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1話:身を守るには便利な魔術です
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王立魔術学院アステリアス――懲罰室
「闇属性魔術しか研鑽しないその態度、成績不良に素行不良。我が歴史ある学院でも貴様ほどの無能は見た事がない。よって、貴様から見習い魔術師の資格も剥奪し、学院から永久追放する!」
この学院の長である、ミラルダが化粧だらけの顔を歪ませて、眼下の少女へとそう宣言した。昔は王都で最も美しい女魔術師と持てはやされたミラルダだが、寄る年波には勝てないのか、年齢と共に容姿は劣化しそれと共に自己顕示欲と体重が肥大していった。
もはや醜いヒキガエルのような姿のミラルダと比べて、その少女――ヘカティは美しかった。
腰まで伸びた黒髪は艶やかで、角度によって深い緑にも見える。その下にはまだ少し幼さを残した顔があり、金色の瞳が輝いていた。化粧っ気はないものの素の顔立ちが良いせいか、まるで野に咲く名もない花のような美しさがあった。
まだ十五歳という事もあり、学院の制服を身に纏っているその身体も年相応だ。しかし妙に男性の庇護欲を駆り立てるような見た目のせいか、年上の女性達には目の敵にされており、特に学院長であるミラルダからは入学当時から嫌われていた。
だからといって……これは流石にあんまりだ……。ヘカティは心の中で溜息をついた。
「待ってください、学院長。確かに彼女は使い手がほとんどいない闇属性魔術の適性しかなく、他属性の成績は芳しくありません。ですが、入学時に計測した魔力量はこれまでの学院の歴史を振り返っても類を見ません。それに素行不良については、他生徒達の報告だけで、実際に確認できたものもないのに、永久追放は……処罰が重すぎます」
そう言って青年が立ち上がった。彼はヘカティの担当講師であったラッセルだった。
だが、彼は分かっていない。彼がヘカティを庇えば庇うほど……ミラルダの怒りを買う事を。
「黙れ!! これは! 私の! 学院長権限で決めた事だぞ!! 貴様も永久追放するぞラッセル!!」
「っ!! ですが!」
「――構いません」
見かねたヘカティが声を上げる。
ラッセル先生にはお世話になった。これ以上の迷惑は掛けられない。
「永久追放で構いません。お世話になりました」
ぺこりとお辞儀をすると、ヘカティは退室しようと背を向けた。
しかしその態度が気に食わなかったのか、ミラルダが宝石のついた指輪だらけの分厚い手で、デスクを叩いて立ち上がった。
「貴様は……!! 【無能の魔女】として、二度と魔術師として生きていけないようにしてやる!!」
「ミラルダ学院長! それは余りにも酷な仕打ちでは!」
「黙れラッセル! 闇属性魔術使いなぞ皆、魔女に決まっている! 殺さないだけありがたいと思え!」
しかし、ヘカティは振り返りもせず――
「……はい。それでは、失礼します」
それだけを言い残すと、去っていった。
☆☆☆
「……なんで」
学院を出て、少ない荷物を詰めた鞄を手にしたヘカティが溜息をついた。悔しさと怒りが表に出てきそうで、グッと堪えた。
田舎から出てきて二年。一生懸命やってきたつもりだった。なのに……なんでこんなことに。ヘカティは涙を拭うと、顔を上げ前を向いた。
【無能の魔女】の烙印を押された魔術師に生きていく術はない。
それはこの世界での常識だった。例外を除くほとんどの魔術師志望の者は魔術学院に通い、卒業してやっと魔術師を名乗れるようになる。そして冒険者ギルドや研究機関などで仕事につくのが一般的だ。
それに対し【無能の魔女】とは、まさにその名の如く、魔術師として無能であり、かつ魔女という不名誉な烙印を押されてしまっている。なので、どこのギルドや研究機関に行っても、その名だけで追い払われてしまうのだ。
魔術師協会にも顔が利くミラルダに【無能の魔女】と言われた以上、ヘカティの魔術師としての未来は閉ざされてしまっていた。
「せめて……もう少し色々出来れば……」
そう言って、ヘカティは唯一使える闇属性魔術である【重力】を使って鞄を浮かせた。
ふよふよと浮かせた鞄はヘカティからつかず離れずの位置に浮いており、ヘカティが歩くとその後を追った。
ヘカティは自分が無能と呼ばれても仕方ないと思っていた。物を軽くする、もしくは重くする。それしか自分には出来ないのだ。
ラッセルに言われ、魔力量向上の為に常に【重力】の魔術を使っているが、便利な面はあるものの……戦闘訓練ではいつも最下位の成績だった。相手の攻撃を防げても攻撃する手段がなかったせいだ。
ある程度近接戦闘術は習ったものの、ある理由からあまり使う事はなかった。
「魔女なんて大袈裟ですよ……」
しかし、ヘカティはその沈んだ思考を追い払うようにふるふると顔を振って、両手でぺちりと自身の頬を叩いた。
「嘆いても仕方ありません! 【重力】を極めて、なんとかお仕事できるようにしないと!」
ヘカティは気を取り直すと、てくてくと王都の郊外にある学院から出て、とりあえずまずは住む場所を探そうと宿屋街へと向かった。しかし、田舎から出てきてからはずっと学院内で生活していた為、彼女は知らなかった。
彼女が今、歩いている通りは昼間でも暗く、決して少女一人で来てはいけない場所であることを。
「ん? おいおい、なんで学生がこんなとこ一人で歩いているんだ? サボりか? 俺らと遊ぼうぜ」
案の定、ヘカティをガラの悪そうな男達が囲んだ。皆が不躾な視線を彼女へと向けており、欲望で目がぎらついている。
しかし、ヘカティは全くが危機感がなかった。
「すみません、宿屋街ってここをまっすぐですか?」
ニコリと笑ってそう聞くヘカティに対し、一部の男達が表情を緩めるが、リーダー格の男は唾を飛ばしながら叫んだ。
「はあ!? お前、今のこの状況分かってるのか!? 宿なんて行く必要ねえよ! 今すぐここで押し倒してやる!!」
リーダーの言葉に全員が獣の顔付きになり、腰に差していた短剣を抜いた。リーダーが小型ボーガンをヘカティへと向ける。
「……困りました」
あまり困ってなさそうな顔をしてヘカティは恒常的に自分に掛けていた【重力】の魔術の範囲を広げた。
彼女は自分の魔術によって、自分が安全であることをよく知っていた。攻撃手段はなくても……身を守る方法は心得ている。
「道を尋ねただけなのに……都会はやはり恐いですね」
ヘカティは溜息をつくと、スタスタと男達の間を通りすぎていく。
「アッ……!! ガッ……!! 身体が……動か……ねえ!!」
なぜか男達はそれを見ている事しか出来なかった。彼らはまるで見えない巨大な手で、上から押し付けられているかのように、身動きが取れず――やがて立っていられずに、地面へと跪いた。
「なん……だ!?」
「くそ……魔術師が!!」
リーダー格の男が意地でヘカティの背中へと向けていたボーガンの引き金を引いた。
ビィン、という弦が弾かれる音と共に、短矢が発射された。しかしその短矢は、ヘカティから少し離れた位置まで飛ぶと――
「は?」
ぐしゃり、という音と共に、まるで圧縮されたかのように丸まった形状になるとそのまま地面へと落ちた。
「なんだよ……それ……!!」
リーダー格の男はもはや顔を上げていられず、頭を垂れた。
「とりあえずまっすぐ行ってみましょうか」
ヘカティは男達を気にする事なく、平然と去っていく。彼らはヘカティが見えなくなるまで、いつまでもいつまでも跪き、頭を垂れていた。
その光景はさながら――処刑人に首を差し出す死刑囚のようだった。
☆☆☆
新作投稿しました!
文字数少なめサクサクテンポのゆるーい店舗経営のファンタジーものです。マテリアの力で成り上がれ!
良ければ是非、ご一読を!
勇者に追放された特級宝石師、モフモフと共に使用者を超強化する加工魔石<マテリア>屋を始める ~王家御用達になったのでそちらには戻りませんよ?
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この学院の長である、ミラルダが化粧だらけの顔を歪ませて、眼下の少女へとそう宣言した。昔は王都で最も美しい女魔術師と持てはやされたミラルダだが、寄る年波には勝てないのか、年齢と共に容姿は劣化しそれと共に自己顕示欲と体重が肥大していった。
もはや醜いヒキガエルのような姿のミラルダと比べて、その少女――ヘカティは美しかった。
腰まで伸びた黒髪は艶やかで、角度によって深い緑にも見える。その下にはまだ少し幼さを残した顔があり、金色の瞳が輝いていた。化粧っ気はないものの素の顔立ちが良いせいか、まるで野に咲く名もない花のような美しさがあった。
まだ十五歳という事もあり、学院の制服を身に纏っているその身体も年相応だ。しかし妙に男性の庇護欲を駆り立てるような見た目のせいか、年上の女性達には目の敵にされており、特に学院長であるミラルダからは入学当時から嫌われていた。
だからといって……これは流石にあんまりだ……。ヘカティは心の中で溜息をついた。
「待ってください、学院長。確かに彼女は使い手がほとんどいない闇属性魔術の適性しかなく、他属性の成績は芳しくありません。ですが、入学時に計測した魔力量はこれまでの学院の歴史を振り返っても類を見ません。それに素行不良については、他生徒達の報告だけで、実際に確認できたものもないのに、永久追放は……処罰が重すぎます」
そう言って青年が立ち上がった。彼はヘカティの担当講師であったラッセルだった。
だが、彼は分かっていない。彼がヘカティを庇えば庇うほど……ミラルダの怒りを買う事を。
「黙れ!! これは! 私の! 学院長権限で決めた事だぞ!! 貴様も永久追放するぞラッセル!!」
「っ!! ですが!」
「――構いません」
見かねたヘカティが声を上げる。
ラッセル先生にはお世話になった。これ以上の迷惑は掛けられない。
「永久追放で構いません。お世話になりました」
ぺこりとお辞儀をすると、ヘカティは退室しようと背を向けた。
しかしその態度が気に食わなかったのか、ミラルダが宝石のついた指輪だらけの分厚い手で、デスクを叩いて立ち上がった。
「貴様は……!! 【無能の魔女】として、二度と魔術師として生きていけないようにしてやる!!」
「ミラルダ学院長! それは余りにも酷な仕打ちでは!」
「黙れラッセル! 闇属性魔術使いなぞ皆、魔女に決まっている! 殺さないだけありがたいと思え!」
しかし、ヘカティは振り返りもせず――
「……はい。それでは、失礼します」
それだけを言い残すと、去っていった。
☆☆☆
「……なんで」
学院を出て、少ない荷物を詰めた鞄を手にしたヘカティが溜息をついた。悔しさと怒りが表に出てきそうで、グッと堪えた。
田舎から出てきて二年。一生懸命やってきたつもりだった。なのに……なんでこんなことに。ヘカティは涙を拭うと、顔を上げ前を向いた。
【無能の魔女】の烙印を押された魔術師に生きていく術はない。
それはこの世界での常識だった。例外を除くほとんどの魔術師志望の者は魔術学院に通い、卒業してやっと魔術師を名乗れるようになる。そして冒険者ギルドや研究機関などで仕事につくのが一般的だ。
それに対し【無能の魔女】とは、まさにその名の如く、魔術師として無能であり、かつ魔女という不名誉な烙印を押されてしまっている。なので、どこのギルドや研究機関に行っても、その名だけで追い払われてしまうのだ。
魔術師協会にも顔が利くミラルダに【無能の魔女】と言われた以上、ヘカティの魔術師としての未来は閉ざされてしまっていた。
「せめて……もう少し色々出来れば……」
そう言って、ヘカティは唯一使える闇属性魔術である【重力】を使って鞄を浮かせた。
ふよふよと浮かせた鞄はヘカティからつかず離れずの位置に浮いており、ヘカティが歩くとその後を追った。
ヘカティは自分が無能と呼ばれても仕方ないと思っていた。物を軽くする、もしくは重くする。それしか自分には出来ないのだ。
ラッセルに言われ、魔力量向上の為に常に【重力】の魔術を使っているが、便利な面はあるものの……戦闘訓練ではいつも最下位の成績だった。相手の攻撃を防げても攻撃する手段がなかったせいだ。
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ヘカティは溜息をつくと、スタスタと男達の間を通りすぎていく。
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「なん……だ!?」
「くそ……魔術師が!!」
リーダー格の男が意地でヘカティの背中へと向けていたボーガンの引き金を引いた。
ビィン、という弦が弾かれる音と共に、短矢が発射された。しかしその短矢は、ヘカティから少し離れた位置まで飛ぶと――
「は?」
ぐしゃり、という音と共に、まるで圧縮されたかのように丸まった形状になるとそのまま地面へと落ちた。
「なんだよ……それ……!!」
リーダー格の男はもはや顔を上げていられず、頭を垂れた。
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ヘカティは男達を気にする事なく、平然と去っていく。彼らはヘカティが見えなくなるまで、いつまでもいつまでも跪き、頭を垂れていた。
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☆☆☆
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