一つ身に着けていない。
手に持っていた薄いタオルを強く握りしめながら、笑香は声を上ずらせた。
「な、なんで、鍵は………!」
「そんなもの、外からでも開けられるに決まってるだろ。何かあった時に危ないじゃないか」
余裕のある声が扉のすぐそばで答える。
ゆっくりと浴室の戸を開き、入って来た史郎は裸だった。予想外の(いや、うすうすわかっていたが)緊急事態に笑香は動転して言った。
「なんで何も──」
「いいかげん待ちくたびれた。中で寝てるのかと思ったんだよ。心配だから見に来たんだ」
いけしゃあしゃあと答える史郎に、笑香は今までの思いも忘れてきつく柳眉を逆立てた。
──この人は、私にゆっくり考え事もさせてくれない。
「いいから出てってよ。寝てないのはわかったでしょ‼」
「そんなに怒るなよ。初めて見るわけじゃないんだし、一緒に入ったっていいだろ?」
笑香の怒りを全く解せず、史郎は笑香の目の前で堂々とシャワーを浴び始めた。うつむく笑香をそのままに、一通り体を洗い終わると湯船に入って来ようとする。
笑香はあわてて体を縮め、史郎が自分にふれないようにバスタブの端に身をよせた。
「けっこう長い間入ってるような気がするけど、のぼせないか?」
史郎が長い手足をのばし、笑香の心理を知り尽くしているかのようにたずねて来る。実際笑香は顔を赤らめて湯船から出るのを我慢していた。今ここから出てしまったら、にやにやしながら自分を見ている史郎にすべてをさらすことになる。
「史郎君、あっち向いてて」
言っても無駄だと知りながら、史郎をにらみつけて言う。とがめられている史郎の方は心底楽しそうに答えた。
「気にしないで出ていいよ。本当にのぼせるぞ」
再びタオルを握りしめた後、笑香は仕方なく覚悟を決めた。
どうせこのままここにいたって史郎の思うつぼになる。今にも自分にふれて来そうな彼の笑顔を眺めた後、思い切って立ち上がる。
史郎のあからさまな視線を感じながら、笑香はバスタブのへりをまたいだ。急に動き出してしまったせいで一瞬立ちくらみを感じてよろける。
「──おっと」
浴槽からのばされた手が、笑香の腰に回された。
「だから言っただろ。早く出ろって」
手に持っていた薄いタオルを強く握りしめながら、笑香は声を上ずらせた。
「な、なんで、鍵は………!」
「そんなもの、外からでも開けられるに決まってるだろ。何かあった時に危ないじゃないか」
余裕のある声が扉のすぐそばで答える。
ゆっくりと浴室の戸を開き、入って来た史郎は裸だった。予想外の(いや、うすうすわかっていたが)緊急事態に笑香は動転して言った。
「なんで何も──」
「いいかげん待ちくたびれた。中で寝てるのかと思ったんだよ。心配だから見に来たんだ」
いけしゃあしゃあと答える史郎に、笑香は今までの思いも忘れてきつく柳眉を逆立てた。
──この人は、私にゆっくり考え事もさせてくれない。
「いいから出てってよ。寝てないのはわかったでしょ‼」
「そんなに怒るなよ。初めて見るわけじゃないんだし、一緒に入ったっていいだろ?」
笑香の怒りを全く解せず、史郎は笑香の目の前で堂々とシャワーを浴び始めた。うつむく笑香をそのままに、一通り体を洗い終わると湯船に入って来ようとする。
笑香はあわてて体を縮め、史郎が自分にふれないようにバスタブの端に身をよせた。
「けっこう長い間入ってるような気がするけど、のぼせないか?」
史郎が長い手足をのばし、笑香の心理を知り尽くしているかのようにたずねて来る。実際笑香は顔を赤らめて湯船から出るのを我慢していた。今ここから出てしまったら、にやにやしながら自分を見ている史郎にすべてをさらすことになる。
「史郎君、あっち向いてて」
言っても無駄だと知りながら、史郎をにらみつけて言う。とがめられている史郎の方は心底楽しそうに答えた。
「気にしないで出ていいよ。本当にのぼせるぞ」
再びタオルを握りしめた後、笑香は仕方なく覚悟を決めた。
どうせこのままここにいたって史郎の思うつぼになる。今にも自分にふれて来そうな彼の笑顔を眺めた後、思い切って立ち上がる。
史郎のあからさまな視線を感じながら、笑香はバスタブのへりをまたいだ。急に動き出してしまったせいで一瞬立ちくらみを感じてよろける。
「──おっと」
浴槽からのばされた手が、笑香の腰に回された。
「だから言っただろ。早く出ろって」
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