真夜中の吸血鬼

ぎんげつ

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3.ミカちゃんと私

9.食料、なんだよね?

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「なんかなし崩しにやっちゃった気がして、どうかなって」

 あらあら、確かに、ミカさん張り切ってたみたいだものねえ、とペトラちゃんは頬杖を突くように前脚をあげる。
 でも、前も言ったけど、ミカさん雄として有能だと思うし、そう悲観することもないんじゃないかしら。ペトラちゃんは(たぶん)にこっと微笑んで首を傾げた。

「でもさあ、クモと人間じゃちょっと事情も違うし、それにミカちゃんは人間じゃないから、こんなんでいいのって気持ちがあるんだよねえ」

 種族は違っても、無理って嫌悪感がなければいいんじゃないかしら。私なら、嫌な奴が来たら躊躇なく食べちゃうわよ。ペトラちゃんはうふっと頰を赤らめる(ような仕草をする)。

「そういうものかなあ」

 うふふ、律子さんのお悩みも尽きないわね。あら、ミカさんお風呂出たみたいよ。私は退散するわね。ペトラちゃんは前脚を振ると、ささっと棚の後ろに姿を隠してしまった。



「また、女子トークでしたか」
「う、うん」

 壁に向かって体育座りをしていた私に気づき、ミカちゃんはくすりと笑う。
 だって、ミカちゃんとのこと話せるような相手って、ペトラちゃんしかいないし……ほんと、いくら乙女だからって、アシダカグモのペトラちゃん相手にいろいろ相談するのはどうかなって思うけどさ。

 じっとりとめつける私に、ミカちゃんは笑むように目を細めた。

「どうしましたか?」
「な、なんでもないよ」

 ぷいと顔を逸らしてしまうと、ミカちゃんがまた笑う気配がして、私の前で膝をついた。

「何を拗ねているんですか?」
「拗ねてないし」
「では、どうしましたか」

 くすくすと笑いながらミカちゃんが手を伸ばして、私の顔を前に向ける。

「拗ねているようにしか、見えませんが」

 そのまま、ちゅ、とキスをされて仰け反ると、ぐいと迫ってきた。

「逃げないでください」

 のし掛かられてるような、床ドンされてるような、変な体勢でまたキスをされる。じっくり舐るように咥内を蹂躙するキスだ。

「……ん、んん」

 キスされるだけでぼうっとして、息が荒くなってしまう。ついこの前の“月いち”のことを思い出して、ミカちゃんに縋ってしまう。

 いつのまにか私はミカちゃんに抱えられて、ベッドに運ばれていた。
 私を抱えたままベッドに座って、ミカちゃんは私の首に顔を伏せる。
 ぺろりと舐められて思わずしがみつく。身体に熱が溜まりだす。

「律子さん」
 くすくす笑いながらミカちゃんが私の名前を囁き、「どうして欲しいですか」と訊いた。
 その間も首や肩口を舐めたり軽く歯を立てたりを止めない。

「あ……、どうして、って」
「どうしてほしいか言ってくれたら、その通りにしますよ」

 ミカちゃんの親指が、服越しに胸を掠め、尖り始めた場所を軽く押し込む。くすぐるように指先を掠らせる。

「ふ、ぁ、そこ……」

 やわやわと胸を揉みしだかれ、時折すっかり尖った先をぐりりと摘まれて、私は思わずミカちゃんに腰を擦り付けるように動かしてしまう。

「こんなに押し付けて……ここが痒いのですか?」
「ぅ、あ……」

 胸から、つ、と背中をなぞるように後ろから脚の間へと手を伸ばされて、秘裂の上をさらりと撫でられる。ぞくりと背中を快楽が駆け上がり、背を仰け反らせて「ああ」と息を吐いてしまう。
 頭の中が、あっという間に蕩けてしまう。
 私って、こんなに淫乱だったのか。
 そんなことまで考えてしまう。

 じんわり滲み出た液体が小さく水音を立て始めた。

「あ、あ……や、そんな、こと、されたら、や、あっ」
「そんなことをされたら、どうなるんですか?」

 耳朶を甘く齧りながら、ミカちゃんが囁く。その間も、くちゅくちゅと手は動き続けている。

「さ、どうなるのか、言ってください」
「んぁ……あ、あっ、ほし、く、な、ちゃ……ああっ!」

 布の下に指が滑り込み、直接掻き混ぜ始めて、水音が大きくなる。

「あっあっあっ、だめ、そんなにしたら、や、だめ……あ、ああっ」
「何がほしいんですか?」

 ぐちゃぐちゃと掻き回されながら低く尋ねられて、きゅうと中が締まる。

「ぅ、あ……や、そんな、はずか、し……」

 真っ赤になって伏せてしまった私の顔を持ち上げて、またミカちゃんはキスをする。貪るように舌を吸い、解そうとしているかのように転がす。
 ちゅ、と音を立てて口を離し、「何がほしいか教えてくれないと、わかりませんよ」とまた囁く。
 その間も掻き回されながら、時折充血しきって敏感になった芽を掠めるように触られて、とうとう我慢ができなくなってしまった。

「あっ、や……ちょう、だい、ミカちゃんの、ほしい……」

 ミカちゃんは笑って「それで、勘弁してあげましょうか」と言った。



 衣服を脱ぎ捨てて、私は座ったままのミカちゃんの上を跨ぐように、腰を支えられて膝立ちになっていた。

「さ、律子さんの欲しいものがありますよ。自分で入れてください」
「あ……」

 つ、と太腿を蜜が伝うのを感じる。

「そのまま腰を下ろせばいいんです」
 笑うようにミカちゃんが囁き、胸の頂を啄む。
「んぁ、あ、腰を、下ろす……」
「そう。そのままゆっくりと……そう、上手ですよ」

 ぬるぬる滑るミカちゃんの杭を捉えて、ゆっくりと腰を落とす。中を広げられ、擦られて抉られる快感に、ざわざわと背中が泡立った。

「あ、ああ……あ」

 ぎゅうぎゅうに締め付けているのに、奥までぬるりと入り込む感覚に、吐息が漏れる。

「ふ……律子さん、ちゃんと、入りましたね」
「あっあっ……あ、いいの、ミカちゃん、いい」

 心なしか、ミカちゃんの声も少し上擦っているように聞こえる。
 ぐちゅぐちゅと音を立てて掻き回され、奥を擦られると、自然に声が上がってしまう。
 快感に身体を反らす私の首や喉を舐めまわしながら、ミカちゃんは身体を揺らし、ぐいと突き上げる。

「……は、律子さん……もう、こんなに、なってしまって……」
「う……あ、はぁ……」

 向かい合うように座ったまま貫かれて抉られて、頭はもうぐらぐらだ。

「あっ……そこ、いい……」
「ここ、ですか」

 感じる場所を擦られて、びくりと痙攣するように締めつける私に、ミカちゃんも吐息を漏らす。
 ぐいと腰を引き寄せられ、押し付けるように抱えられて、奥の気持ちいいところに当たって……“もっと”が欲しくなる。

「……あ、きもち、いい……」

 ぼんやりと快楽に浸りながら、私の身体は、やはり完全にミカちゃんに堕ちてしまったんだろうかと考える。
 ことが終わってしまえば、やっちゃったという自己嫌悪に悶えるくせに、触られるとすぐどろどろに蕩けてもう好きにしてほしいとか思ってしまうなんて、なんだか本当にどうしようもない。

 あれから毎日、夜になってミカちゃんに触れられると、すぐ身体を預けるようになってしまったのだ。

「余計なことは、考えなくていいんですよ」

 吐息交じりにそう囁かれて首にキスをされ、ぐりっと突き込まれてまた頭の芯が蕩ける。ぞくぞくと身体の奥から、よりたくさんの、むず痒いような快楽が湧き上がってくる。

「あ……ぁ、うぁ……っは!」

 びくびくとヒクついて、もっともっと奥に欲しくなって、必死で腰を擦り付けて、いっぱいになるまで呑み込もうと足掻く。
 それなのに、やっぱり足りなくて……たぶん、この先本当に私が満たされるのは、月いちの“献血”の時だけなんじゃないだろうか。
 ミカちゃんに食べ尽くされてしまえたらいいのに、とすら考えてしまう。

「あ……もっと、もっと……」

 譫言のように「もっと」と繰り返す貪欲な私を、ミカちゃんが嘲るように笑う。喉を噛み、胸元にキスをしながら、「律子さんがこんなに欲しがるなんて、思いませんでしたよ」と牙を掠らせる。

 ……なんとなく、ミカちゃんの計算のうちという気がするのは、気のせいじゃないと思うんだけど。

 くつくつ笑いながら、ミカちゃんは私の口を塞ぐ。舌を差し込んで、咥内を蹂躙するように探り、私の舌を絡め取る。
 口の中がこんなに気持ちいいなんて知らなかったし、舌を絡めることがこんなにいいなんて知らなかったのに。

「んっ、んっ……んふぅっ……!」

 腰を揺らし穿たれながら舌を吸われて、だんだんと頭が白くなっていく。

「んんっ、ん、んぁ……っは!」

 仰け反る私の口が離れ、荒くなった息を吐く音と喘ぎ声があがる。

「ああ、あん……あ、も、だめ……あっ、あっ」
「律子さん、何が、だめなんですか」

 はあはあと息を荒げて、ミカちゃんの動きが激しくなる。

「何が、だめなのか、言わないと、わかりませんよ」
「ああ、や、いっちゃう……んぁっ! い、く……」

 がくがくと震え、だめ、いくと繰り返す私にミカちゃんはにいっと笑って、強く打ち付けて奥を抉った。
 ぎゅうっと収縮する中の最奥に押し付けるように動きを止めて、ぶるりと背を震わせる。

「あ、あ……」
「っは……律子さんは」

 呼ばれて、惚けたように見上げる私に、ミカちゃんはまた貪るようなキスをした。ねっとりと執拗に嬲るような、そんなキスだ。
 私が、いったい何なのだろう。ミカちゃんは何を言いかけたのか。
 口腔を蹂躙しながら私を横たえて、ゆるゆると余韻に浸るように腰を動かし始めて、ぐいと抱き締めて……。

「あ……そんなに、動いたら……っあ! ま、た……はぁ」

 擦るように、突くようにゆっくり、けれど強く動かされて、また身体の奥からずくずくと熱が噴き出してくる。
 口を離し、ぺろりと唇を舐めながら、ミカちゃんはおもしろそうに目を眇め、私を覗き込んだ。
 そのミカちゃんの目には、たぶん、食欲とは違う、情欲のような色が浮かんでいて……。

「動いたら、どうなんですか?」

 笑いながら、啄むようにあちこちキスをする。その間も、腰の動きはゆっくり、だけど強く叩きつけるようなものになっていく。

「さっき、いった、ばかりなのに……っは! あっ、あっ、そこ、やあ!」

 喉を舐められながら胸を弄られ、さらに抽送も激しくされて、すぐに昇り詰めてしまう。
 やわやわと喉を食むような刺激は嫌が応にも“月いち”のことを思い出させるし、摘まれた胸の尖りは、身体の奥と直結しているかのように熱を送り込む。
 息も絶え絶えになった私の頭は、どうしようもなくぐだぐだに蕩けていて、もういくことしか考えられない。

「あっあっ、いっちゃう、またいっちゃう、やあ! あっ、いいの、いいの!」

 再びがくがく震え始める私を見て、ミカちゃんは満足そうに笑みを深くする。ガツガツと穿つように腰を叩きつけて、「さあ、いきましょう」と囁いて、軽く首を噛む。

「……っ、あっ、ああああああっ!」

 ひゅっと息を呑んで、私はびくっと跳ね上がる。

「は、ぅっ」

 ミカちゃんが呻くような声を漏らし、ぎゅうと腰を押し付けて震える。
 ぐいぐいと力いっぱいに締め付ける私の中に、どくどくと脈打つように震えるミカちゃんを感じて、少し満たされたような気持ちになる。
 ぼうっと横たわったまま、ぐいと抱き込まれ、抱き締められて、なんだか恋人にでもなったみたいだなと考える。

「……私」

 ぼんやりしたままぽつりと呟くと、ミカちゃんが私を抱き締める腕に力を込める。

「どうしましたか?」
「私、ミカちゃんの、食料なんだよね?」

 くすりと笑って、ミカちゃんが私の頭にキスを落とす。

「私は律子さんの全部が欲しいと言ったはずですが」
「全部、って……」
「全部、ですよ」

 ミカちゃんは私の顎に手を掛け、くいと上向かせると、そっと口付けた。
 何故だかその唇も、見下ろす目も、いつもよりずっと優しいように感じられて、まともに見ることができなかった。
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