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13話:天覧試合当日
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翌日。
私は朝から大忙しだった。ドレスアップ、化粧……各国からの賓客への対応などなど。
「はやく試合はじまれぇ……」
少しの休憩があり、私はソファでだらけていると、テキパキと私の身の回りの準備をしていたベルフェがひんやりと冷たい果汁入りの水を差し出してくれた。
「ありがとうベルフェ」
「試合楽しみだね~。見た感じだとやはり順当にレンザが勝ち上がって、シリウスとの決勝だろうね」
「んーなんかシリウスがやけにやる気なのよねえ……今朝もあった時、なんか剣振ってたし」
「そりゃあ負けられないよねえ……あんだけ露骨に褒めたらねえ」
「素直な感想だもん」
「で、正直どっちが勝つと思ってるの? レンザ? それともやっぱりシリウス?」
「どっちでもいいよ~」
なんてベルフェと会話していると……。
「良くありません!! どうなのですかベアトリス様!」
扉をバーンと開けてシリウスが入ってきた。
「ええ……んー互角?」
「ベアトリス様……この天覧試合の意味、覚えておいでですか?」
「う、うむ! 他国の有能な人材を見定め、場合によっては帝国騎士団へ好待遇で引き抜――」
「そうではありません! それはあくまで表向きの理由にすぎません!」
「も、勿論忘れておらん……よし、ベルフェ、説明せよ!」
すっかり忘れてしまっているので、ベルフェに話を振る。ああ見えて、ベルフェは優秀なので大抵の事は記憶しているのだ。
「ただ結婚がめんどくさいが為だけに、結婚相手の条件に、“私より強い奴”って付け足しみんなを困らせ、天覧試合を行って優秀者には自分への挑戦権を与えると言いながら、決勝戦で必ずシリウスを使って毎回挑戦者を負かせて有耶無耶にしてる。シリウスは必ずその挑戦を辞退するしね」
「うむ……そうであったな」
そうでした! そうだそうだ。挑戦されても困るので、毎回シリウスに勝ってもらってたけど……確かにレンザが勝ってしまうと私への挑戦権が発生しちゃう。
「なので、負ける訳にいかないのです。近年剣士の技量は日々上がっております。私とて日々鍛えておりますが、いつ負けるとも限りません。ゆえに……今年で決着を付けようかと考えております。ベアトリス様、良いですね?」
「え? あーうん。頑張って!」
「はい。では、最後の調整がありますので、これにて」
シリウスは足早に去っていった。
「あーあ。今年は荒れそうだねえ」
「……んーまあ、試合が白熱するから良いんじゃないかな?」
「レンザが勝って挑戦してきたら?」
ベルフェが意地の悪い表情を浮かべて私にそう言ってきたので、私はきっぱりと答えた。
「その時は――私が勝てば良いだけです」
私は朝から大忙しだった。ドレスアップ、化粧……各国からの賓客への対応などなど。
「はやく試合はじまれぇ……」
少しの休憩があり、私はソファでだらけていると、テキパキと私の身の回りの準備をしていたベルフェがひんやりと冷たい果汁入りの水を差し出してくれた。
「ありがとうベルフェ」
「試合楽しみだね~。見た感じだとやはり順当にレンザが勝ち上がって、シリウスとの決勝だろうね」
「んーなんかシリウスがやけにやる気なのよねえ……今朝もあった時、なんか剣振ってたし」
「そりゃあ負けられないよねえ……あんだけ露骨に褒めたらねえ」
「素直な感想だもん」
「で、正直どっちが勝つと思ってるの? レンザ? それともやっぱりシリウス?」
「どっちでもいいよ~」
なんてベルフェと会話していると……。
「良くありません!! どうなのですかベアトリス様!」
扉をバーンと開けてシリウスが入ってきた。
「ええ……んー互角?」
「ベアトリス様……この天覧試合の意味、覚えておいでですか?」
「う、うむ! 他国の有能な人材を見定め、場合によっては帝国騎士団へ好待遇で引き抜――」
「そうではありません! それはあくまで表向きの理由にすぎません!」
「も、勿論忘れておらん……よし、ベルフェ、説明せよ!」
すっかり忘れてしまっているので、ベルフェに話を振る。ああ見えて、ベルフェは優秀なので大抵の事は記憶しているのだ。
「ただ結婚がめんどくさいが為だけに、結婚相手の条件に、“私より強い奴”って付け足しみんなを困らせ、天覧試合を行って優秀者には自分への挑戦権を与えると言いながら、決勝戦で必ずシリウスを使って毎回挑戦者を負かせて有耶無耶にしてる。シリウスは必ずその挑戦を辞退するしね」
「うむ……そうであったな」
そうでした! そうだそうだ。挑戦されても困るので、毎回シリウスに勝ってもらってたけど……確かにレンザが勝ってしまうと私への挑戦権が発生しちゃう。
「なので、負ける訳にいかないのです。近年剣士の技量は日々上がっております。私とて日々鍛えておりますが、いつ負けるとも限りません。ゆえに……今年で決着を付けようかと考えております。ベアトリス様、良いですね?」
「え? あーうん。頑張って!」
「はい。では、最後の調整がありますので、これにて」
シリウスは足早に去っていった。
「あーあ。今年は荒れそうだねえ」
「……んーまあ、試合が白熱するから良いんじゃないかな?」
「レンザが勝って挑戦してきたら?」
ベルフェが意地の悪い表情を浮かべて私にそう言ってきたので、私はきっぱりと答えた。
「その時は――私が勝てば良いだけです」
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シリウスは文武両道の凄い奴だったのか。てっきり文官かと思っていた。そしてベルフェ立ったまま寝るんじゃない!