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7.もう絶対に離れないで
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「あ、あっ、ああああっ」
ケリーの中は、以前と変わらずに僕を受け入れた。熱く柔らかく蠢いて僕を包み、締め上げる。
「ケリー」
ゆっくりと突き上げながらケリーを呼ぶと、潤んだ目で顔を赤く染めて息を荒げ、僕の身体にしがみついて身悶えた。
「ああっ、あっ、あ、は」
ぎゅうぎゅうに締め上げて腰を揺らし、ケリーはただひたすら喘ぐ。
「ああ、ケリー、好きだ。愛してる」
「んぁ、エヴ、あ、いいの、エヴ……っ」
抱きついたケリーを僕も抱き締め返して、奥を強く穿つ。びくびくと震え、収縮し、ケリーが喉を反らして嬌声を上げる。
「ケリー……あなたとはじめて出会った時、僕を助けるためにあの男に与えた薬、僕も作れるようになったんです」
「う、あ、あっ、エヴ……」
「確かに、あなたの言うとおり、薬の効き目は強烈でした」
「あ、っ、なに……エヴ……?」
ケリーに不審げな表情が浮かぶ。だが、ちゅ、と首筋にキスを落とすと、ケリーはまたびくりと震える。
「あなたの言葉を借りれば、“これ使ってヤったら離れられなくなる”でしたっけ。言葉通りなら、あなたはもう僕から離れられなくなるんですよね」
「あ、そ……なん、で」
ケリーは一瞬驚いたように僕を見つめた。
短く息を吐いて、僕はケリーの奥を擦る。
「ケリー、愛してるんです」
僕を離さないと言うかのように、ケリーの絡めた脚が僕を引き寄せる。びくびくと、身体が跳ねるように揺れる。
「だから、あの言葉が本当なら、あなたはもう僕から離れられない」
「う、あ……エヴ……っ」
ケリー、ケリーと何度も呼んで、ケリーの感じる場所を探りながらゆるりと腰を回した。激しく息を吐きながら、ケリーはねだるような視線を寄越す。
「あなたの感じるところは変わってないんですね」
「ん、あ、ああっ、エヴ、そこ……っ!」
ぐりぐりと、その場所へと擦り付けると、ケリーが爪を立てた。つ、と口の端から涎がひと筋流れる。
「ケリー、いきたいですか?」
「ああああっ」
埋めた楔を半ばまで抜いて止めると、ケリーは覗き込む僕を慌てて見返してくる。切なげに顔を顰め、潤んだ目から涙が溢れる。
「あ、あ、いや……や、止めないで、いきたい、エヴ、いきた……ああっ」
必死に腰を振って、ケリーが懇願するように僕を呼ぶ。
「いきたいの、もう、いきそうで……エヴ、エヴ」
「ケリー……ケリー、なら、もう絶対に僕から離れないで」
「あ、あ、いかせて、ああ、離れないから、エヴ、奥に、エヴ……」
ケリーを抱き締め、腰を叩きつける。
「あ、あああああっ!」
痙攣するように強く収縮するケリーの中に、僕も思い切り吐き出した。
「ケリー……」
ひくひくと引き攣るケリーの身体をするりと撫でる。ケリーがまた声を上げて震え、内襞をわななかせる。
ぐぷりと音を立てて引き抜いて身体を起こすと、あ、とケリーが非難をするような視線と声を僕に向けた。
そのケリーの表情に、僕はくすりと笑う。
「ケリー、終わるのは残念なんですか?
大丈夫ですよ。ここは少し狭いですから、奥へ連れて行ってあげます。もっと広いところで続きをしましょう」
横抱きにしてキスを落とす僕を、ケリーの欲情に淀んだ目が見つめる。
「身体を損なわないよう、薬もたっぷり用意してあります。ちゃんと最後まであなたを満足させてあげますから、安心してください」
荒く息を吐く唇を塞ぐと、うっとりと目を伏せて、ケリーは舌を絡めた。
寝室へと場所を移し、ケリーをベッドに横たえて、邪魔な衣服を脱ぎ捨てる。ケリーの肌を露わにして、肌の感触を味わうように手を這わせる。
「う、あ……エヴ、エヴ……ああっ」
手で軽く触れただけで身を捩らせて善がるケリーに、僕は仄かに笑む。
ケリーはきれいだ。本当にきれいだ。
天の高みに輝く星が、やっと僕の手に落ちてきてくれた。
「ケリー、もう僕から離れませんね?」
「は、っ、エヴ……あ、あっ」
あの薬が作り出す欲望に翻弄されている時ですら、ケリーは美しい。
ぐずぐずに融けた、僕とケリーの混ざったものがどろりとあふれるところに、ゆっくりと猛りを埋めていく。
頭を仰け反らせ、僕の背に脚を絡めるケリーも美しい。
「ケリー、愛してる、ケリー」
ケリーの眦から零れ落ちた涙を舌で拭い、抱き締める。
あ、あ、とただ声を上げ、快楽に呑まれていくケリーの奥へと叩きつけるように、激しく抽送を繰り返す。
唇を貪り、乳房を捏ね、つねり、身体に歯を立てる。ケリーが僕の欲望に溺れて沈んでいくさまが愛しい。絡めた脚を肩に担ぐようにして、ケリーと繋がった部分を見せつけるように奥を擦ると、ケリーは自ら自分の脚を抱えて、もっととねだる。
「ケリー、そんなに、僕が欲しいんですか?」
「あ、あ、欲しい、欲しいの、エヴ……止まらないの、もっと」
僕を求めるケリーの言葉に、笑みがこぼれた。うっとりとケリーの顔に手を滑らせて、身体をかがめて唇を落とす。
「僕のケリー……」
舌を舐め、齧るだけで感じるのか、ケリーの中がきゅうと締まる。
「この部屋は、あなたのために用意したんですよ。窓にも扉にも魔術錠が掛けてありますから、破られる心配もありませんし、決められた者しかここに出入りできません。この屋敷の使用人も、この一角に来るのは僕が許したものだけです」
いったい何の話をしているのかと、ケリーが視線で問う。
「あなたは、ここで暮らすんです。僕と一緒に」
「あ……っ、で、も……店……んあっ」
ぐっ、と奥を突くと、ケリーはすぐに快楽に顔を染めて顎を跳ね上げる。
「気にしなくていいんです。ケリーは僕のものになったのだから、ずっとここにいてください。僕から離れることは、許さない」
「あ、エヴ……っ」
ケリーの目が潤み、また涙がこぼれる。
社交の季節になった。
ラエスフェルト公爵である僕が必ず応じなければならない招待は少ない。その少ないうちのひとつが、社交の季節の始まりを示す王宮での夜会だ。
こういう貴族の付き合いなど、本当ならすべてを投げ打ってしまいたい。貴族などばかばかしいだけだという気持ちは相変わらずで、いっそ貴族などやめて、ケリーとどこか遠くへ消えてしまおうかとも考えてしまう。
「……それも、いいかもしれない」
僕にはケリーがいればいい。
時間を掛けて財産を処分していき、ケリーとふたり、一生を過ごせる程度の金銭を残して、どこか遠くしがらみのない場所で、ふたりで共に暮らすのだ。
また、ケリーとふたりで薬屋をやるのもいい。
ケリーはあれからずっと、ケリーのために誂えた部屋で暮らしている。
本当ならずっとケリーと過ごしていたいのに、ラエスフェルト公爵としての義務がそれを許さない。執務と社交に……さらには、そろそろ王宮へと出仕し、かつて父が行っていた執務を本格的に引き継がなくてはならないのだ。
その、何もかもが煩わしい。
招待状とともに届いた王の召喚状に、僕は溜息を吐く。
執務室の机に放るように置いて、僕はケリーのいる部屋へと向かう。
「ケリー」
長椅子にぼんやりと座っていたケリーが顔を上げた。ほんのりと頬を上気させ、わずかに目を潤ませている。
「エ、ヴ」
新緑を思わせる色のシンプルなドレスは、とてもケリーに似合っている。
僕が身を屈めてキスをすると、ケリーの喉から小さく声が漏れた。吐息は熱く、縋るように手が伸ばされる。
「ケリー、薔薇園を見に行きましょう。今年の花が咲き始めたそうですよ」
「あ……」
ケリーの手を取り、立ち上がらせる。片手を取ったままエスコートするように腰を抱き寄せて、庭へと連れ出す。
ゆっくりと歩く間にも、ケリーの息はだんだんと荒くなっていった。僕は小さく笑って、もういちどケリーにキスをする。舌を差し入れると、ケリーはすぐにそれに応えて自分の舌を絡ませる。
「ケリー、薔薇園の中心に東屋があります。そこまで我慢できますね?」
「ん……」
腰を強く引き寄せると、ケリーは何かを堪えるように睫毛を震わせた。
少し歩いては立ち止まり、薔薇を眺めつつ身体を撫でる。ケリーの足元はふらふら覚束なくて、だんだん僕に体重を預けるようになっていった。
東屋に着いた頃にはケリーの息はすっかり上がって、目も半ば伏せられていた。とても薔薇の鑑賞どころではないのだろう。
「ケリー、どうしましたか?」
はあはあと荒く息をするケリーを抱き上げ、東屋のベンチに腰を下ろす。
膝の上に抱いたままキスをすると、ケリーはしがみつくように腕を回し、必死に舌を差し入れ、絡みつけてきた。
ケリーに応えながら、僕は片手をケリーのスカートの下に潜らせる。
「ん……っ」
ケリーが何かを期待するように膝を緩ませる。
そこへとたどり着いた指先がケリーに触れると、はっきりと水音が立つ。
「ケリー、脚にまで垂れていますよ」
僕の囁く言葉にケリーが顔を歪めた。
「今日は庭の薔薇を楽しもうとここへ来たのに。ケリーはこの薔薇を愛でて欲しいんですね?」
指先を埋めると、は、と吐息を漏らす。
ちゅく、ちゅく、と音を大きく立てて搔き回すと、「あ」と声を上げて大きく身体を揺らす。指をもっと奥へ呑み込もうと、襞が蠢き始める。
「ケリー、欲しいなら、ちゃんと言葉にしてください」
首に舌を這わせ、肩を吸い、赤く着いた跡を舐める。
「う、んっ……エヴ……」
「ケリー」
ぐちゅぐちゅと指を突き立てながら、ケリーを呼ぶ。
「薬は弱めてあるのに、こんなに欲しいんでしょう?」
く、とケリーの眉が顰められ、僕の背に回した腕が震える。
「ケリー、僕が欲しいと言ってください」
「あ……エヴ、っ」
「さあ、ケリー」
ケリーの顔を啄ばみながら言葉を促して、ぎゅうきゅう締め付けるところから、ぬるりと指を抜き去った。
「あ……っ」
「僕を欲しいと言ってください」
身体を擦り付けるように捩らせるケリーの唇を、舌先でなぞる。
「エヴ……、ほ……」
僕は蕩けそうな笑みを浮かべ、ケリーの頬を優しく撫でる。
「欲しいの。エヴ、が、欲しい……」
僕はケリーにキスをする。
「ケリー、愛してます」
囁いて、前を寛げて、ケリーを膝の上に抱え上げる。対面に座らせて、腰を持ち上げて、唇を貪るように重ねて、僕はたちまち中へと突き入った。
ケリーの中は、以前と変わらずに僕を受け入れた。熱く柔らかく蠢いて僕を包み、締め上げる。
「ケリー」
ゆっくりと突き上げながらケリーを呼ぶと、潤んだ目で顔を赤く染めて息を荒げ、僕の身体にしがみついて身悶えた。
「ああっ、あっ、あ、は」
ぎゅうぎゅうに締め上げて腰を揺らし、ケリーはただひたすら喘ぐ。
「ああ、ケリー、好きだ。愛してる」
「んぁ、エヴ、あ、いいの、エヴ……っ」
抱きついたケリーを僕も抱き締め返して、奥を強く穿つ。びくびくと震え、収縮し、ケリーが喉を反らして嬌声を上げる。
「ケリー……あなたとはじめて出会った時、僕を助けるためにあの男に与えた薬、僕も作れるようになったんです」
「う、あ、あっ、エヴ……」
「確かに、あなたの言うとおり、薬の効き目は強烈でした」
「あ、っ、なに……エヴ……?」
ケリーに不審げな表情が浮かぶ。だが、ちゅ、と首筋にキスを落とすと、ケリーはまたびくりと震える。
「あなたの言葉を借りれば、“これ使ってヤったら離れられなくなる”でしたっけ。言葉通りなら、あなたはもう僕から離れられなくなるんですよね」
「あ、そ……なん、で」
ケリーは一瞬驚いたように僕を見つめた。
短く息を吐いて、僕はケリーの奥を擦る。
「ケリー、愛してるんです」
僕を離さないと言うかのように、ケリーの絡めた脚が僕を引き寄せる。びくびくと、身体が跳ねるように揺れる。
「だから、あの言葉が本当なら、あなたはもう僕から離れられない」
「う、あ……エヴ……っ」
ケリー、ケリーと何度も呼んで、ケリーの感じる場所を探りながらゆるりと腰を回した。激しく息を吐きながら、ケリーはねだるような視線を寄越す。
「あなたの感じるところは変わってないんですね」
「ん、あ、ああっ、エヴ、そこ……っ!」
ぐりぐりと、その場所へと擦り付けると、ケリーが爪を立てた。つ、と口の端から涎がひと筋流れる。
「ケリー、いきたいですか?」
「ああああっ」
埋めた楔を半ばまで抜いて止めると、ケリーは覗き込む僕を慌てて見返してくる。切なげに顔を顰め、潤んだ目から涙が溢れる。
「あ、あ、いや……や、止めないで、いきたい、エヴ、いきた……ああっ」
必死に腰を振って、ケリーが懇願するように僕を呼ぶ。
「いきたいの、もう、いきそうで……エヴ、エヴ」
「ケリー……ケリー、なら、もう絶対に僕から離れないで」
「あ、あ、いかせて、ああ、離れないから、エヴ、奥に、エヴ……」
ケリーを抱き締め、腰を叩きつける。
「あ、あああああっ!」
痙攣するように強く収縮するケリーの中に、僕も思い切り吐き出した。
「ケリー……」
ひくひくと引き攣るケリーの身体をするりと撫でる。ケリーがまた声を上げて震え、内襞をわななかせる。
ぐぷりと音を立てて引き抜いて身体を起こすと、あ、とケリーが非難をするような視線と声を僕に向けた。
そのケリーの表情に、僕はくすりと笑う。
「ケリー、終わるのは残念なんですか?
大丈夫ですよ。ここは少し狭いですから、奥へ連れて行ってあげます。もっと広いところで続きをしましょう」
横抱きにしてキスを落とす僕を、ケリーの欲情に淀んだ目が見つめる。
「身体を損なわないよう、薬もたっぷり用意してあります。ちゃんと最後まであなたを満足させてあげますから、安心してください」
荒く息を吐く唇を塞ぐと、うっとりと目を伏せて、ケリーは舌を絡めた。
寝室へと場所を移し、ケリーをベッドに横たえて、邪魔な衣服を脱ぎ捨てる。ケリーの肌を露わにして、肌の感触を味わうように手を這わせる。
「う、あ……エヴ、エヴ……ああっ」
手で軽く触れただけで身を捩らせて善がるケリーに、僕は仄かに笑む。
ケリーはきれいだ。本当にきれいだ。
天の高みに輝く星が、やっと僕の手に落ちてきてくれた。
「ケリー、もう僕から離れませんね?」
「は、っ、エヴ……あ、あっ」
あの薬が作り出す欲望に翻弄されている時ですら、ケリーは美しい。
ぐずぐずに融けた、僕とケリーの混ざったものがどろりとあふれるところに、ゆっくりと猛りを埋めていく。
頭を仰け反らせ、僕の背に脚を絡めるケリーも美しい。
「ケリー、愛してる、ケリー」
ケリーの眦から零れ落ちた涙を舌で拭い、抱き締める。
あ、あ、とただ声を上げ、快楽に呑まれていくケリーの奥へと叩きつけるように、激しく抽送を繰り返す。
唇を貪り、乳房を捏ね、つねり、身体に歯を立てる。ケリーが僕の欲望に溺れて沈んでいくさまが愛しい。絡めた脚を肩に担ぐようにして、ケリーと繋がった部分を見せつけるように奥を擦ると、ケリーは自ら自分の脚を抱えて、もっととねだる。
「ケリー、そんなに、僕が欲しいんですか?」
「あ、あ、欲しい、欲しいの、エヴ……止まらないの、もっと」
僕を求めるケリーの言葉に、笑みがこぼれた。うっとりとケリーの顔に手を滑らせて、身体をかがめて唇を落とす。
「僕のケリー……」
舌を舐め、齧るだけで感じるのか、ケリーの中がきゅうと締まる。
「この部屋は、あなたのために用意したんですよ。窓にも扉にも魔術錠が掛けてありますから、破られる心配もありませんし、決められた者しかここに出入りできません。この屋敷の使用人も、この一角に来るのは僕が許したものだけです」
いったい何の話をしているのかと、ケリーが視線で問う。
「あなたは、ここで暮らすんです。僕と一緒に」
「あ……っ、で、も……店……んあっ」
ぐっ、と奥を突くと、ケリーはすぐに快楽に顔を染めて顎を跳ね上げる。
「気にしなくていいんです。ケリーは僕のものになったのだから、ずっとここにいてください。僕から離れることは、許さない」
「あ、エヴ……っ」
ケリーの目が潤み、また涙がこぼれる。
社交の季節になった。
ラエスフェルト公爵である僕が必ず応じなければならない招待は少ない。その少ないうちのひとつが、社交の季節の始まりを示す王宮での夜会だ。
こういう貴族の付き合いなど、本当ならすべてを投げ打ってしまいたい。貴族などばかばかしいだけだという気持ちは相変わらずで、いっそ貴族などやめて、ケリーとどこか遠くへ消えてしまおうかとも考えてしまう。
「……それも、いいかもしれない」
僕にはケリーがいればいい。
時間を掛けて財産を処分していき、ケリーとふたり、一生を過ごせる程度の金銭を残して、どこか遠くしがらみのない場所で、ふたりで共に暮らすのだ。
また、ケリーとふたりで薬屋をやるのもいい。
ケリーはあれからずっと、ケリーのために誂えた部屋で暮らしている。
本当ならずっとケリーと過ごしていたいのに、ラエスフェルト公爵としての義務がそれを許さない。執務と社交に……さらには、そろそろ王宮へと出仕し、かつて父が行っていた執務を本格的に引き継がなくてはならないのだ。
その、何もかもが煩わしい。
招待状とともに届いた王の召喚状に、僕は溜息を吐く。
執務室の机に放るように置いて、僕はケリーのいる部屋へと向かう。
「ケリー」
長椅子にぼんやりと座っていたケリーが顔を上げた。ほんのりと頬を上気させ、わずかに目を潤ませている。
「エ、ヴ」
新緑を思わせる色のシンプルなドレスは、とてもケリーに似合っている。
僕が身を屈めてキスをすると、ケリーの喉から小さく声が漏れた。吐息は熱く、縋るように手が伸ばされる。
「ケリー、薔薇園を見に行きましょう。今年の花が咲き始めたそうですよ」
「あ……」
ケリーの手を取り、立ち上がらせる。片手を取ったままエスコートするように腰を抱き寄せて、庭へと連れ出す。
ゆっくりと歩く間にも、ケリーの息はだんだんと荒くなっていった。僕は小さく笑って、もういちどケリーにキスをする。舌を差し入れると、ケリーはすぐにそれに応えて自分の舌を絡ませる。
「ケリー、薔薇園の中心に東屋があります。そこまで我慢できますね?」
「ん……」
腰を強く引き寄せると、ケリーは何かを堪えるように睫毛を震わせた。
少し歩いては立ち止まり、薔薇を眺めつつ身体を撫でる。ケリーの足元はふらふら覚束なくて、だんだん僕に体重を預けるようになっていった。
東屋に着いた頃にはケリーの息はすっかり上がって、目も半ば伏せられていた。とても薔薇の鑑賞どころではないのだろう。
「ケリー、どうしましたか?」
はあはあと荒く息をするケリーを抱き上げ、東屋のベンチに腰を下ろす。
膝の上に抱いたままキスをすると、ケリーはしがみつくように腕を回し、必死に舌を差し入れ、絡みつけてきた。
ケリーに応えながら、僕は片手をケリーのスカートの下に潜らせる。
「ん……っ」
ケリーが何かを期待するように膝を緩ませる。
そこへとたどり着いた指先がケリーに触れると、はっきりと水音が立つ。
「ケリー、脚にまで垂れていますよ」
僕の囁く言葉にケリーが顔を歪めた。
「今日は庭の薔薇を楽しもうとここへ来たのに。ケリーはこの薔薇を愛でて欲しいんですね?」
指先を埋めると、は、と吐息を漏らす。
ちゅく、ちゅく、と音を大きく立てて搔き回すと、「あ」と声を上げて大きく身体を揺らす。指をもっと奥へ呑み込もうと、襞が蠢き始める。
「ケリー、欲しいなら、ちゃんと言葉にしてください」
首に舌を這わせ、肩を吸い、赤く着いた跡を舐める。
「う、んっ……エヴ……」
「ケリー」
ぐちゅぐちゅと指を突き立てながら、ケリーを呼ぶ。
「薬は弱めてあるのに、こんなに欲しいんでしょう?」
く、とケリーの眉が顰められ、僕の背に回した腕が震える。
「ケリー、僕が欲しいと言ってください」
「あ……エヴ、っ」
「さあ、ケリー」
ケリーの顔を啄ばみながら言葉を促して、ぎゅうきゅう締め付けるところから、ぬるりと指を抜き去った。
「あ……っ」
「僕を欲しいと言ってください」
身体を擦り付けるように捩らせるケリーの唇を、舌先でなぞる。
「エヴ……、ほ……」
僕は蕩けそうな笑みを浮かべ、ケリーの頬を優しく撫でる。
「欲しいの。エヴ、が、欲しい……」
僕はケリーにキスをする。
「ケリー、愛してます」
囁いて、前を寛げて、ケリーを膝の上に抱え上げる。対面に座らせて、腰を持ち上げて、唇を貪るように重ねて、僕はたちまち中へと突き入った。
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