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14.聖剣
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宿へ戻る頃にはすっかり辺りが暗くなってしまっていた。
ダニエル王子の呪いを解いたことで国王にはとても感謝されたが、私の心はいまいち晴れていなかった。
シエラとどんな顔で会えばいいだろうとそればかり考えていたのだ。
宿の外で立ち止まって見上げると、私たちが泊まっている二階の部屋の明かりは真っ暗だった。彼はまだ帰っていないのだろう。むしろもう彼は私に愛想を尽かして戻ってこないことも考えられる。
だって彼はこの国の王子が悪魔の呪いにかかっていることを知らない。
私がここ数日、王子の呪いを解くために奮闘していたことは話すことが出来なかったのだから。
本当はシエラが誰よりも大切なのに。
「アイネっ!」
目のふちに溜まった涙を指先で払っていたら、背後からシエラの声がした。
振り返るとシエラが立っていた。大切そうにむき出しの剣を抱えている。
「もしかして……、それって……」
「うん、ついに聖剣が手に入ったんだっ!」
シエラは嬉しそうにほほ笑んだ。
宿の部屋でシエラからこれまでの経緯を聞いた。
洞窟で見つけた岩に刺さった聖剣を引き抜こうとしたけれど、どんなに引っ張ってもちっとも抜けない。
「だめだぁ、何で抜けないんだろう。俺の力不足?」
途方に暮れたシエラが地べたに座ってつぶやくと、剣が光って精霊が現れた。
「力不足じゃない、感情不足さ」
この聖剣を守っているという精霊はアゲハ蝶のような美しいハネでひらひらと洞窟の中を舞いながら答えた。
「え、感情不足……?」
「そもそも、なんで君は聖剣がほしいの?」
精霊は聖剣の上へ腰かけて小首をかしげた。
「俺たちの両親を殺した闇の教団の幹部を倒したいから」
「ふーん。その割には好きな女の子からたっぷりと愛情を注がれていつもイチャイチャしてるし、現状の生活に十分満足してるみたいだけど……。君にはこの剣を扱うための能力は十分にあるようだけど、そんな平和ボケしているようじゃ聖剣は抜けないってことさ。この剣を抜くには憎しみや悲しみ、怒りといった強い感情が必要なのさ」
残念だったね、じゃあね、と精霊は再び光って姿を消そうとした。
「待ってくれっ! 確かに俺はアイネと旅している今が幸せだよ。でもどうしてもその聖剣がほしいんだ、どうしたら引き抜くことが出来るか教えてくれよっ!」
精霊はシエラの青い瞳をじっと見つめた後、こう言ったという。
「君の大好きなアイネはもうすぐ君に内緒で別の男とセックスするよ。それも相手はペニスが二本ある男で、アイネはそれらを同時に挿入されて君とのセックス以上に感じまくって乱れるのさ」
「え……っ、そんな……っ」
「大事な恋人を寝取られる場面を覗き見れば、君は剣を抜くために必要な憎しみや悲しみ、怒りを得ることが出来るだろう」
翌日、シエラはこっそり私の後を追い、お城で王子と会っていることを知った。
しかも部屋の中で丸裸になってあそこにバラを刺されたり、筆で弄ばれたりしているところを目撃したという。
「王子様にエッチないたずらをされたり、二本のブツで犯されたりするところを見て、アイネが悪魔の呪いを解いてやるつもりなんだってすぐにわかったけど、他の男にそんなことされてよがってるアイネの様子を見てたら、俺はとんでもなく興奮して抜かずにはいられなくなった。聖剣をじゃないよ、自分のあそこを、だよ」
それを聞いて私は、シエラが思ったよりも傷ついていなかったことに安堵した。
「でもね、たっぷり抜いたら賢者タイムで妙に王子様が憎くなった。だって、バルコニーで裸のアイネに精液逆噴射させたのなんてたぶん俺が見ているのを知って見せつけたに決まってるから。きっとこれからもアイネは悪魔の呪いで困っている男を見たら、その呪いを解いてやらずにはいられないんだろうけど、それでもアイネは俺のものだっ! 誰にも渡さないぜっ! って、改めて思ったんだ」
そして夢中で洞窟へ走って、聖剣を握ったらすんなりと抜けたのだという。
ダニエル王子の呪いを解いたことで国王にはとても感謝されたが、私の心はいまいち晴れていなかった。
シエラとどんな顔で会えばいいだろうとそればかり考えていたのだ。
宿の外で立ち止まって見上げると、私たちが泊まっている二階の部屋の明かりは真っ暗だった。彼はまだ帰っていないのだろう。むしろもう彼は私に愛想を尽かして戻ってこないことも考えられる。
だって彼はこの国の王子が悪魔の呪いにかかっていることを知らない。
私がここ数日、王子の呪いを解くために奮闘していたことは話すことが出来なかったのだから。
本当はシエラが誰よりも大切なのに。
「アイネっ!」
目のふちに溜まった涙を指先で払っていたら、背後からシエラの声がした。
振り返るとシエラが立っていた。大切そうにむき出しの剣を抱えている。
「もしかして……、それって……」
「うん、ついに聖剣が手に入ったんだっ!」
シエラは嬉しそうにほほ笑んだ。
宿の部屋でシエラからこれまでの経緯を聞いた。
洞窟で見つけた岩に刺さった聖剣を引き抜こうとしたけれど、どんなに引っ張ってもちっとも抜けない。
「だめだぁ、何で抜けないんだろう。俺の力不足?」
途方に暮れたシエラが地べたに座ってつぶやくと、剣が光って精霊が現れた。
「力不足じゃない、感情不足さ」
この聖剣を守っているという精霊はアゲハ蝶のような美しいハネでひらひらと洞窟の中を舞いながら答えた。
「え、感情不足……?」
「そもそも、なんで君は聖剣がほしいの?」
精霊は聖剣の上へ腰かけて小首をかしげた。
「俺たちの両親を殺した闇の教団の幹部を倒したいから」
「ふーん。その割には好きな女の子からたっぷりと愛情を注がれていつもイチャイチャしてるし、現状の生活に十分満足してるみたいだけど……。君にはこの剣を扱うための能力は十分にあるようだけど、そんな平和ボケしているようじゃ聖剣は抜けないってことさ。この剣を抜くには憎しみや悲しみ、怒りといった強い感情が必要なのさ」
残念だったね、じゃあね、と精霊は再び光って姿を消そうとした。
「待ってくれっ! 確かに俺はアイネと旅している今が幸せだよ。でもどうしてもその聖剣がほしいんだ、どうしたら引き抜くことが出来るか教えてくれよっ!」
精霊はシエラの青い瞳をじっと見つめた後、こう言ったという。
「君の大好きなアイネはもうすぐ君に内緒で別の男とセックスするよ。それも相手はペニスが二本ある男で、アイネはそれらを同時に挿入されて君とのセックス以上に感じまくって乱れるのさ」
「え……っ、そんな……っ」
「大事な恋人を寝取られる場面を覗き見れば、君は剣を抜くために必要な憎しみや悲しみ、怒りを得ることが出来るだろう」
翌日、シエラはこっそり私の後を追い、お城で王子と会っていることを知った。
しかも部屋の中で丸裸になってあそこにバラを刺されたり、筆で弄ばれたりしているところを目撃したという。
「王子様にエッチないたずらをされたり、二本のブツで犯されたりするところを見て、アイネが悪魔の呪いを解いてやるつもりなんだってすぐにわかったけど、他の男にそんなことされてよがってるアイネの様子を見てたら、俺はとんでもなく興奮して抜かずにはいられなくなった。聖剣をじゃないよ、自分のあそこを、だよ」
それを聞いて私は、シエラが思ったよりも傷ついていなかったことに安堵した。
「でもね、たっぷり抜いたら賢者タイムで妙に王子様が憎くなった。だって、バルコニーで裸のアイネに精液逆噴射させたのなんてたぶん俺が見ているのを知って見せつけたに決まってるから。きっとこれからもアイネは悪魔の呪いで困っている男を見たら、その呪いを解いてやらずにはいられないんだろうけど、それでもアイネは俺のものだっ! 誰にも渡さないぜっ! って、改めて思ったんだ」
そして夢中で洞窟へ走って、聖剣を握ったらすんなりと抜けたのだという。
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