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番外編3 がっこうのかいだん
2.
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「なら、いいけどな。──しかし色んな夢があるな」
「夢の中までお前らと一緒かよ。どうせなら可愛い女の子がいい」
桜田が近づきながらぼやいて、原は口元を引きつらせた。
とその時、誰もいなかったはずの教壇に黒い人影が立つのが見えた。目を見張る僕の表情に二人も背後を振り返る。
「……‼」
僕達三人は絶句して前に現れた影を見た。
それは詰襟の学生服を着た男子生徒の姿だった。背後の黒板が透けて見え、明らかにこの世のものではない。さすがに思考が固まって影を凝視していると、のっぺりとした顔立ちがかすかに笑ったように思えた。その口元がわずかに動き、感情のない声が響く。
『ようこそ』
僕は深々とため息をついた。とりあえず自分の口を開く。
「……その制服からすると二十年以上前の生徒だな。制服は二回変わってて、創立百十周年の時にブレザーの形になったんだ。ボタンがついてない学ランだから、百周年の時に変わったやつだ」
淡々と僕が指摘をすると、桜田と原が目をむいた。
「お前、なんでそんなこと知ってんだ」
桜田がうめくようにつぶやく。肩をすくめて僕は続けた。
「俺が知ってる限りでは、その十年の間、校内で事件や事故はなかったはずだ。卒業生まで含めれば多分色々あるんだろうが、その制服を着てるってことは在学生だったってことだろう? ──それで校内に化けて出るのは完全な逆恨みだろ。恨む相手を間違えるなよ」
ずけずけ言った僕の言葉に二人の顔が呆気に取られる。教壇の影が一瞬震え、やはり動揺したらしい。寄り固まった霧が人影を形作っているように揺れた。
『お前に一体何がわかる』
影はうなるように続けた。
僕は再びため息をついた。何だか昔犯した失敗を見せつけられている気分だ。
「わかるわけないだろ、お前の事なんか。とりあえず今のリア充を痛い目に遭わせてやりたいとか? それくらいしか思いつかない」
影が前より身もだえた。
桜田が感心したように告げた。
「水嶋……お前すげえなあ。幽霊相手に上から目線か」
のんきな桜田の感想に、その場の緊張が少しほぐれる。あせったように影が続けた。
『お前らはここから出られない、扉は中から開かない。命が尽きるまでここにいろ。──思う相手にはもう会えない』
僕は一瞬、首をかしげた。
──思う相手にはもう会えない?
その言い方から察するに、どうやら家族や友人達を指している訳ではないらしい。
「夢の中までお前らと一緒かよ。どうせなら可愛い女の子がいい」
桜田が近づきながらぼやいて、原は口元を引きつらせた。
とその時、誰もいなかったはずの教壇に黒い人影が立つのが見えた。目を見張る僕の表情に二人も背後を振り返る。
「……‼」
僕達三人は絶句して前に現れた影を見た。
それは詰襟の学生服を着た男子生徒の姿だった。背後の黒板が透けて見え、明らかにこの世のものではない。さすがに思考が固まって影を凝視していると、のっぺりとした顔立ちがかすかに笑ったように思えた。その口元がわずかに動き、感情のない声が響く。
『ようこそ』
僕は深々とため息をついた。とりあえず自分の口を開く。
「……その制服からすると二十年以上前の生徒だな。制服は二回変わってて、創立百十周年の時にブレザーの形になったんだ。ボタンがついてない学ランだから、百周年の時に変わったやつだ」
淡々と僕が指摘をすると、桜田と原が目をむいた。
「お前、なんでそんなこと知ってんだ」
桜田がうめくようにつぶやく。肩をすくめて僕は続けた。
「俺が知ってる限りでは、その十年の間、校内で事件や事故はなかったはずだ。卒業生まで含めれば多分色々あるんだろうが、その制服を着てるってことは在学生だったってことだろう? ──それで校内に化けて出るのは完全な逆恨みだろ。恨む相手を間違えるなよ」
ずけずけ言った僕の言葉に二人の顔が呆気に取られる。教壇の影が一瞬震え、やはり動揺したらしい。寄り固まった霧が人影を形作っているように揺れた。
『お前に一体何がわかる』
影はうなるように続けた。
僕は再びため息をついた。何だか昔犯した失敗を見せつけられている気分だ。
「わかるわけないだろ、お前の事なんか。とりあえず今のリア充を痛い目に遭わせてやりたいとか? それくらいしか思いつかない」
影が前より身もだえた。
桜田が感心したように告げた。
「水嶋……お前すげえなあ。幽霊相手に上から目線か」
のんきな桜田の感想に、その場の緊張が少しほぐれる。あせったように影が続けた。
『お前らはここから出られない、扉は中から開かない。命が尽きるまでここにいろ。──思う相手にはもう会えない』
僕は一瞬、首をかしげた。
──思う相手にはもう会えない?
その言い方から察するに、どうやら家族や友人達を指している訳ではないらしい。
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