恋日記

上田姫

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せき

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「咳止まらないね~」


「ゴホッゴホッ」


ここ最近、急に冷え込んできたということもあり僕は風邪を引いてしまったみたいだ。

そんなに風邪を引くタイプじゃないんだけどなぁ。


「ちゃんとマスクしてあったかくしてなきゃいかんよ~」


こくり

昨日の夜から咳が出始め、今日仕事から帰ってきたらあまりの酷さに声も出にくくなってしまった。

妻が台所仕事を終え、コタツにくるまっている僕の隣に座る。


「どう?熱は?」


妻の手が僕の額に触れる。

ヒンヤリしていて気持ちいい。

風邪を引くと妻がより一層優しくなるので、不謹慎ながらもこのままでもいいなぁと思ってしまう。


「熱はないみたいだね」


はっくしゅんっ

頷く変わりにクシャミで返事をする。

しまった、マスクの下は鼻水だらけだ…

ティッシュ箱は妻を挟んだ向こう側か。


「(瑞希)」


声がほとんどでないので肩も叩き妻を呼ぶ。


「どうしたの?」


「(ティッシュとって)」


「ん?」


やはりよく聞こえないのか耳を近づけてくる。


「(ティッシュとって!)」


「みずきかわいい?」


言ってないし!!

まあ可愛いけれども。


僕は首を振り、ジェスチャーも加えて再度お願いする。


「(ティッシュとって)」


「みずきに好きな人ができたら困る?」


ティッシュだってばああぁぁっっ

自分で取りに行った方が早かった。
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