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遅く起きた朝は。
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クリスったら!あんな映像撮るんだったら先に言ってよ!お化粧だってしてないし、髪だって、技を繰り出した衝撃でボッサボサじゃない!ばかばかばか!ぷんぷんぷーん!
あのスライムにゃあ、一度生きている事を後悔させるような、苦しみと痛みをのし付けてプレゼントしなきゃ駄目なようね。
海より広い心を持つ私も、そろそろ限界だよ?ははははははは、どう苦しめてくれようか。
あ、あら、お恥ずかしい所を。皆様、ご機嫌麗しいかしら?今年度の主演女優賞は確実視の女優、朱里と申します。私の新作はギルドでご覧いただけましたかしら?楽しんで頂いたのなら私もとても嬉しく思いますわ。おほほ。
ここだけの話。実はですね、もう次の撮影に取り掛かっておりまして。少し内容をお伝えしますと、クリスがスライムの原型を留めなくする位に恐怖を植え付けるホラー映画になります。
是非劇場でご覧下さい。
以上、期待の新人朱里でした。
—————————
結局、宴は夜まで大盛り上がり。リルちゃんが言うには魔物を引きつける魅力も魔王になる素質の一つなんだって。リルちゃんにチヤホヤされるなら、マジでテッペン目指すしかねぇぞこりゃあ。
私達は早速河童の故郷に向かう為、宴を早めに切り上げ宿に戻った。
そして河童はその生臭さからか、宿から入店拒否をされ野宿を余儀なくされた。
その仕打ちに強メンタルを持つ河童も凹むのではないかと思われたが、泊めてくれる宿の方がよっぽど珍しいらしく、慣れた様子で川沿いにテント立てて火を起こし、さっさと寝てしまった。
慣れって、怖いね。
「あー、良く眠た。あれ? 皆がいない。もう起きたのかな?」
私は急いで準備をし皆を探す為、宿の一階に向かったが、やはり姿が見当たらない。
「皆んなどこ行ったんだろ?」
次の瞬間、なにやら外が騒がしい事に気づいたんだ。
「はい、押さないで、押さないで! 小さい子もいるんだからちょっと落ち着いてね! サインは一人一枚だよ! お釣りが少ないからね! 皆さん、なるべくピッタリお勘定してね」
あいつ、こんな曇り空の中サングラスなんか掛けて何やってんだ?耳も鼻も無いのにどうやってサングラスかけてんだよ。
「最後尾はこちらでーす。整理券の提示もお忘れなくお願いしまーす」
リルちゃん!看板なんか持って何やってんの!かわいい!
「はい、こちらではグッズを売ってますよ! 魔王オーディションの有力候補、魔物の味方で、俺の師匠! 皆のアイドル朱里ちゃんのグッズありますよー」
お前の触ったグッズはヌルヌルになるから触るの、やめとけ。
「じゃなくて、お前ら何やってんだ馬鹿野郎。リルちゃんおはよ! 今日も天使より天使だね!」
「おっ、皆さん見てください。やはり主役は遅れて来るものですね! お寝坊さんのところもご愛嬌! さあサイン会の開始だよー」
な、なに?サイン会?
「ささ、どうぞこちらへ、100枚ほどサインお願いしますよ。これからの旅がゴージャスなものになりますよ。ウヘヘヘ」
こいつマジで何の為についてきたんだよ。こんなに集まって書かなかったらブーイングだよ。
まあ、サイン位いいか。「朱里」って書いて渡せばいいんでしょ?……え?ちょろくない?それでお金持ち!?うへへへ。
(朱里ちゃんとクリスちゃんって本当に仲良しだなあ。悪い顔が二人ともそっくりだよ)
「どっこいしょっと。えーとこの色紙にサインすればいいのかな? えーとペン、ペンはどこだ?
「じゃあよろしくね! 力強く頼むよ」
そうそう、これこれ!この馬鹿でかい朱肉に手を押し付けつけてから色紙にバン!ってね。お、クリス流れ作業うまいじゃん。ムポポペサに来て付き合いが長いだけあるね!よーし!この調子で後九十九枚どんどん手形押していくぞー!
「っておい! こらぁ! お前! これ力士のサイン会でよくやってる方式のやつじゃねえか!」
「ちょっと朱里、小さい子もいるんだから! あまり大きい声出すとスキルOFFにしてても気絶者大発生しちゃうよ!」
こ、こいつっ!涼しい顔でいけしゃあしゃあと、よくそんな事言えたもんだな!今すぐに鍋で煮込んでご近所にお裾分けしたろかい!!
「朱里ちゃんって大人気だね! 私、未来の魔王様と一緒に旅できるなんて本当に幸せだよ」
かーわーいーいー。リルちゃんって本当にかーわーいーいー。君の素敵な笑顔が見れるなら手形と千枚や、一万枚だってお安い御用だよ!
(僕はリルちゃんとの出逢いに心から感謝するよ。こんなにもこのゴリラが容易く扱えるようになるなんて)
「うおおおおおおおおおお!」
(は、早い!テーブルが今にも破壊されそうだ!師匠はいつ、いかなる時も全力で応えるお方なのですね!オイラ感服です!その心意気しかと受けとりましたー!)
未来の大スターはこういう地道な草の根運動から全力でやらないとね!とクリスがボソッと耳打ちして来た。
絶対にこいつはお金の事しか考えて無いだろう。そして河童は何も考えて無いのだろう。
私はそんな事ないからね!
皆さん清き一票をよろしくお願いします!
あのスライムにゃあ、一度生きている事を後悔させるような、苦しみと痛みをのし付けてプレゼントしなきゃ駄目なようね。
海より広い心を持つ私も、そろそろ限界だよ?ははははははは、どう苦しめてくれようか。
あ、あら、お恥ずかしい所を。皆様、ご機嫌麗しいかしら?今年度の主演女優賞は確実視の女優、朱里と申します。私の新作はギルドでご覧いただけましたかしら?楽しんで頂いたのなら私もとても嬉しく思いますわ。おほほ。
ここだけの話。実はですね、もう次の撮影に取り掛かっておりまして。少し内容をお伝えしますと、クリスがスライムの原型を留めなくする位に恐怖を植え付けるホラー映画になります。
是非劇場でご覧下さい。
以上、期待の新人朱里でした。
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結局、宴は夜まで大盛り上がり。リルちゃんが言うには魔物を引きつける魅力も魔王になる素質の一つなんだって。リルちゃんにチヤホヤされるなら、マジでテッペン目指すしかねぇぞこりゃあ。
私達は早速河童の故郷に向かう為、宴を早めに切り上げ宿に戻った。
そして河童はその生臭さからか、宿から入店拒否をされ野宿を余儀なくされた。
その仕打ちに強メンタルを持つ河童も凹むのではないかと思われたが、泊めてくれる宿の方がよっぽど珍しいらしく、慣れた様子で川沿いにテント立てて火を起こし、さっさと寝てしまった。
慣れって、怖いね。
「あー、良く眠た。あれ? 皆がいない。もう起きたのかな?」
私は急いで準備をし皆を探す為、宿の一階に向かったが、やはり姿が見当たらない。
「皆んなどこ行ったんだろ?」
次の瞬間、なにやら外が騒がしい事に気づいたんだ。
「はい、押さないで、押さないで! 小さい子もいるんだからちょっと落ち着いてね! サインは一人一枚だよ! お釣りが少ないからね! 皆さん、なるべくピッタリお勘定してね」
あいつ、こんな曇り空の中サングラスなんか掛けて何やってんだ?耳も鼻も無いのにどうやってサングラスかけてんだよ。
「最後尾はこちらでーす。整理券の提示もお忘れなくお願いしまーす」
リルちゃん!看板なんか持って何やってんの!かわいい!
「はい、こちらではグッズを売ってますよ! 魔王オーディションの有力候補、魔物の味方で、俺の師匠! 皆のアイドル朱里ちゃんのグッズありますよー」
お前の触ったグッズはヌルヌルになるから触るの、やめとけ。
「じゃなくて、お前ら何やってんだ馬鹿野郎。リルちゃんおはよ! 今日も天使より天使だね!」
「おっ、皆さん見てください。やはり主役は遅れて来るものですね! お寝坊さんのところもご愛嬌! さあサイン会の開始だよー」
な、なに?サイン会?
「ささ、どうぞこちらへ、100枚ほどサインお願いしますよ。これからの旅がゴージャスなものになりますよ。ウヘヘヘ」
こいつマジで何の為についてきたんだよ。こんなに集まって書かなかったらブーイングだよ。
まあ、サイン位いいか。「朱里」って書いて渡せばいいんでしょ?……え?ちょろくない?それでお金持ち!?うへへへ。
(朱里ちゃんとクリスちゃんって本当に仲良しだなあ。悪い顔が二人ともそっくりだよ)
「どっこいしょっと。えーとこの色紙にサインすればいいのかな? えーとペン、ペンはどこだ?
「じゃあよろしくね! 力強く頼むよ」
そうそう、これこれ!この馬鹿でかい朱肉に手を押し付けつけてから色紙にバン!ってね。お、クリス流れ作業うまいじゃん。ムポポペサに来て付き合いが長いだけあるね!よーし!この調子で後九十九枚どんどん手形押していくぞー!
「っておい! こらぁ! お前! これ力士のサイン会でよくやってる方式のやつじゃねえか!」
「ちょっと朱里、小さい子もいるんだから! あまり大きい声出すとスキルOFFにしてても気絶者大発生しちゃうよ!」
こ、こいつっ!涼しい顔でいけしゃあしゃあと、よくそんな事言えたもんだな!今すぐに鍋で煮込んでご近所にお裾分けしたろかい!!
「朱里ちゃんって大人気だね! 私、未来の魔王様と一緒に旅できるなんて本当に幸せだよ」
かーわーいーいー。リルちゃんって本当にかーわーいーいー。君の素敵な笑顔が見れるなら手形と千枚や、一万枚だってお安い御用だよ!
(僕はリルちゃんとの出逢いに心から感謝するよ。こんなにもこのゴリラが容易く扱えるようになるなんて)
「うおおおおおおおおおお!」
(は、早い!テーブルが今にも破壊されそうだ!師匠はいつ、いかなる時も全力で応えるお方なのですね!オイラ感服です!その心意気しかと受けとりましたー!)
未来の大スターはこういう地道な草の根運動から全力でやらないとね!とクリスがボソッと耳打ちして来た。
絶対にこいつはお金の事しか考えて無いだろう。そして河童は何も考えて無いのだろう。
私はそんな事ないからね!
皆さん清き一票をよろしくお願いします!
応援ありがとうございます!
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