9 / 17
“娘”の物語
4.休日/後篇
しおりを挟む
ドンドン、と扉が叩かれた。
顔を上げるカルミナの耳に、扉の向こうから自分を呼ぶ声が聞こえる。
「カルミナ!」
返事をする間も無く、乱暴なくらいに大きな音を立てて扉が開いた。
焦りを滲ませたイグナーツが、部屋に飛び込むなりぐるぐると中を見回す。
「――イグナーツ?」
ハッと気付いて、カルミナはさっきまで“父”のいた場所に目をやったが、そこにはもう影すらも見えなかった。
イグナーツはベッドに起き上がったカルミナを見て、あからさまに安堵の息を吐く。それからもう一度、慎重に注意深く部屋の中を確認しながら、ゆっくり近づいてきた。
「誰かいるんじゃないかと思ったんだ。落ち着かなくて……」
イグナーツは勘が鋭い。
それでも、カルミナでは間近にいてすら感じることのできない“父”の気配を、壁越しに感じられるほどとは思わなかったが。
「カルミナ?」
「誰かがいるわけ、ないだろう」
イグナーツが怪訝そうに首を傾げた。
大股に近寄ったと思ったら、いきなり顔を覗き込んだ。
「本当に? 何かあったんじゃないのか?」
「……あるわけが、ない」
顔を背け、カルミナはベッドに倒れこむ。もうこれ以上、イグナーツの相手をする気はないと示して。
けれど、いつもなら溜息とともに引っ込むはずのイグナーツは、なおも食い下がる。
「カルミナ、お前変だぞ」
「何が変だというんだ」
力任せに振り向かされたカルミナは、やはりイグナーツを見ようとしない。
「変だろう。そんな不安そうな顔をして、何があったんだ。お前らしくない」
本当に、どうしてイグナーツはこうも勘がいいのか。
気付かなければいいのに。
「――夢見」
「ん?」
「たぶん、夢見が悪かったんだ」
カルミナは、目を閉じたまま吐き捨てる。
これでは、さすがのイグナーツにだって、ただの適当な言い訳だとわかるはずだ。
現に、イグナーツは出て行こうとしない。
わかっているのに、カルミナは取り繕うことができない。
小さく溜息を吐いて、イグナーツがベッドの端に腰を下ろした。
木を組んだ簡素なベッドが、ぎしりと軋みをあげる。
「お前が何もないと……いや、言いたくないならいいんだ」
イグナーツの手が、熱を確かめるようにカルミナの額へと伸びる。
寝かせる前までの燃えるような熱さは、もう引いていた。これなら、明日は起きても大丈夫なくらいには回復するだろう。
カルミナは目を閉じたまま、やはり何も言わない。
窓から月の光だけが差し込む部屋は、暗くしんと静まり返っている。
「――なあ、カルミナ。お前、楽しいと思えるようなことって何かあるか?」
唐突な質問に、カルミナは思わず瞼を開いた。
目を向ければ、イグナーツはどこか困ったように笑っていた。
「なぜ?」
しばしの間黙り込んで、ようやくカルミナは口を開いた。
けれど、それ以上言葉は続かない。
イグナーツの手がそっと伸びて、カルミナの髪をつまむ。暗闇の中では赤というより黒に見える髪の感触を、イグナーツの指先が確かめるようにするりと撫でる。
「なんとなく、かな」
イグナーツの指が髪を離れ、今度は手のひらがぽんぽんと頭を叩く。
なぜか、その優しい感触がとても苦しいものと感じて、カルミナは目を伏せた。
「イグナーツ――わたしらしいというのは、どういうことだ」
イグナーツは思わず目を瞠り、それからぱちくりと瞬いた。
「変なことを訊くんだな」
「――変か?」
「変というより、お前の口からそんな質問が出るなんて予想外だった。
けど、まあ、そうだな……」
目を伏せたままのカルミナに、イグナーツは腕を組んだ。考えるようなポーズを取って、今度は少しいたずらめいた笑みを浮かべた。
「まず、俺に関心がないよな」
イグナーツは指を折り、自身の考える“カルミナの特徴”を数え上げていった。
聞いているのかいないのか、カルミナは顔を俯けたまま、じっとしている。
「仕事のこと以外で俺と会話をする気もない。素直じゃないし、愛想もない。
しかも、怖い」
怖い、と呟いて、カルミナは小さく息を吐いた。
そうだ、あの魔法使いベルだって言っていた。イグナーツはとにかく勘が鋭いと。何かを仕掛けようとしても敏感に察知して、必ず回避してしまうと。
――なら、どうしてイグナーツはカルミナから離れない?
カルミナはイグナーツを殺したいのだ。ただ、カルミナの実力ではそこに至れないだけで、カルミナがイグナーツを狙っていることは間違いない。
なのに、なぜイグナーツはいつまでもカルミナを側に置く?
また、カルミナの頭にイグナーツの手が置かれた。
「そのくせ気になって仕方ないのか、ちらちらと俺を伺ってくるんだ。おかげで、人馴れしてない猫みたいで妙にかわいいと思ってしまう」
「――どういう意味だ」
カルミナの頬にさっと朱がさす。
思わず眉を顰めて睨みつけるカルミナに、イグナーツが、はは、と笑い出した。仕方ないなと笑いながら、イグナーツの手がぐりぐりとカルミナの頭を掻き回す。
「なんて顔してるんだよ」
「なんて、って……」
本当に、どういう意味なのか。
カルミナがイグナーツの隙を伺っていると知っていて、どうしてなのか。
じっと見つめるカルミナの頭をもうひとつだけぽんと叩いてから、イグナーツは手のひらでカルミナの目を覆う。
「もう少し寝てろ。悪い夢なんか見ないように、俺が見張っててやるから。
なんなら、子守唄でも歌ってやろうか?」
「いらん」
カルミナは、不貞腐れたように背を向ける。立ち上がってカルミナの毛布を直したイグナーツは、今度は傍らの椅子に腰を下ろした。
どうやら本当に見張りをするのか。
そんなことを考えているうちに、カルミナはまた睡魔に呑まれていった。
カルミナの呼吸がようやく安定したのを見て、イグナーツは安堵した。
――あれは、間違いなく良くない気配だった。
イグナーツは、思い返してぞっとする。
気配の正体が何かまではわからない。けれど、己が感じたことを疑わず、迷わず行動できるくらいに、イグナーツは自身の“勘”を信頼している。
その“勘”が、あれは駄目だと言っていた。
あの気配は、おそらくカルミナ自身の事情に関わるものなのだろう。
傭兵仲間の突っ込んだ事情を知りたがるのは、マナー以前の問題だ。事と次第によっては相手に殺されたって文句は言えない。それほどの禁忌ですらある。
イグナーツだって、そのくらい当然わきまえている。なのに、カルミナの事情を知りたいと考えてしまうのだ。知って、可能ならイグナーツ自身が助けになりたいと。
「我ながら、重症だ」
暗い部屋の中で、イグナーツは嘆息する。
こうして、自分が横に付いていても眠ってくれるくらいには、信用してもらえるようにはなった。けれど、本人にも言ったとおり、関心はないというポーズを取りながらイグナーツを伺っているのは相変わらずだ。
なぜ、カルミナがそんなことをするのかはわからない。だが、完璧に無関心よりはいい……などとも考えてしまう。
できることなら、カルミナから、もう少しカルミナ自身のことを聞けたらと思う。イグナーツのことも知ってほしい。
そこまで考えているくせに悶々とするだけで行動に移せないのは、単に自分に覚悟がないだけなのだともわかっている。
「つくづく、重症だ」
溜息しか出ない。
いい歳をして、これでは十代の子供と一緒ではないか。
いったいいつからなのか。
考えてもそんなことわかるわけがない。気がついた時には既にというのが、この手の気持ちの定番なのだから。
だからといって、このままずるずるのなあなあで良いとは、イグナーツだって思っていない。せめて、カルミナがもう少し会話をしてくれるようになったら……と、また、溜息を吐く。
とはいえ、ここまで気を許してくれるようになったのだ。あと一年か二年か……どうにか付き合いを保っていければ、希望はあるだろう。
イグナーツは、眠るカルミナを眺めて、早くそんな日が来ますようにと、小さく神々に祈った。
顔を上げるカルミナの耳に、扉の向こうから自分を呼ぶ声が聞こえる。
「カルミナ!」
返事をする間も無く、乱暴なくらいに大きな音を立てて扉が開いた。
焦りを滲ませたイグナーツが、部屋に飛び込むなりぐるぐると中を見回す。
「――イグナーツ?」
ハッと気付いて、カルミナはさっきまで“父”のいた場所に目をやったが、そこにはもう影すらも見えなかった。
イグナーツはベッドに起き上がったカルミナを見て、あからさまに安堵の息を吐く。それからもう一度、慎重に注意深く部屋の中を確認しながら、ゆっくり近づいてきた。
「誰かいるんじゃないかと思ったんだ。落ち着かなくて……」
イグナーツは勘が鋭い。
それでも、カルミナでは間近にいてすら感じることのできない“父”の気配を、壁越しに感じられるほどとは思わなかったが。
「カルミナ?」
「誰かがいるわけ、ないだろう」
イグナーツが怪訝そうに首を傾げた。
大股に近寄ったと思ったら、いきなり顔を覗き込んだ。
「本当に? 何かあったんじゃないのか?」
「……あるわけが、ない」
顔を背け、カルミナはベッドに倒れこむ。もうこれ以上、イグナーツの相手をする気はないと示して。
けれど、いつもなら溜息とともに引っ込むはずのイグナーツは、なおも食い下がる。
「カルミナ、お前変だぞ」
「何が変だというんだ」
力任せに振り向かされたカルミナは、やはりイグナーツを見ようとしない。
「変だろう。そんな不安そうな顔をして、何があったんだ。お前らしくない」
本当に、どうしてイグナーツはこうも勘がいいのか。
気付かなければいいのに。
「――夢見」
「ん?」
「たぶん、夢見が悪かったんだ」
カルミナは、目を閉じたまま吐き捨てる。
これでは、さすがのイグナーツにだって、ただの適当な言い訳だとわかるはずだ。
現に、イグナーツは出て行こうとしない。
わかっているのに、カルミナは取り繕うことができない。
小さく溜息を吐いて、イグナーツがベッドの端に腰を下ろした。
木を組んだ簡素なベッドが、ぎしりと軋みをあげる。
「お前が何もないと……いや、言いたくないならいいんだ」
イグナーツの手が、熱を確かめるようにカルミナの額へと伸びる。
寝かせる前までの燃えるような熱さは、もう引いていた。これなら、明日は起きても大丈夫なくらいには回復するだろう。
カルミナは目を閉じたまま、やはり何も言わない。
窓から月の光だけが差し込む部屋は、暗くしんと静まり返っている。
「――なあ、カルミナ。お前、楽しいと思えるようなことって何かあるか?」
唐突な質問に、カルミナは思わず瞼を開いた。
目を向ければ、イグナーツはどこか困ったように笑っていた。
「なぜ?」
しばしの間黙り込んで、ようやくカルミナは口を開いた。
けれど、それ以上言葉は続かない。
イグナーツの手がそっと伸びて、カルミナの髪をつまむ。暗闇の中では赤というより黒に見える髪の感触を、イグナーツの指先が確かめるようにするりと撫でる。
「なんとなく、かな」
イグナーツの指が髪を離れ、今度は手のひらがぽんぽんと頭を叩く。
なぜか、その優しい感触がとても苦しいものと感じて、カルミナは目を伏せた。
「イグナーツ――わたしらしいというのは、どういうことだ」
イグナーツは思わず目を瞠り、それからぱちくりと瞬いた。
「変なことを訊くんだな」
「――変か?」
「変というより、お前の口からそんな質問が出るなんて予想外だった。
けど、まあ、そうだな……」
目を伏せたままのカルミナに、イグナーツは腕を組んだ。考えるようなポーズを取って、今度は少しいたずらめいた笑みを浮かべた。
「まず、俺に関心がないよな」
イグナーツは指を折り、自身の考える“カルミナの特徴”を数え上げていった。
聞いているのかいないのか、カルミナは顔を俯けたまま、じっとしている。
「仕事のこと以外で俺と会話をする気もない。素直じゃないし、愛想もない。
しかも、怖い」
怖い、と呟いて、カルミナは小さく息を吐いた。
そうだ、あの魔法使いベルだって言っていた。イグナーツはとにかく勘が鋭いと。何かを仕掛けようとしても敏感に察知して、必ず回避してしまうと。
――なら、どうしてイグナーツはカルミナから離れない?
カルミナはイグナーツを殺したいのだ。ただ、カルミナの実力ではそこに至れないだけで、カルミナがイグナーツを狙っていることは間違いない。
なのに、なぜイグナーツはいつまでもカルミナを側に置く?
また、カルミナの頭にイグナーツの手が置かれた。
「そのくせ気になって仕方ないのか、ちらちらと俺を伺ってくるんだ。おかげで、人馴れしてない猫みたいで妙にかわいいと思ってしまう」
「――どういう意味だ」
カルミナの頬にさっと朱がさす。
思わず眉を顰めて睨みつけるカルミナに、イグナーツが、はは、と笑い出した。仕方ないなと笑いながら、イグナーツの手がぐりぐりとカルミナの頭を掻き回す。
「なんて顔してるんだよ」
「なんて、って……」
本当に、どういう意味なのか。
カルミナがイグナーツの隙を伺っていると知っていて、どうしてなのか。
じっと見つめるカルミナの頭をもうひとつだけぽんと叩いてから、イグナーツは手のひらでカルミナの目を覆う。
「もう少し寝てろ。悪い夢なんか見ないように、俺が見張っててやるから。
なんなら、子守唄でも歌ってやろうか?」
「いらん」
カルミナは、不貞腐れたように背を向ける。立ち上がってカルミナの毛布を直したイグナーツは、今度は傍らの椅子に腰を下ろした。
どうやら本当に見張りをするのか。
そんなことを考えているうちに、カルミナはまた睡魔に呑まれていった。
カルミナの呼吸がようやく安定したのを見て、イグナーツは安堵した。
――あれは、間違いなく良くない気配だった。
イグナーツは、思い返してぞっとする。
気配の正体が何かまではわからない。けれど、己が感じたことを疑わず、迷わず行動できるくらいに、イグナーツは自身の“勘”を信頼している。
その“勘”が、あれは駄目だと言っていた。
あの気配は、おそらくカルミナ自身の事情に関わるものなのだろう。
傭兵仲間の突っ込んだ事情を知りたがるのは、マナー以前の問題だ。事と次第によっては相手に殺されたって文句は言えない。それほどの禁忌ですらある。
イグナーツだって、そのくらい当然わきまえている。なのに、カルミナの事情を知りたいと考えてしまうのだ。知って、可能ならイグナーツ自身が助けになりたいと。
「我ながら、重症だ」
暗い部屋の中で、イグナーツは嘆息する。
こうして、自分が横に付いていても眠ってくれるくらいには、信用してもらえるようにはなった。けれど、本人にも言ったとおり、関心はないというポーズを取りながらイグナーツを伺っているのは相変わらずだ。
なぜ、カルミナがそんなことをするのかはわからない。だが、完璧に無関心よりはいい……などとも考えてしまう。
できることなら、カルミナから、もう少しカルミナ自身のことを聞けたらと思う。イグナーツのことも知ってほしい。
そこまで考えているくせに悶々とするだけで行動に移せないのは、単に自分に覚悟がないだけなのだともわかっている。
「つくづく、重症だ」
溜息しか出ない。
いい歳をして、これでは十代の子供と一緒ではないか。
いったいいつからなのか。
考えてもそんなことわかるわけがない。気がついた時には既にというのが、この手の気持ちの定番なのだから。
だからといって、このままずるずるのなあなあで良いとは、イグナーツだって思っていない。せめて、カルミナがもう少し会話をしてくれるようになったら……と、また、溜息を吐く。
とはいえ、ここまで気を許してくれるようになったのだ。あと一年か二年か……どうにか付き合いを保っていければ、希望はあるだろう。
イグナーツは、眠るカルミナを眺めて、早くそんな日が来ますようにと、小さく神々に祈った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる