クソイケメンな吟遊詩人にはじめてを奪われて無職になったので、全力で追いかけて責任取らせます

ぎんげつ

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水路の町

せっかくの暇つぶしなのに

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 ふたりとも裸になったところで、改めてエルヴィラはミーケルに抱きついた。
 布越しより素肌にくっつくほうがずっといいなと頬ずりをしながら、にひゃっとエルヴィラが笑う。

「だから君はどうしてそうだらしなく笑うのかな」

 ミーケルの言葉に、エルヴィラが口を尖らせて上を向く。

「いいじゃないか。ミケだから――」

 油断してるんだと続けようとして、また唇を塞がれた。念入りに口内を嬲られて、すぐに息が上がる。

 どうしてキスってこんなに気持ちいいんだろう。

 ミーケルと舌を絡めながら、エルヴィラはそんなことを考えてしまう。
 キスをしながら脚の間の秘裂に指を差し込まれて、ぞくぞくする気持ち良さが背骨を這い上がってくる。
 すっかり勃ち上がっているミーケルのものに腰を擦り付けながら、身悶えしてしまう。

「ほら、腰を浮かせて」

 唇をわずかに離して、ミーケルが囁いた。
 エルヴィラは蕩けきった顔で小さく頷いて、言われたとおりに腰を持ち上げる。
 ミーケルの手に誘導され、すっかり解れて蜜で潤った入り口にミーケルをあてがわれたところで、ゆっくり腰を下ろす。

「……あ、う……っ」

 中を広げながら奥深くまで抉られて、エルヴィラは思わず大きく背を反らしてしまう。その喉をミーケルがぺろりと舐める。啄ばみながら下へと辿り、鎖骨の上を齧る。

「ん、あっ、あ……」

 身体を這う舌の感触が気持ちよすぎて、エルヴィラの中がひくひくと蠢めく。ミーケルがわずかに眉を寄せて、は、と息を吐く。
 ぐっとエルヴィラを抱き締め、腰を沈めるように抑えつけると、エルヴィラは痙攣するように身体を震わせる。

「あ、や、奥……深い……」
「深いの、好きだろう?」

 囁かれて耳を食まれて、エルヴィラはますます身悶える。気持ちよすぎて、頭がぼうっとしてくる。
 抱きついて揺すられて気持ちよくて幸せで、このままずっとミーケルといちゃいちゃできればいいのになと、エルヴィラはにまにまと笑う。

 と、突然、カンカンと鐘の音が外から聞こえてきた。
 これは、町に何かあったときに鳴らされる半鐘の音だ。

「な、に……」

 揺すられて、ん、ん、と悶えながらも、エルヴィラは窓を見る。

「さあ?」

 ミーケルもちらりと外へ目をやるが、エルヴィラを揺する手は止めない。
 その間もカンカンと半鐘は鳴り続け……そのうち、誰かの怒鳴る声までが聞こえてきた。
 何があったのだろうか。
 ゆるゆる揺すられて、あまり頭が働かない。
 半鐘を鳴らしながら水路を回り、何か警告の声を上げているようだけど……?

魚人サハギンだ! 魚人の襲撃だ! 」

 今度こそはっきりと聞こえて、エルヴィラがぱちりと目を開ける。

「なん……だ、と……んっ」
魚人サハギンだってさ。どうする?」
「ん、あ……はっ」

 ミーケルは笑いながら囁いて、少し強くエルヴィラを揺すったり突いたりと攻め始めた。その間も半鐘は鳴り続け、外の騒ぎは大きくなっていく。

「んっ……う、あ……うっ、うう……」

 はあ、と息を吐きながら、エルヴィラはぽろりと涙を零した。

「しゅ、集中、できない……うっ、せっかく、ミケと、暇つぶし、なのに……うっ」

 エルヴィラの泣き言に、ミーケルはつい吹き出してしまう。

「笑いごとじゃ、ない」

 うっうっと涙目でミーケルを睨みながら、エルヴィラは眉根を寄せる。

「き、気持ちよく、なりたいのに、気になって……っ」
「じゃ、やめとく?」
「う……だって、せっかく、ミケが誘ってくれたのに……」

 本気で悩むエルヴィラに、いったい何を天秤にかけて悩んでるんだと、ミーケルは肩を震わせて笑う。
 笑いながら身体が持ち上げられて、すぽんと抜かれて、エルヴィラは思わずミーケルに縋り付いた。

「あ、あっ」
「仕方ないなあ……そんなに気になるなら、行っておいで。町のことが気になるんだろう?」
「えっ、でも、でも、ミケが誘ってくれたのに……」

 うるうると見つめるエルヴィラに、ミーケルはまた吹き出しそうになる。
 そこまでしたいものなのか。
 半分呆れて半分おもしろくて、眉尻を下げたままじっと自分を見つめるエルヴィラの頬に、ミーケルはキスをした。

「終わったら、また続きをすればいいじゃないか」
「ほ、ほんとに?」
「ほんとうだよ。戻ってきたら続きをすればいい。だから行っておいで」

 ぱあっとエルヴィラの顔が輝いた。満面の笑顔を浮かべて思い切り頷く。

「魚人なんてとっととやっつけて、急いで戻ってくる!」

 ぐっと拳を握りしめて、すくっと立ち上がり、窓の外を睨みつける。
 どうでもいいが裸でそのポーズはちょっとどうかと思うんだけどとミーケルは考えたが、黙っておいた。

「あ、ちょっと待った」
「ん?」

 枕元の鞄を拾い上げて、ミーケルはごそごそと中を漁る。すぐに目当てのものを見つけると、エルヴィラを手招きした。

「こっちにおいで……少しちくっとするけど、我慢して」

 寄ってきたエルヴィラの頭を抱えるように引き寄せ、耳にピアスを刺す。エルヴィラは少しだけ顔を顰めて、「なんだ?」とミーケルを見上げる。

「“水妖の涙”っていう魔道具だよ。付けてると水の中で普通に過ごせるようになるんだ。そうは言っても鎧を着けたら沈むことには変わりないから、ここを出るときに“飛空”の魔法薬を飲むのを忘れないで」
「わかった。ミケは?」
「一応僕も“飛空”の魔法薬を飲んで出るけど、さすがに“水妖の涙”はそれしかないし、君が水の中に入ったら歌は届かないから。十分気をつけて」
「任せろ! ミケも気をつけるんだぞ」

 エルヴィラはにっこりと頷いて、ミーケルが耳に付けてくれたばかりの“水妖の涙”をそっと触った。
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