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水路の町
可愛げがないようなあるような
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エルヴィラを担いだままミーケルは風呂に水を溜め、小魔術を使って沸かす。
「身体も冷えきってるね」
「そ、そうか?」
そんなに冷えた感じはしないんだけどと、おろおろするエルヴィラを裸に剥いて、風呂桶のお湯に浸け込んだ。
自分もさっさと服を脱いで風呂桶に入ってしまう。
「ほら、よく見せて」
ぐるりとエルヴィラの身体を回して、ミーケルは真剣に痣や傷のチェックをした。
関節を動かしたり骨の上から指で押したり、ミーケルにあちこち確認されながら違和感のあるところはないかと聞かれて、エルヴィラも殊勝な顔で真面目に答える。
いったいなんでこんなことになってるんだろう。
いちゃつくのとも違う今の状況に、エルヴィラは首を傾げずにいられない。
ミーケルは、エルヴィラの身体に小さな傷や痣を見つけるたびに小回復をかけていく。そんなの唾でもつけてほっとけば勝手に治るのに、とも思うのだが、そんなことを言うとさらに怒られそうで怖い。
ミーケルが痣や傷を見つけては「あっ」と声を出すたびに、エルヴィラは首を竦めたままひたすらおとなしく回復された。
「ミケとのいちゃいちゃタイムが減っていく……」
されるがままになりながら、エルヴィラはついぽろりと零してしまう。
「あのね」
「だって、楽しみにして頑張ったのに……」
しょぼしょぼと潤んだ目で項垂れるエルヴィラに、ミーケルは、はあ、と溜息を吐いた。
この溜息でいったい何度目だろうか。
そもそも泣くほど楽しみだったとか、なんなんだ。
ミーケルは、 エルヴィラを膝の上でくるりと回して自分のほうを向かせる。
「ほら、上向いて」
頬に手を当て、顔を上げさせて唇を塞ぐと、エルヴィラはすぐにぎゅうっとしがみつくようにミーケルに抱きついた。
「塩気でべたべたする。洗ってから、部屋へ戻るよ」
「うん」
ようやく念願のいちゃいちゃの続きになって、エルヴィラはにへらと笑った。
「ん……」
「君、この体勢好きだよね」
「だって……ミケにくっつけるし……っ」
ミーケルの膝の上で対面で貫かれながら、エルヴィラはしっかりとしがみつく。こうしてぺったりと身体を合わせたうえに心臓の鼓動も聞こえるし、声も近くてキスもできて、ミーケルを堪能できるのだ。
せっかくミーケルから誘ってくれた続きなのだ。充分堪能しなくては。
にまにまとにやけながら抱かれるエルヴィラにキスを落としながら、ミーケルは「何がそんなに嬉しいんだか」と呟く。
「ミケが近いし」
「うん」
「ひと塊りになったみたいだし」
「うん、で?」
「なんだか幸せな気持ちになる」
顔を赤らめて少し目を逸らすエルヴィラに、ミーケルは口の端でふっと笑う。
「……僕が、悪魔とか魔神の手先だったらどうするのさ」
「ん、と」
頭をぐりぐり押し付けながら、エルヴィラは考えて……。
「更生させる」
「そこは、“一緒に堕ちる”じゃないんだ?」
「うん。だって、地獄行きになったら、たいへんだし」
「“どこまでも付いて行く”でもないんだ?」
「だって、どうせ一緒に目指すなら、明るい未来のほうがいい」
くつくつと笑いながら、ミーケルはエルヴィラを抱き締める。
「前から思ってたけど、君ってやっぱり変わってるよね」
「そうかな?」
エルヴィラは納得しかねるように小さく顔を顰める。
「そうだよ。そこって、たいていの女の子なら“あなたとならどこへ行くことになっても平気”って答えるところだしね」
「だって、そんなの人任せにしたら、肝心なところの責任も全部被せることになっちゃうじゃないか。信じて任せるのは良いことでも、鵜呑みじゃだめなんだ。ちゃんと考えて、ふたりで最善を選ばないと幸せになれないんだぞ」
相変わらず笑いながら、ミーケルはキスをする。
「君さ、可愛げがないって言われたことあるだろう?」
「……う」
眉根を寄せて黙ってしまうエルヴィラに、またキスをする。
「やっぱりね。でも、僕は君のそういうとこ、良いと思うよ」
「ほんとうに?」
「ほんとうに」
ミーケルはエルヴィラの唇を塞いで押し倒す。舌を絡めて、強く抉るように腰を動かしながら、この猪突猛進で自分のことをおざなりにしてしまう脳筋女のことが、実は結構気に入っていることを自覚する。
「ん、……っう」
「ま、君の気が済むまで、僕について来ればいいさ」
「……っふ、そ、れ、どう、いう」
「言葉の通りだよ」
エルヴィラはぱっと目を瞠り、うんうん唸りながら、にひゃにひゃと顔を緩ませた。
「……んっ、あ、ふふ……っは、ふ、ふふ……っ」
「あのさ、善がりながら変な笑い方するの、やめてくれないかな……っ」
「変な、笑い方、なんて……ふ、ふふっ」
エルヴィラは再び人生の絶頂期が来たような気がして、どこまでも舞い上がっていく。
「身体も冷えきってるね」
「そ、そうか?」
そんなに冷えた感じはしないんだけどと、おろおろするエルヴィラを裸に剥いて、風呂桶のお湯に浸け込んだ。
自分もさっさと服を脱いで風呂桶に入ってしまう。
「ほら、よく見せて」
ぐるりとエルヴィラの身体を回して、ミーケルは真剣に痣や傷のチェックをした。
関節を動かしたり骨の上から指で押したり、ミーケルにあちこち確認されながら違和感のあるところはないかと聞かれて、エルヴィラも殊勝な顔で真面目に答える。
いったいなんでこんなことになってるんだろう。
いちゃつくのとも違う今の状況に、エルヴィラは首を傾げずにいられない。
ミーケルは、エルヴィラの身体に小さな傷や痣を見つけるたびに小回復をかけていく。そんなの唾でもつけてほっとけば勝手に治るのに、とも思うのだが、そんなことを言うとさらに怒られそうで怖い。
ミーケルが痣や傷を見つけては「あっ」と声を出すたびに、エルヴィラは首を竦めたままひたすらおとなしく回復された。
「ミケとのいちゃいちゃタイムが減っていく……」
されるがままになりながら、エルヴィラはついぽろりと零してしまう。
「あのね」
「だって、楽しみにして頑張ったのに……」
しょぼしょぼと潤んだ目で項垂れるエルヴィラに、ミーケルは、はあ、と溜息を吐いた。
この溜息でいったい何度目だろうか。
そもそも泣くほど楽しみだったとか、なんなんだ。
ミーケルは、 エルヴィラを膝の上でくるりと回して自分のほうを向かせる。
「ほら、上向いて」
頬に手を当て、顔を上げさせて唇を塞ぐと、エルヴィラはすぐにぎゅうっとしがみつくようにミーケルに抱きついた。
「塩気でべたべたする。洗ってから、部屋へ戻るよ」
「うん」
ようやく念願のいちゃいちゃの続きになって、エルヴィラはにへらと笑った。
「ん……」
「君、この体勢好きだよね」
「だって……ミケにくっつけるし……っ」
ミーケルの膝の上で対面で貫かれながら、エルヴィラはしっかりとしがみつく。こうしてぺったりと身体を合わせたうえに心臓の鼓動も聞こえるし、声も近くてキスもできて、ミーケルを堪能できるのだ。
せっかくミーケルから誘ってくれた続きなのだ。充分堪能しなくては。
にまにまとにやけながら抱かれるエルヴィラにキスを落としながら、ミーケルは「何がそんなに嬉しいんだか」と呟く。
「ミケが近いし」
「うん」
「ひと塊りになったみたいだし」
「うん、で?」
「なんだか幸せな気持ちになる」
顔を赤らめて少し目を逸らすエルヴィラに、ミーケルは口の端でふっと笑う。
「……僕が、悪魔とか魔神の手先だったらどうするのさ」
「ん、と」
頭をぐりぐり押し付けながら、エルヴィラは考えて……。
「更生させる」
「そこは、“一緒に堕ちる”じゃないんだ?」
「うん。だって、地獄行きになったら、たいへんだし」
「“どこまでも付いて行く”でもないんだ?」
「だって、どうせ一緒に目指すなら、明るい未来のほうがいい」
くつくつと笑いながら、ミーケルはエルヴィラを抱き締める。
「前から思ってたけど、君ってやっぱり変わってるよね」
「そうかな?」
エルヴィラは納得しかねるように小さく顔を顰める。
「そうだよ。そこって、たいていの女の子なら“あなたとならどこへ行くことになっても平気”って答えるところだしね」
「だって、そんなの人任せにしたら、肝心なところの責任も全部被せることになっちゃうじゃないか。信じて任せるのは良いことでも、鵜呑みじゃだめなんだ。ちゃんと考えて、ふたりで最善を選ばないと幸せになれないんだぞ」
相変わらず笑いながら、ミーケルはキスをする。
「君さ、可愛げがないって言われたことあるだろう?」
「……う」
眉根を寄せて黙ってしまうエルヴィラに、またキスをする。
「やっぱりね。でも、僕は君のそういうとこ、良いと思うよ」
「ほんとうに?」
「ほんとうに」
ミーケルはエルヴィラの唇を塞いで押し倒す。舌を絡めて、強く抉るように腰を動かしながら、この猪突猛進で自分のことをおざなりにしてしまう脳筋女のことが、実は結構気に入っていることを自覚する。
「ん、……っう」
「ま、君の気が済むまで、僕について来ればいいさ」
「……っふ、そ、れ、どう、いう」
「言葉の通りだよ」
エルヴィラはぱっと目を瞠り、うんうん唸りながら、にひゃにひゃと顔を緩ませた。
「……んっ、あ、ふふ……っは、ふ、ふふ……っ」
「あのさ、善がりながら変な笑い方するの、やめてくれないかな……っ」
「変な、笑い方、なんて……ふ、ふふっ」
エルヴィラは再び人生の絶頂期が来たような気がして、どこまでも舞い上がっていく。
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