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2章 8月下旬
015 美化活動
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当然、この学校にも委員会活動は存在する。本好きとしては図書委員がよかったんだけど、じゃんけんという運ゲーには勝てなかったよ。
結果、僕は美化委員として今日は学校の花壇に水やりをする。この夏期講習期間は学校に来ている者が担当するから仕方ないよね。
今日は1年生の生徒とやる予定だったんだけど……来ないな。
ホースを伸ばして、先端にシャワーヘッドを取り付け、根元の水道の蛇口をひねる。夏の日差しはとても強い。今日も暑いなぁ。
汗で制服が汚れるのが嫌なので体操着に着替えたけど……このまま水浴びをしたい気分だよ。
花壇にはマリーゴールドやヒマワリが咲き誇っていた。しっかり水をあげないとね。
「おりゃあああああああ、水だぞ~!」
「ふふ、豪快ですね」
そんな笑い声に僕は顔をそちらに向けた。
背中まで伸びた栗色の髪がお日様の光を浴びて、より輝いている。
神凪月夜は灰色のバケツに並々と水を入れて、近づいてきた。
「あれ……どうしたの?」
「私も美化委員のお仕事しますよ」
「月夜って美化委員だっけ?」
美化委員会で月夜の姿を見たことはない。構わず、月夜は柄杓を使って、バケツの水を汲み、花壇に水をかける。
「美化委員は同じクラスの子なんですけど、今日どうしても部活に行きたいと言っていたので代わったんですよ」
「そうだったんだ。こんな暑い中代わるなんて優しいなぁ」
「美化活動が太陽さんのクラスと一緒って知ってましたからね~」
僕が一緒だから引き受けた……? それは考えすぎかな。どちらにしろ知らない女子と活動するよりは楽なもんだよ。
昼休みという短い時間で学校にあるできる限りの花壇をまわっていく。
月夜もまた体操着に着替えており、学年が違うからあまり見ることないのだけど……制服とは違った雰囲気を感じる。
白の半袖のシャツに青のハーフパンツ。スタイルの良い月夜が白のシャツを着るとどうしても目立ってしまうね。
同じクラスの男子達はどんな気分なんだろう。ちょっとうらやましいな。
水やりも終わり、僕達は花壇の前でベンチで休憩していた。
木のベンチで横並びで腰を下ろす。
「はい」
僕は自販機で購入したスポーツドリンクを月夜に差し出した。
「そんな悪いですよ!」
「いっぱい汗かいたから水分補給はしないとね。先輩からのおごりは素直に受け取ってほしいな」
「もう……」
申し訳なさそうに月夜はペットボトルを受け取った。
僕も自分で購入したドリンクを口に入れる。一仕事した後はほんと上手いな。
「汗か……」
月夜が何かをつぶやいた後、月夜が僕から少し離れて座り直した。
「……僕、汗くさい?」
「違います! 私がくさいかも」
僕は月夜に再度近づき、月夜の体に鼻を向ける。
「全然におわないよ。気にしすぎ」
「な、なんでにおうんですか! えっち!」
「ええ!?」
月夜はばっと立ち上がり、体を手でおさえてそっぽを向く。体温が上がっているのか顔は紅くし額からの汗に色気を感じる。
じろりと僕を見た。
「不用意に女の子のにおいをかいだら駄目です。犯罪です。そもそもそんな良いにおいじゃないですし」
そう言われると何だかいけないような気がしてきた。でも……ここは汚名返上しておかないといけない。
「でも図書館で月夜が隣で座ってると、甘い香りがするんだよね。シャンプーの香りなのかな。……僕は好きだよ」
「―――っ!」
月夜は屈んで手で顔を押さえ始めた。あまりの奇行に僕は心配になり声をかける。
「だ、大丈夫?」
「……だ、大丈夫ですのでこっちをみ、見ないでください」
何だか震えているようで僕としては心配なんだけど、これ以上の追求は駄目そうだ。
「う、嬉しすぎて……顔が戻らない……」
こうして昼休みは終わっていくのであった。
結果、僕は美化委員として今日は学校の花壇に水やりをする。この夏期講習期間は学校に来ている者が担当するから仕方ないよね。
今日は1年生の生徒とやる予定だったんだけど……来ないな。
ホースを伸ばして、先端にシャワーヘッドを取り付け、根元の水道の蛇口をひねる。夏の日差しはとても強い。今日も暑いなぁ。
汗で制服が汚れるのが嫌なので体操着に着替えたけど……このまま水浴びをしたい気分だよ。
花壇にはマリーゴールドやヒマワリが咲き誇っていた。しっかり水をあげないとね。
「おりゃあああああああ、水だぞ~!」
「ふふ、豪快ですね」
そんな笑い声に僕は顔をそちらに向けた。
背中まで伸びた栗色の髪がお日様の光を浴びて、より輝いている。
神凪月夜は灰色のバケツに並々と水を入れて、近づいてきた。
「あれ……どうしたの?」
「私も美化委員のお仕事しますよ」
「月夜って美化委員だっけ?」
美化委員会で月夜の姿を見たことはない。構わず、月夜は柄杓を使って、バケツの水を汲み、花壇に水をかける。
「美化委員は同じクラスの子なんですけど、今日どうしても部活に行きたいと言っていたので代わったんですよ」
「そうだったんだ。こんな暑い中代わるなんて優しいなぁ」
「美化活動が太陽さんのクラスと一緒って知ってましたからね~」
僕が一緒だから引き受けた……? それは考えすぎかな。どちらにしろ知らない女子と活動するよりは楽なもんだよ。
昼休みという短い時間で学校にあるできる限りの花壇をまわっていく。
月夜もまた体操着に着替えており、学年が違うからあまり見ることないのだけど……制服とは違った雰囲気を感じる。
白の半袖のシャツに青のハーフパンツ。スタイルの良い月夜が白のシャツを着るとどうしても目立ってしまうね。
同じクラスの男子達はどんな気分なんだろう。ちょっとうらやましいな。
水やりも終わり、僕達は花壇の前でベンチで休憩していた。
木のベンチで横並びで腰を下ろす。
「はい」
僕は自販機で購入したスポーツドリンクを月夜に差し出した。
「そんな悪いですよ!」
「いっぱい汗かいたから水分補給はしないとね。先輩からのおごりは素直に受け取ってほしいな」
「もう……」
申し訳なさそうに月夜はペットボトルを受け取った。
僕も自分で購入したドリンクを口に入れる。一仕事した後はほんと上手いな。
「汗か……」
月夜が何かをつぶやいた後、月夜が僕から少し離れて座り直した。
「……僕、汗くさい?」
「違います! 私がくさいかも」
僕は月夜に再度近づき、月夜の体に鼻を向ける。
「全然におわないよ。気にしすぎ」
「な、なんでにおうんですか! えっち!」
「ええ!?」
月夜はばっと立ち上がり、体を手でおさえてそっぽを向く。体温が上がっているのか顔は紅くし額からの汗に色気を感じる。
じろりと僕を見た。
「不用意に女の子のにおいをかいだら駄目です。犯罪です。そもそもそんな良いにおいじゃないですし」
そう言われると何だかいけないような気がしてきた。でも……ここは汚名返上しておかないといけない。
「でも図書館で月夜が隣で座ってると、甘い香りがするんだよね。シャンプーの香りなのかな。……僕は好きだよ」
「―――っ!」
月夜は屈んで手で顔を押さえ始めた。あまりの奇行に僕は心配になり声をかける。
「だ、大丈夫?」
「……だ、大丈夫ですのでこっちをみ、見ないでください」
何だか震えているようで僕としては心配なんだけど、これ以上の追求は駄目そうだ。
「う、嬉しすぎて……顔が戻らない……」
こうして昼休みは終わっていくのであった。
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