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番外編3 がっこうのかいだん
3.
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僕は桜田に目を向けた。隣の原も影が言う言葉の意味に気づいたらしい。その目を桜田に向けている。
僕と原には彼女がいるが、桜田にはまだいないはずだ。思わず原と顔を見合わせる。
「なっ……何だよ‼」
再び僕達に見つめられ、桜田は耳まで真っ赤になった。
「べっ──別にいいだろ、好きな相手くらいいたって‼」
微笑ましいような友達の答えに僕は思わず破顔した。
「それはおめでとう。メシでもおごろうか?」
「それじゃ、俺は花を贈ってやる」
生真面目な声で原が続ける。全くその場にそぐわないほのぼのとした雰囲気に、幽霊は影を薄くした。僕は影へと向き直り、とどめの一言を切り出した。
「なるほど、失恋が化けて出た理由か。逆恨みにもほどがあるな。俺達をこのまま閉じ込めてみろ、ノロケを延々と聞かせてやる。リア充の余裕を思い知れ」
影がますます薄くなった。原は天井を見上げている。
「そんな羞恥プレイ、俺は嫌だ」
「なあ、おい。あそこの明り取りの窓、半分開いてるんじゃないか」
不意に桜田がそう言って、外へ通じる窓を指さした。掃き出しの窓の上側に押し出し型のガラス窓があり、確かにそこが開いている。
「ドアは中から開けられない。けど、外からだったら開くんじゃないか?」
影が放った言葉尻を捕らえ、桜田が僕と原を見上げる。しかしあんな高い位置にあるせまい窓からどうやって──と僕が問いかけるその前に、桜田がブレザーを脱ぎ捨てた。僕へと投げつけ、窓に取りつく。
「持ってろ。ちょっとやってみる、最近ボルダリング始めたんだ」
「えっおい、せめて肩を貸すから……!」
一番身長のある原が声をかける。だが、すでに窓の継ぎ目へ足のつま先をかけた桜田が、開いた出口にたどり着いていた。サルか。
身軽な動作でするするとせまい窓を通り抜ける。明るい声が僕達に届いた。
「普通に家の明かりが見える。これなら大丈夫みたいだ」
この教室は一階で、窓は直接校庭に続いている。どうやら不思議な現象は校内のみの話らしい。外へ出られれば問題なさそうだ。
窓を挟んだ外の桜田は半分くらいまで伝い下り、その場に鮮やかに飛び降りた。掃き出しの窓へ手を添える。鍵がかかっていない窓はあっさり外から開かれた。周囲の真っ暗なガラスと違って、そこだけはいつもの夜の景色が普通に広がっている。
「じゃ、行くか」
桜田のブレザーを持った僕が自分のカバンを抱えて言うと、原も二つのカバンを持った。何事もなかったかのように僕達も窓から外へ出る。最後に一度だけ教室を振り返ると、影はその場から消え去っていた。
広い校庭を歩きながら、桜田がぼやくように言った。
「あー、靴……どうすっかな」
僕と原には彼女がいるが、桜田にはまだいないはずだ。思わず原と顔を見合わせる。
「なっ……何だよ‼」
再び僕達に見つめられ、桜田は耳まで真っ赤になった。
「べっ──別にいいだろ、好きな相手くらいいたって‼」
微笑ましいような友達の答えに僕は思わず破顔した。
「それはおめでとう。メシでもおごろうか?」
「それじゃ、俺は花を贈ってやる」
生真面目な声で原が続ける。全くその場にそぐわないほのぼのとした雰囲気に、幽霊は影を薄くした。僕は影へと向き直り、とどめの一言を切り出した。
「なるほど、失恋が化けて出た理由か。逆恨みにもほどがあるな。俺達をこのまま閉じ込めてみろ、ノロケを延々と聞かせてやる。リア充の余裕を思い知れ」
影がますます薄くなった。原は天井を見上げている。
「そんな羞恥プレイ、俺は嫌だ」
「なあ、おい。あそこの明り取りの窓、半分開いてるんじゃないか」
不意に桜田がそう言って、外へ通じる窓を指さした。掃き出しの窓の上側に押し出し型のガラス窓があり、確かにそこが開いている。
「ドアは中から開けられない。けど、外からだったら開くんじゃないか?」
影が放った言葉尻を捕らえ、桜田が僕と原を見上げる。しかしあんな高い位置にあるせまい窓からどうやって──と僕が問いかけるその前に、桜田がブレザーを脱ぎ捨てた。僕へと投げつけ、窓に取りつく。
「持ってろ。ちょっとやってみる、最近ボルダリング始めたんだ」
「えっおい、せめて肩を貸すから……!」
一番身長のある原が声をかける。だが、すでに窓の継ぎ目へ足のつま先をかけた桜田が、開いた出口にたどり着いていた。サルか。
身軽な動作でするするとせまい窓を通り抜ける。明るい声が僕達に届いた。
「普通に家の明かりが見える。これなら大丈夫みたいだ」
この教室は一階で、窓は直接校庭に続いている。どうやら不思議な現象は校内のみの話らしい。外へ出られれば問題なさそうだ。
窓を挟んだ外の桜田は半分くらいまで伝い下り、その場に鮮やかに飛び降りた。掃き出しの窓へ手を添える。鍵がかかっていない窓はあっさり外から開かれた。周囲の真っ暗なガラスと違って、そこだけはいつもの夜の景色が普通に広がっている。
「じゃ、行くか」
桜田のブレザーを持った僕が自分のカバンを抱えて言うと、原も二つのカバンを持った。何事もなかったかのように僕達も窓から外へ出る。最後に一度だけ教室を振り返ると、影はその場から消え去っていた。
広い校庭を歩きながら、桜田がぼやくように言った。
「あー、靴……どうすっかな」
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